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Home / 恋愛 / 離婚カウントダウン、クズ夫の世話なんて誰がするか! / 第32話

第32話

Author: ちょうもも
彼女はこの間ずっと抱えていたすべてのつらさを、母に打ち明けた。

まだ語り終えていないのに、もう涙でどうしようもなくなっていた。

墓碑の前にそのまま座り込み、冷たい石に刻まれた名前を、掌でそっと撫でる。

そうすると、母の存在が今も自分のそばにいるような気がして。

「お母さんがいてくれたら、こんな寂しい気持ちにならずに済んだのに......きっとあなたは、私の味方になってくれたよね」

「わからないの......あんなに私を愛してくれた人が、どうしてこんなふうになっちゃったんだろう......愛って、本当に変わるものなの?」

今となっては、史弥が自分を玉巳の身代わりにしていたかどうか、もうどうでもよかった。

だが、どちらにせよ、二人の関係はもう腐りきっていた。

ただの悪臭に変わっていたのだ。

ようやく感情を吐き出した悠良がふと時間を見ると、すでに一時間半が過ぎていた。

さっきまでは「すぐ着く」と自信満々に言っていた史弥の姿は、どこにもない。

彼にもう、ほとんど期待はしていなかった。

来ようが来まいが、どうでもよかった。

悠良が立ち上がろうとしたとき、スマホがふるえた。

メッセージは葉からだった。

【お金はお手伝さんに渡したよ。彼女が「ありがとう」って】

【迷惑かけたのはこっちなのにね】

彼女にはわかっていた。

伶に接触できるような人物は、きっとどこかの組織の中枢にいるエリートだ。

その人にとって、今回の伶の徹底調査はキャリアにとって大打撃だっただろう。

今後、この業界で生きていけるかどうかさえ危ういはずだ。

そんな相手に助けを求めたのだ。

それは、相手の未来を犠牲にする行為だった。

帰り道、ふと悠良は玉巳のSNS投稿を目にした。

ただの興味でタップしただけだった。

最初の写真は、お粥を煮ている場面。

次は、テーブルの向かい側に座る人物が粥を飲んでいる構図だった。

顔は映っていなかったが、悠良にはわかった。

それは、史弥の手だった。

玉巳はこう添えていた。

【これからは、毎朝愛する人のために朝ごはんを作ってあげたい。彼、とってもおいしそうに食べてくれた】

三枚目の写真には、史弥の碗を指差す玉巳の手。

悠良の表情は相変わらず穏やかだったが、手の甲にはうっすらと血管が浮かんでいた。

彼らはもう、こんなにも我慢がで
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