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由汰のらん
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小さな不思議ちゃんと、冷淡冷徹無表情の関西弁スパダリ先輩との日々。(情報量過多)
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Chapter: 1.ねえ先輩。爽ちゃん呼び、恥ずくないですか?
「|刈谷《かりたに》さあん! 来期の予算申請、お願いしてもいいかな?!」「もちろん、いいですよ。」「ありがとう〜! 助かる〜!」 刈谷さん、横浜支部では数字の鬼って云われてたんだよね。と、眉を下げて笑う|白河《しらかわ》さんは、私の2個上の先輩だ。縮毛矯正で手に入れたというストレートヘアを揺らし、先輩が廊下の方へと小走りで向かう。『西の|憂《すぐる》がお目見えなすった!』 白河先輩が、その人物を一目見ようと、他の女性社員の背中で爪先立った。総務部課長代理、|憂《すぐる》|李月《りつき》30歳がこの経理部のある5階のフロアにやって来たのだ。 冷淡冷徹、無表情。自分の仕事は自分の仕事、他人の仕事は他人の仕事。終わらないあなたの仕事を自分に頼まれても、それはどう足掻いてもあなたの仕事。終われるように予定を組まなかったあなたが悪いのだと、昔先輩に楯突いたことがあるのだそう。 感情をあらわにすることなく一掃する冷めたグレーの瞳。色素の薄い髪からは、ほろほろと雪の結晶が落ちてきそう。今憂先輩は、防災設備の点検で、フロアごとに消防署職員との検査に立ち会っているらしい。「総務の懇親会も送別会も歓迎会も来なかったんでしょ?」「絶対無理だって! 合同歓迎会じゃ来ないでしょ!」 秋晴れもいい後期の人事異動。私、|刈谷《かりたに》|爽《そう》27歳は、この度、|央海倉庫《おうみそうこ》横浜支部から東京本部の経理部に異動となった。今日は、総務、人事、経理部合同での歓迎会があるのだ。大勢人が集まる場所はとっても苦手だけれど、主役の立場なので出席しなければならない。同期だけなら気兼ねなく楽しめるのに、ビジネスオンリーの飲み会は信じられないほど億劫。私の心の壁は、なかなか他人には剥がせない。 廊下から聞こえてくるのは、憂先輩と女性社員たちの声。恐らく今日の歓迎会のお誘いなのだろう。冷淡冷徹な憂先輩は、社交の場であっても出ないものは出ない。徹底している。「あ、あの憂さん! 今日の合同歓迎会って、いらっしゃいます? 私達、歓迎会の幹事でして! 一応確認をとっているんです!」「い、一応ね!」 少しの間があって。場が凍りついたように静まるのを感じた。 そして事務的に返す、先輩の冷たい声。 「ちょっと、待って。確認します。」 女性社員の間に広がる
Last Updated: 2026-07-14
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