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Novels by Jaja

俗物夫婦回帰転生

俗物夫婦回帰転生

 幼稚園の頃から幼馴染でそのまま大学卒業後に結婚。  夫は働きたくないので、たまたま競馬で当たった金を使って投資家兼ギャンブル配信者へ。  妻はその活動を手助けしていた。  しかし気付けば二人もまもなく四十代。  若い頃はチヤホヤされていても、この歳になると中々きつい。  貯金はあるので生活は出来るが、二人は何処かやるせなさを感じていた。  そんなある日、夫婦で買い物の為に車で移動してると対向車が突っ込んで来た。  二人はあっさりその命を散らす事になったのだが…。  これは高校入試前に回帰転生した夫婦が、やっぱり働きたくないので、未来の知識を使ってチヤホヤされる為に奮闘する物語。
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Chapter: 第6話 
  緊張しながら学校に通う。 そして放課後はどちらかの家で猛勉強。 で、家に帰ってきたら競馬の本を読む。 「圭太。これ持って行って。多い方が良いでしょ?」 「助かる。交通費もあるからそんなに勝負出来ないと思ってたんだ」 「その代わりしっかり稼いでくるのよ?」 「負けはないから大丈夫」 そんな日々を過ごしているとあっさり週末。 競馬へ行く前日の土曜日も俺の家で勉強してたんだけど、梓がなけなしのお小遣いを俺に持たせてくれた。これで交通費を除いても諭吉一人分はある。 しっかり稼いできますぜ。 「行ってきまーす」 静かに挨拶をしてから家を出る。 母さんは日曜日しか仕事の休みがなく、まだ寝ているのだ。1Rのパドックから見たいから俺が出る時間が早いのもあるけど。 自転車に乗って最寄駅へ。 電車で1時間もしないうちに東京競馬場だ。 「バレませんように。バレませんように」 一応持ってる服で大人っぽいのを選んだつもりだ。それでも少し芋っぽさは抜けない。 今日勝ったらそれなりの服を買うべきだな。どこに保管しておくか迷うけど。 いきなり高い服を買ってきたら母さんに疑われるし。 「第一関門突破だぜ」 東京競馬場の最寄り駅に着くとまず向かったのはコンビニ。 そこで念願の煙草を買う事に成功した。 これまでも母さんが寝静まってから何本かパクっていたのだが、銘柄が違う事もあって爽快感は得られなかった。 俺氏。立派なヤニカスである。 「でも俺が未来で吸ってた銘柄はまだ発売されてないんだよなぁ。これでも母さんのよりはマシなんだけど」 確か俺が高校一年の頃にマルボ○のアイスブラス○が発売された筈。 後一年はこのマル○ロメンソールで我慢しなければ。それよりも煙草の値段が安すぎて驚いた。この頃は300円台だったんだよなぁ。 未来ではまもなくお札が必要な値段になりそうだったのにさ。 俺はコンビニ前の喫煙所ですぱすぱと煙草を吸う。他にもおっさん連中が新聞を凄い目で睨みながらも御一緒に。 この人達も競馬場に行くんだろうなぁ。 因みに俺もしっかり新聞を購入済みである。 煙草で英気を養ってからいざ入場。 内心ドキドキしてるのを悟られないように堂々と歩く。幸い、俺の事を気にしてる人間なんておらず、バレる心配はなさそうだ。 平均以上身長があって良かった
Last Updated: 2025-12-04
Chapter: 第5話 久々の投稿
