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サーフ系ボディービルダーニゲル
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Novel-novel oleh サーフ系ボディービルダーニゲル

高嶺に吹く波風

高嶺に吹く波風

2021年日本。異形の怪物イクテュスが現れ人々の生活が脅かされていた。しかしそんな怪物に立ち向かう勇敢な少女達が居た。 キュアヒーロー。唐突に現れ華麗にイクテュスを倒していく美麗なヒーロー。彼女達はスマホ等の電子機器にどうやってか配信動画を発生させて人々から希望と期待の眼差しを与えられていた。 日本のある街で中学校に通うどこにでもいる女の子である天空寺高嶺。彼女には一つ重大な秘密があった。それは彼女自身がキュアヒーローだということだ。 青髪の水を操るヒーロー、キュアウォーター。それが彼女の別の名前だ。 正義感が強い彼女は配信を通じて人々に希望を与えていき、先輩ヒーローや新たになった人達とも交友を深めて未来を築いていく。 人間とイクテュスと妖精の宇宙人。様々な思惑が交差しながらも高嶺は大好きな彼女と共に今を生きていく。 過去も未来もないこの今の世界を。 ギャグありシリアスあり百合要素ありのドタバタの魔法少女達の物語の開幕!!
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Chapter: 44話 アナザージャスティス
「はぁ……だるいな。あのガキ散々やりやがって……」 オレはまだ痛む傷口を抑え集合予定場所のファミレスへと向かう。いくらオレ達イクテュスが、特にオレのような上位の者が再生能力が高いといっても痛いものは痛いしできれば怪我はしたくない。こんな損な役回りをされて溜息をつきながらも、使命のため、仲間のため仕方ないと割り切る。 「いらっしゃいませ。お客様は……」 「三名で入っている。その連れだ。二人はもう来て……」 「あぁあちらのお客様でしょうか?」 店員が指差した方にはオレの同志であるメサとライが座っていた。 「そうだ。助かった」 オレは席まで歩いて行きジュースを飲んでいる二人の前に向かい合うように座る。 「φδ△∂⇩^♪?」 「おいメサ。ここでは人間の言葉で話しな。周りから怪しまれるよ」 体格の大きい姉御肌のライが小柄の地雷ファッションのメサに注意する。 (それ言うなら服装とかも注意しろよ。そんな服で街中歩いてる奴目立つだろ……) オレも注意したかったが、メサが泣きじゃくりライに締められるのが目に見えている。 (王も何故この二人を……もっと適任が居たろうに) 「どうしたんだゼリルそんな暗い顔して。ほらお前のために珈琲入れてきといたぞ」 「あぁありがとうな」 「ゼリルってなんでそんな苦いもの飲むの? 毒じゃんそんなの」 「うるさないな。この体が欲してるんだよ。恐らく元の奴が好きだったんだろ」 コーヒーを飲むと全身に快感が広がり生き返るような感覚になる。その後運ばれてきた食事を食べつつオレ達は会議を始める。 オレがドリアでメサがハンバーグ、ライがパスタだ。 「それでどうだった? あいつらの実力は? お前でも負けちまったんだろ?」 「人聞きが悪いな。あいつら四人ならオレ一人でも十分だ。光る奴はまだマシだったが他三人は動きが単調だ。 ただ……今日現れた一人のガキがとんでもなく強かった」 変身せずともオレに傷を与えるあの蹴り。それに力だけじゃなく技も正直オレ以上だった。 「そんなに強いのー? あたしやライ姉より?」 「まだ力を隠している雰囲気もあった。三人がかりでも勝てるかどうか怪しい。あいつの弱点を探るためにも、報告も兼ねて王に援軍を申請しておかないとな」 「へぇ……ワタシより強い奴か……ぜひ戦ってみたいね」
Terakhir Diperbarui: 2025-05-19
Chapter: 43話 背中を摩ってくれる仲間達
