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Home / 恋愛 / 離婚カウントダウン、クズ夫の世話なんて誰がするか! / 第58話

第58話

Author: ちょうもも
玉巳の頬は一瞬で真っ赤になり、唇をぎゅっと噛みしめながら、おそるおそる史弥を見上げた。

「白川社長、私......本当は今日からすぐに着工する予定だったんです。でも、どうしてこうなったのか全然分からなくて......以前、悠良さんにもっと手伝ってもらってって、あなたもおっしゃってたじゃないですか......」

そう言いながら、玉巳は赤くなったうさぎのような瞳で悠良を見つめ、どこか訴えかけるように手を動かした。

[悠良さん、オアシスのプロジェクトは、あなたが一番早く動き出してたのは知ってる。でも、どうして今まで私に一言も話してくれなかったの......?]

[もしかして、悠良さん、まだ私に怒ってるの?このプロジェクト、前から言ってるけど、もしあなたが欲しいなら、今すぐ譲るって言ってるのに......]

玉巳の一連の芝居じみた態度に、悠良は思わず笑ってしまった。

「石川ディレクター、このプロジェクトはあなたが自分の実力で勝ち取ったものよ。私は負けたからって拗ねたりしないタイプ。だからこそ、責任から逃げないで。あなた自身の実績にもなるでしょうし......白川社長の信頼も無駄にならないんじゃない?」

その最後の言葉を言うと同時に、悠良の視線は史弥の顔に向けられた。

その瞬間、まるで空模様が一変したかのように、彼の顔色は暗転し、冷たい風と荒れ狂う波のような険しさがそこにあった。

史弥は鋭く陰を帯びた視線で、周囲の株主たちを一瞥する。

「今さら誰の責任かを問うても意味がない。今一番大事なのは、解決策を考えることだ。すでにLSがオアシスの運営権を取った以上、向こうと協力するしかない。でなければ、このプロジェクトが滞ったままだと、我が社には何の利益もない」

株主の一人が鼻で笑った。

「白川社長、それをそんな軽く言うのはどうかと思いますよ。あなたも分かってるはずでしょう?この数年、うちとLSは水火の関係ですよ。寒河江社長にしてみれば痛くも痒くもない。ここ数年、大型案件を次々と奪われ、うちのはことごとく持っていかれてるんです」

「やっとオアシスを取ったってのに、こんなことになったら、次は我々が干からびる番ですよ」

「そうですよ、白川社長。何とかしないといけません。石川ディレクターがいつまでも着工しなかったから、こんなことになったんじゃないですか。正直、石川
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