なんとか金稼ぎについての目処が立った。 バレなきゃだけど。犯罪だし。 「き、緊張する」 翌朝である。母さんは既に仕事に行っている。 出る前に今日はしっかり行くように釘を刺されたのでおサボりは許されない。 しかしだ。40歳間近だった俺が、今更中学生に溶け込めるのだろうか。かなり不安である。 「だ、ダメだ。煙草吸いてぇ…」 未来では中々のベビースモーカーだった俺。 昨日はなんとか我慢してたが、そろそろ限界である。 大っぴらに吸う事も出来ない。なにせ中学生なので。 「うぅ。不便ばっかりだ…。母さんが寝てる間に何本かくすねておけば良かった…」 後でどうにか買う手段を考えよう。 幸い母さんも喫煙者なので匂いはなんとか誤魔化せるだろう。多分。きっと。めいびー。 「よし。行くぞ」 意を決して外へ出る。 なんだか制服がコスプレに見えてないか不安である。挙動不審になりながら歩いてるので不審者みたいに見えるかも。 「圭太!!」 「あ、梓!」 そこに救いの女神が。 途中から梓が合流してくれたお陰でかなり気が楽になった。 「制服って恥ずかしくない?」 「気にしすぎよ。堂々としてなさい」 梓さんはもう割り切ってる様子。 とてもじゃないけど、俺はその領域までいけないよ。 「おはよー!」 「おっはー!」 学校が近付くにつれて生徒が増えていく。 知り合いっぽい人達が挨拶してくるので、なんとか不自然にならないように返していく。 「やべぇな。マジで誰が誰だか分からん」 「そうね。困ったわ」 顔は分かる。あぁ。こんな奴居たなって思うんだけど、いかんせん名前が出てこない。 これは当分苦労しそうだ。 「俺って何組だったっけ?」 「私と一緒で三組よ」 靴箱の場所すら分からんってやばいよな。 名札が貼ってあったから良かったけど、無かったらここでもあたふたしていた筈だ。 「せ、席は?」 「覚えてる訳ないじゃない」 教室に入ってもまた苦難。 座席表とかないのかね。なんて回帰者に優しくない学校なんだ。 未来から過去に戻って来た人の事も考えてほしい。 「おーい、圭太! そんな所にぼーっと突っ立って何してんだ?」 「お、おう!」 えーっと。そうだ
Last Updated: 2025-12-03
Chapter: 第4話 母との再会
  その日の夜。 夕方頃に梓とはバイバイしてからも家でこれからの事を考えていると、母さんが帰ってきた。 「あんた、今日学校サボったんですって? 一体何やってるのよ」 どうやら学校から母さんに連絡がいってたらしい。ぷんぷんと怒ってる母さんをぼーっと見ていると自然と涙が出てしまった。 「な、なによ。どうしたの? どこか体調が悪いの?」 「な、なんでもない」 急に涙を流した俺を見て母さんはアタフタしている。口調は厳しいけど優しい母さんだった。 自分の事を後回しにして、俺の学費やらを捻出する為に必死に働いてくれていた。 恩返しする前に亡くなってどれだけ泣いたか。 「もう。明日はちゃんと行きなさいね」 「うん」 俺の頭をポンポンと叩いて台所に向かう。 しかし、今日はご飯は用意してるのです。梓が。 「あら? ご飯作ってくれたの?」 「梓が来てたから」 「よく出来た子ね〜。あんた、あの子は手放しちゃだめよ?」 「分かってる」 幼稚園からずっと一緒だった事もあり、梓と母さんは仲が良い。 というより、向こうの家とは家族ぐるみの仲だ。 母子家庭同士助け合いながら頑張ってきた。 「じゃあ頂いちゃいましょうか」 出来ていた晩御飯をレンチンして、テーブルに並べる。 「「いただきます」」 うまっ。え? うまっ! 「あら? とても美味しいわね?」 生姜焼きにご飯と味噌汁。至って普通のメニューなのに、高級料理かってぐらい美味い。 いや、確かに未来での梓は料理が上手だったけども。ここまでの味じゃなかったぞ? 「これがスキルの効果か? 一流シェフレベルじゃん」 「? 何か言った?」 「ううん」 梓の料理のレベルは5だったはず。 5でこれだけの味って…。10になったらどうなるんだ。これはスキルの検証も早い事しておいた方が良さそうだ。 「はぁー、美味しかった。あの子は良いお嫁さんになるわね」 「それは間違いない」 実際良いお嫁さんだった。 俺はガラケーを操作して梓にメールを送る。 久々すぎたけど体は覚えてるもんだな。 スマホの便利さに慣れてたけど、ぽちぽちと押すのがなんか懐かしく新鮮だ。 『料理がべらぼうに美味しいんだけど』 『私も家でびっくりしたわ。ママにどうやったのかって詳しく聞かれたぐらいよ』 メールを送ったらすぐに