「えーと、健さん? ここの問題ってなんでこの答えになるんですか?」 祝日の月曜日。自宅で私と波風ちゃんは健さんから勉強を教えてもらっていた。 「そこの場合……というより図形の問題は実際に線を書くと分かりやすいよ。ほら、これで何か見えてこない?」 「あぁなるほど!! ここが三角形になるから……」 健さんの教え方が上手なこともあり私はスラスラと問題を解き理解を深めていく。 「ふぅ……流石に朝からぶっ通しは疲れるわね」 時刻は正午手前。朝早くから集合してやっていたので疲れが出始める。 「お昼にするかい? 何か買ってくるか……出前を頼むか……」 「あ、じゃあアタシピザ食べたいかも」 「了解ピザね。高嶺もそれでいいかい?」 「はい! ありがとうございます」 健さんはスマホを操作しピザのデリバリーを注文する。 「さてと気分転換に何か面白い番組でも……」 片付けをし終わった後に健さんは徐ろにテレビをつける。 「あの震災から十年……」 テレビのアナウンサーが読み上げた内容にビクッと体が反応してしまう。 注意文と共に映し出される津波の映像。建物を全て飲み込み、壊し、人々の笑顔と命を奪い去っていく。イクテュスなんかとは比較にならない凶悪で残忍な悪魔。 足が震えて吐き気が込み上げてくる。 「はぁ……はぁ……!!」 あの日の景色が鮮明にフラッシュバックし過呼吸になる。 「たけ兄テレビ消してっ!!」 「あっ、ごめん!」 健さんはすぐにテレビを消してくれる。 「ごめん高嶺。たけ兄が……!!」 「いや……大丈夫だから……ちょっとトイレ行ってくるね」 私は強がった顔を貼り付けながら部屋を出てトイレに入り鍵を閉める。 「うぉぇぇぇぇぇ!!!」 私は喉まで来ていた朝食べた物を便器の中に吐き出す。ぐちゃぐちゃの原型がないものが水にぷかぷか浮かび、それを見てさらに吐き気が増す。 「うっぷ……うぉぇ……」 今度も耐えることできずポタポタと唾液混じりの粘液が口から吐き出される。 (戻らないと……心配させちゃう……) 口元をトイレットペーパーで拭き私はトイレから出る。 ちょうどそのタイミングで家のインターホンが鳴り、私は二人を部屋で待たせ玄関に向かう。 「えっと……こんにちは。えへへ……来ちゃった」 「生人君…
Terakhir Diperbarui: 2025-05-18
Chapter: 42話 家族愛
「ん……んぅ?」 夜風が髪を揺らすが、同時にやんわりとした暖かさが首下から膝を覆う。 「あれ……? ここは?」 「おはよう。起きたみたいだね」 私のすぐ側には生人君が座っており、私にはふわふわの毛布がかけられている。 「やっと起きたようだな。イクテュスは生人が倒してくれたぞ」 「えっ……あの人型も!?」 「いや人型は良いところまでいったが取り逃してしまったらしい……けどどうしたんだ? そんな焦って?」 「な、なんでも……ない」 私は言葉を飲み込み辺りを見渡す。近くに波風ちゃんが同じく毛布をかけられ寝ているが、健橋先輩と橙子さんは居ない。 「二人ならもう帰ったぞ。無理やり抜け出してきた形だったし、それに橙子はコピー人形を使う暇すらなかったからな」 「そう……それは分かったけど、怪我は……治してくれたんだね。波風ちゃんは大丈夫なの?」 「特に問題ない。今は寝ているだけだ。すぐに目を覚ますと思うぞ」 その言葉と彼女の安らかな寝顔と寝息で私は安心しホッと一息つく。 「あの……生人……さんって呼んだ方がいいです……かね?」 「あぁいや前みたいに君呼びでもなんでも構わないよ」 「じゃあ生人君……その、さっきは決めつけて攻撃しちゃってごめん……」 いくら相手もこちらの力量を測る目的があったとはいえ私は明らかに敵意を持って手を出してしまった。そのことに違いはない。 「いやあれはボクが挑発したのが悪いんだし謝らなくていいよ。それよりボクもその……ごめんね? 手加減したとはいえ痛かったでしょ?」 生人君は昼にこの場所で会った時の無邪気さと子供らしさを含んだ笑顔を向けてくれる。