Last Updated: 2025-12-03
Chapter: 第3話 ステータスボード
  「たっけぇ」 「とても中学生に払える額じゃないわね」 俺達二人の家はどちらかと言うと貧乏寄りだ。 両方共母子家庭で、生活に余裕がある訳ではない。お互いの母は俺達を養う為に必死に働いてくれている。 しかしその無理が祟ったせいか、俺の母は大学在籍中に、梓の母は大学を卒業してすぐに亡くなってしまった。それもあって働くのが嫌になったってのもある。 せっかく過去に戻ってこれたんだし、このバッドエンドは回避したいところ。 「ふむ。容姿とか学力を上げるのですら、こんなにお金がかかるのか」 例えば容姿は今50だけど、1上げるのに50万かかる。 運は20で1上げるのに20万。 「二桁の所の数字で金額が変わるみたいね」 「全部MAXにしようと思ったらどれだけお金がかかるんだよ」 スキルはもっと酷い。 歌はLv2で3に上げるのに200万。 競馬なんで6に上げるのに500万だぞ。 「あら? 新しくスキルを覚えられるのね? 一つ覚えるのに…ひえっ! 1000万!?」 たまんねぇなおい。 どれだけお金を取れば気が済むんだよ。 「いや、お金を払えば努力不要って事だろ? そう考えるとかなりお得なのか?」 「それでもよ。現状はどうしようもないじゃない」 俺達はまだ中学生。 バイトも出来ないし親にお金を無心する事も出来ない。しかしである。 「株なら出来るんだよな。母さんにお願いして、口座開設やらはしないとだけど」 「あら? そうなの?」 けど、ハードルがある。 まずはパソコンがない。ノートでもいいからとりあえず必要。その購入資金がない。 次にさっきも言ったけど親の説得。 株取引とかは、良く知らない人からしたらギャンブルと変わらないからな。 それを中学生の俺にやらせてくれるのか。 「これ、なんかお金の投入口みたいなのがあるから、ここに入れれば良いんだろうけど」 領収書とかくれるのかな? 無ければかなり面倒な事になるよね。 主に税金関係で。大金をこのステータスに注ぎ込む訳だしさ。 「とまぁ、軽く考えるだけで問題がいくつもある訳よ」 「私達の家は貧乏だものねぇ」 俺と梓は両方ともボロアパート住みだ。 必死に働いてくれている母さん達にお金を無心するのは気が引ける。 「でもせっかく戻って来れたんだぜ? 早く稼いで母さん達を仕事から離さ
Last Updated: 2025-12-03
Chapter: 第2話 回帰
  「圭太! 圭太ってば!!」 「う、うぅ」 梓の声が聞こえる。ペチペチと顔を叩かれてみるみたいだ。もう朝か? 「って違う違う! それどころじゃなかった!」 意味不明な現象が起こりすぎて、脳が限界を迎えたんだった! 「そうよ! それどころじゃないのよ!」 目の前の梓はかなり若かった。 何故か中学の頃の制服を着ていて、とても可愛らしい。いや、既に可愛いってより美しい寄りに変貌してきているな。 「梓。ちょっと待ってくれ。俺は今信じられない現象に理解が追い付いていないんだ」 いつまでも梓の制服姿を眺めていたいところだったけど、自分の事で精一杯。 そう思ってたんだけど…。 「やっぱり圭太もなの? 私、てっきり死んだと思ったんだけど…」 「え? 梓も」 こいつはびっくらポン。 どうやら梓もこの意味不明な現象に巻き込まれているらしい。 「このステータスみたいなのは?」 「見えてるわよ。それの相談がしたくてわざわざ家まで来たんだから」 どうやら丸っきり同じらしい。 違うのは梓はテンパらずに、学校をサボってまで俺の家に来たらしい。ん? 学校? 「私達中学三年生になってるわよ。意味が分からないわね」 梓に言われて慌ててカレンダーを見る。 どうやら中学三年時の五月に戻ってきてるらしい。 「マジかよ。一体どうして…」 「ほんとにね。圭太が居てくれて良かったわ。私だけ過去に戻ってきてたら絶望してたかも」 それな。俺も梓が居てくれてかなり気持ちが楽になっている。本当に良かった。 「えーっと…もう10時か。とりあえず今日は学校をサボろう。で、これからの事について話し合おう」 「そうね。分からない事が多過ぎるわ」 それから自分達の事について話し合った。 ガラケーと新聞を駆使して、本当に過去に戻ってきたのかを確認。 パラレルワールド的な事もありえると思ったけど、そんな事はなく。 俺達が知っている過去だった。 「やべぇだろこれ。こんな事を今考えるべきじゃないんだろうけど、やりたい放題出来るぞ? 株を知ってる通りに買っていくだけで億万長者だ」 「圭太が株取引をしてて良かったわ」 なんで戻ってきたのかは知らんが、やりたい放題させてもらうぞ? 俺は若い頃から妄想でこの時にこの株を買ってればとか考えていたから、それなりに過去の事も詳しい
Last Updated: 2025-12-03
Chapter: 第1話 俗物夫婦
  「はい利確〜。対戦ありがとうございました」 はいはい。今日のお仕事終了。 週末の競馬の為に調べないといけない事がいっぱいあるんだ。こんな事に時間を使ってる暇はない。 俺は咥えていた煙草を灰皿に押し付け、競馬新聞とネット情報を広げる。 「圭太ー。この前の動画の編集終わったよー」 「おぉーせんきゅー梓」 「仕事は終わったの? 私、買い物に行きたいんだけど」 「あ、俺も行きたい。もうちょっと待って」 むむむ。本命はやはり内の2頭のどっちかか。 穴に10番も入れるとして着順は…。 ボックスで買うか、フォーメーションで買うか。 迷うなぁ。最近は的中率も良くないし、安牌でボックスにしておくか。それならもう1.2頭見繕っておいた方が良いかも。 「ふむ。考察はこんなもんか。後はこれを動画でぺちゃくちゃ喋ればいいだけと」 「圭太も飽きないわね。チャンネル登録者も10万そこらしか居ないのに」 「まぁ、趣味でやってる程度だしな。競馬資金ぐらいになれば良いかなと」 俺の名前は谷圭太。 大学在籍中に競馬が大当たりして、それを元手に投資を始めた。そして、なにやらそれなりに才能があったみたいで、投資家として年収2000万ぐらいを稼ぎながら、ギャンブルを楽しんでる中年である。就職とかしたくなかったので万々歳だ。 まもなく40歳を迎えるのに、まともに働いた事もないクズ野郎です。 そして一緒にいるのが妻の梓。 幼稚園の頃からずっと一緒で、中学の時に交際スタートして、大学卒業後に結婚。 俺が趣味でやってるギャンブル配信に偶に出演したり、編集を手伝ったりしてくれている。 「チャンネル登録者1000万人とか達成してみたいよなぁ。夢のまた夢だけどさ」 「ギャンブルだけじゃ無理でしょ。他にも何か一芸がないとね」 「顔はイケメンだと思うんだけど」 「それで言ったら私は美女だわ。でも私達はもう40歳よ? 若い人には敵わないわ」 配信者をやるのが遅かったかぁ。 もっと早い段階から始めてたら何か違ったのかもしれないな。 それでもギャンブルだけじゃ厳しいか。 「有名になってネット民にチヤホヤされる生活を送りたかったもんだな」 「現状働かずに生活出来てるだけでも満足しないといけないんだけどね。世の社畜さんには申し訳ないけれど、人間慣れてくると欲が出てしまうわ
Last Updated: 2025-12-03
異世界に転生したので裏社会から支配する

異世界に転生したので裏社会から支配する