こっちが彼の素なのだろう。 「お互い様ってことで……傷も治ったし」 傷はキュアリンのおかげか完璧に治っている。 「うぅん……?」 数分もしない内に波風ちゃんは目を覚まし、困惑しているところをキュアリンが事情を話してくれる。 「ふぅ。とにかくお母さん達の所まで戻らないときっと心配してる」 「うんそうだね……生人君はどうするの?」 「ボクはキュアリンと一緒に帰ってるよ。ここもイクテュスがいるかもって調べに来てたんだし、またね」 生人君はキュアリンと共にこの場から立ち去っていく。私達も心配する人が居るので山を降りみんなの元に戻る。 心配し
Terakhir Diperbarui: 2025-05-17
Chapter: 41話 不吉な予感
ボクの全身を黒色の装束が纏っていく。女の子らしさもありつつも、かっこよさも備えた中性的な服装。ボクにピッタリな衣装だ。 「さぁ……キュアヒーロー、キュアパラサイターの出番だ」 胸元にあるジャラジャラとした宝石を指でなぞり、それで二体のイクテュスを指差す。 「⚪︎φΣρ」 (あの言語……語尾と口元の動きから判断して命令形……?) 色々考えたいが奴が逃げる可能性も考慮し、すぐに思考を取り止め目の前の二体の敵に集中する。 右手からはモグラが牙を剥き出して襲ってきて、左手からは奴が触手を伸ばしつつ迫ってくる。 「こんな感じか……? ⚪︎△φφ∬?」 「っ!?」 何を言ったかはボクも理解していない。見様見真似で適当に喋っただけだ。だが奴は目に見えて動揺する。モグラが一切止まっていないことから知能がある故の弊害が出ている。 「掴んだっ!!」 ボクは触手を両手で掴み、モグラの突進を足で受け止める。 人型は毒をボクの体に流し込むが、特殊な体質のボクには通用しない。奴にとってボクは天敵だ。 「ウィング……!!」 ボクは魔法を唱えこの変身形態特有の能力を発揮する。背中から真っ白な翼が生えボクは空中に浮遊する。 モグラの腕を追加で掴み一気に上昇して奴らを高所へ拐う。 「終わりだ」 ボクは容赦なく彼らを地面に向かって放り投げる。あの速度と高さ。イクテュスといえどタダでは済まない。 だが人型の方は地面に激突する前にモグラを踏み台にして跳んでいき森の中へ姿を消す。 「なっ!! 待てっ!!」 モグラは落下の衝撃でズタボロになる。あとは二人だけでもなんとかなる。ボクは急いで人型を追いかけるが巨大な鳥の嘴がボクの腹を突き刺す。 貫通はせず筋肉で止めたが大きく減速してしまう。 「ちっ……ビーストスマッシュ!!」 ボクは両手にライオンの爪を、足にタカの如き鋭さを持たせる。 鳥型のイクテュスに高速のラッシュを叩き込み全身ズタズタにする。 「ふぅ……」 奴は全身を灰にして風に乗せられて霧散していく。 (完全に逃げられた……) 普通の鳥が一匹こちらに来るが、どうやら彼らも見失ってしまったらしい。 (もしかして動物を使って見張らせてることもバレてるか? だとしたらまずいな……動物達はあくまでも一般的な生物。奴らにバ
Terakhir Diperbarui: 2025-05-16
Chapter: 40話 面影
「透明な触手にウォーターの反応……恐らくあいつはクラゲのイクテュスに違いない。人間のような体格なのは何故かは分からないけどね」 腕がまた腫れてしまった。生人君に叩かれた分と先程のクラゲ毒。 (後で薬貰わないと……) しかし泣き言は言ってられない。奴はモグラのイクテュスを助けたように見えた。なら知能がある可能性が高い。もし捕獲できて問い質せたらイクテュスについても何か分かる可能性が高い。 「捕まえてみるか? イクテュスのオレを?」 喋った。今までイクテュスは野生動物のように雄叫びや威嚇の声を上げるだけだった。だが奴は今確かに言葉を、それも流暢な日本語を発した。人並みの知能があるのは明らかだ。 「捕まえるだけで済むわけないでしょ……全部吐いてもらうわよ!! ウォーター氷を!!」 「うん!! はぁぁ!!」 奴の周りにあの時のように水の塊を発生させる。