 スラムの路地で、ひもじい思いをしていた一人の少年。  「あれぇ? 俺、転生してるじゃん」  殴られた衝撃で前世の記憶を思い出した少年。  異世界転生だと浮かれていたが、現在の状況は良くなかった。  「王道に従って冒険者からの立身出世を目指すか…。それとも…」  そして何を思ったか、少年は裏社会から異世界でのし上がって行く事を決意する。  「マフィアとかギャングのボスってカッコいいよね!」  これは異世界に転生した少年が唯一無二の能力を授かり、仲間と共に裏社会から異世界を支配していくお話。  ※この作品はカクヨム様、アルファポリス様にも投稿しています。
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Chapter: 第6話 しばらくして
  「やべぇ。スラムの匂いが心地良く感じる」  スラムも結構きつい匂いしてるんだけどな。 とりあえず、地下水道から脱出して、すぐに光魔法で浄化を使った。使えるか不安だったけど、問題なく俺の思った効果通りに使えた。 魔力はこれでほとんど空になったけどね。 「とりあえず隠れ家に戻ろうか。ポケットがジャラジャラだ」 俺が着てる服は貫頭衣みたいだけど、下半身にはポケットが二つついている。 そういえば、この世界の季節はどうなってんだろうな。今は過ごしやすい感じだけど、もし寒くなるなら冬支度とかも考えないといけない。 「ふむう。昼を少し回ったところかね」 時計なんて上等な物があるわけもなく、太陽の位置を見て判断。 さて、これからどうするか。 「これからの一日のルーティンとしては、朝に地下水道でレベル上げ。午後は魔法の練習やら職業の確認。後は情報収集って感じかな」 とりあえず食料は一日一食で耐えれば、1週間は持つと思う。携帯食料が腐らなければだけど。 その後はどうしようか。コソコソ盗むか、また誰かを殺さないといけないのか。 出来れば殺すのは最終手段にしたいところ。スラムでは人の生き死にが珍しくないから、そこらに死体が転がったりしてても、不思議には思われないけどさ。大人が何人も殺されていれば、流石に警戒もされるかもしれない。 まあ、それは盗みをしても一緒だけどさ。 俺の心情的にも、まだ盗む方が罪悪感は少ない。まぁ、自己満足ってやつだね。死にそうならなりふり構ってられないけど。 もしかしたら、いつかネズミを食う事になるかもな。 「いよし! やっとレベルが上がったぞ!」 初の魔物狩りから三ヶ月が経過した。狩りもスムーズに行えるようになり、今では隠れ家に魔石が溢れ返っている。まぁ、小さな石ころが散らばってる感じだけど。 ☆★☆★☆★ 『名 前』 レイモンド 『年 齢』 12 『種 族』 ヒューマン 『レベル』 5  『体 力』 F/S 『魔 力』 E/S 『攻撃力』 G/A 『防御力』 F/A 『素早さ』 E/S 『知 力』 F/S 『器 用』 F/A 『恩 恵』 鑑定 複職 『職 業』 盗人 『属 性』 無 光 闇 ☆★☆★☆★ やばくない? 三ヶ月毎日午前中に休む事無く戦ってやっとレベル5なんだぜ。弱すぎて全
Last Updated: 2025-12-04
Chapter: 第5話 魔物との戦い
  「そりゃそうだよな」 夜になって外に出る為に、闇を纏う練習をしたり過ごしてるとあっという間に日が暮れた。 人通りも少なくなってきて、そろそろ行くかと門へ歩いて到着すると門は閉まっていた。 「うんうん。閉めるよね。何の為の門だよってなるし」 マジでどうすっか。 ……とりあえず隠れ家に戻ろう。 なんか夜になると危ない雰囲気の人が増えてきた気がするし、レイモンド君の記憶でも夜はほとんど出歩かないようにしてた。きっと危険って事なんだろう。 「よし。帰って今日は隠れ家で記憶を整理しながら寝よう」 思えば、今日は中々に波瀾万丈に過ごした。体は子供なんだし、休める時にしっかり休まないと肝心な時に動けない。 おお。なんかそう思うと一気に体が重くなってきたな。 俺は急いでスラムの隠れ家に向かい、すぐに睡眠を取るのであった。 「地下水道か」 翌日。俺は空腹で目が覚めた。 