そこの熱をイリオが奪い氷を作り出し、それを高速回転させて牢獄を作り出す。 近づくのはあの触手がある以上危険だ。私達は水、熱、光の力を凝縮しあの回転する牢獄に放り込もうとする。だが奴は中で地面を強く殴りつける。衝撃がこちらに来ることもなく何をしたかったのか意図が全く分からない。 「二人とも下だっ!!」 ノーブルは経験からすぐに下がれるが私達はその不意打ちに対応できなかった。地面から奴の透明な触手が飛び出て私達の足に巻きつき締め上げる。 「あがぁっ!!!」 悲鳴にもならない絶叫と呻き声が半々となった声が木霊する。私達は力が抜けてガクンとその場に崩れてしまう。 (まずい……氷が……!!) 私の集中力が乱れたことにより氷の牢獄が消え奴が解き放たれてしまう。真っ先にイリオの元に向かい顔面を蹴り飛ばす。そしてそのまま彼女を踏み台にしてこちらに向かってくる。 「避けるんだ!!」 ノーブルの声が脳を揺らす。幸い私は持ち前の頑丈さで少しは体を動かせる。直線的なあの攻撃なら躱せるはずだ。 だができなかった。フードが一瞬ふわりと浮かび上がり私にだけその中が見える。 「えっ……なんで……」 中身は私の記憶を、トラウマを呼び起こすある人物の顔だった。そして私は何もすることができなくなり顔面を強打され意識を闇に堕とすのだった。 ☆☆☆ 「ウォーター!! イリオ!!」 わたしの後輩
Terakhir Diperbarui: 2025-05-15
Chapter: 39話 大先輩
「まず生人は地球でもキュア星でもない、他の惑星から来た宇宙人だ。簡単に言えば惑星間を旅するヒーローといったところだ。つまりはお前達の大先輩だな」 宇宙人。そう言われると先程の触手や傷の治りもイクテュスのものではないと説明できる。 「その……さっきはごめん。弁解は難しそうだったし、君達の本気を見ておきたくて……でも傷つけるつもりはなかったんだ」 確かに私達への攻撃は明らかに手加減されていた。一度触手に弾かれたがあれも本来だったら変身を保てなくなるレベルまで追い詰められていただろう。 「それって本当に信じていいのかな? さっきまでの彼はとても邪悪そうに見えたけど……?」 「そ、それは本当にごめん。過去に戦った奴らを参考にしてみたんだけど……」 「そうだ。生人は今回の件を無償で手伝ってくれるくらいには良い奴だ。今までイクテュスの索敵ができたのもこいつのお陰だしな。 言えなかったのは……すまない。キュア星や日本政府との取り決めで極力生人は介入させてはいけないんだ」 点と点が線で繋がる。 何故キュアリンが今まで索敵方法を教えなかったのか。生人君の存在を隠していたのか。 キュア星のメンツや地球とのこれからの関係。様々な大人の事情が絡み合っているのだろう。 「はぁ……そういうことかよ……なんだか必死になって損した気分だよ」 アナテマは肩を落とし、全力疾走後のこともありそのまま腰を落とす。 「生人さんの件は分かったよ。それよりさっきのモグラ……あれはイクテュス……なのかい?」 「何言ってるのノーブル? どう見てもあれはイクテュスよ。流石に」 「いや……ノーブルの言い分ももっともだ。今までイクテュスは水棲生物だけだった。なのに今回はモグラ……何かおかしい。嫌な予感がする……」 直近で戦ったイクテュスは、エビに亀にイカと確かにどれも水中や水の側に住む生き物達だ。 「とはいえ倒さないわけにもいかねーだろ? 今から追いかけるから今度はしっかり配信頼むぞ? あれないと全力出せねーんだからよ」 「それは分かっている……生人。奴の場所は分かるか?」 「モグラとなると……地中じゃ動物に頼もうにも……」 生人君が頭を悩ませているとまた揺れが私達を襲う。だが今度はそこまで大きくない。離れた場所に奴が居るのだろう。 「あっちだ! 配信は頃合
Terakhir Diperbarui: 2025-05-14
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