因みに俺の寝床は隠れ家なんて言ってるけど、実際は誰も使っていない空き家を勝手にそう呼んでるだけだ。少し表通りと近い故にスラムの人間が寄り付きにくく、表の人間も近付かない。 そんな所を、俺がありがたく拝借してる場所になる。 で、昨日寝る前に軽く記憶整理をしていると、この街には地下水道がある事がわかった。まぁ、少年の記憶は少な過ぎるし、限定的すぎるしで、整理するまでも無かったんだけど。街規模なら地下水道ぐらいあるわな。 それで、どうやら地下水道には、ネズミ型の魔物やらスライムが居るみたいなんだよね。 俺は干し肉に齧り付きながら考える。 地下水道はスラムからでも入れるし、ネズミやスライムが強いとも思えない。これは魔物戦をするには持ってこいじゃなかろうか。 「そうと決まれば早速行こう。その後どうするかは強くなってから考えます」 この街の人の能力値やレベルを見た感じ、そんなに強くなさそうなんだよね。少し魔物を倒して、レベルと能力値を上げる事が出来れば、裏の世界ぐらいすぐに牛耳れるのではと思ってる。 俺はそんな楽観的思考になりながらも、ルンルンで地下水道に向かった。 「くっさ! えっぐ!」 舐めてた。匂いが半端ない。既に引き返したい気分だ。薄暗くて視界も悪いしさ。 「光魔法で浄化とか使うべき? いやいや、ただでさえ少ない魔力量なんだ。ここは我慢。ここから出る時に使おう」 ま
Last Updated: 2025-12-03
Chapter: 第4話 予定
  空腹からの脱却。異世界に転生してから一番の天国と地獄を一日目で達成したかもしれん。 まさかご飯を食べて涙を流すとは。多分これは一生忘れらない経験になるだろう。 「でも一時凌ぎなんだよなぁ」 これからどうすれば良いんだよ。奪った食料だって保存出来て節約して食べるとはいえ長持ちはしない。早急になんとかしないといけないんだが。 「冒険者になれるのは後3年かかる。いや、年齢詐称してなる事も出来るのか」 親もいないガキがどうやって稼げと。絶対にシステム間違ってるだろ。この世界は子供に優しくありませんな。俺、子供好きなのに。 「ふーむ。これを15歳で通すのは無理か」 ガリガリヒョロヒョロちんちくりん。 自分の姿を客観的に見て、15歳と言い張るのは無理そう。 小学校6年生が中学3年生って言う感じだもんな。相当大きく成長してなきゃ厳しい。スラムのガキがそんな成長出来る訳ないね。 「その場凌ぎで食料を持ってそうな奴を殺していく? 出来れば悪人を。まだなんの罪もなさそうな人を殺す度胸はないしさ」 そういえば、吐いたり空腹だったりですっかり忘れてたけどレベルが1上がっていた。特に強くなった感じはしないけど、人を殺してもレベルが上がる事は確認出来たな。 「冒険者になって立身出世していくのが王道なんだろうし、俺もやってみたい気持ちはあるけど」 現状は厳しい。人を殺して食料を奪うって考えしか思い付かないあたり、既に思考が異世界になってる。現代じゃ絶対考えない事だったのに。 あ、後は光魔法を使ってヒールでお金を稼ぐって手段があるな。でも、なんかラノベでは教会とかと揉めたりしてるから、これはやめておいた方が賢明かね? 「ひたすらお店を回って頭を下げて下働きさせてもらうのもありか」 職業を変えれるんだし。そのお店に合った職に就けばそれなりに働けるだろう。 「果たしてスラムのガキを受け入れてくれる優しいお店はあるのかね? そんな仏みたいな人、そうはいないと思うなぁ」 それに働けたとしても奴隷みたいな環境で四六時中馬車馬の様に働かせられるのがオチだろう。 それならスラムと大して変わらん。いや、安全な寝床があるのは良いかもしれんが。  やっぱりコソコソと隠れて人殺しする方が強くてなるし良いのでは? ゆくゆくはスラムを支配して裏社会を仕切るみたいな。 「マフ
Last Updated: 2025-12-03
Chapter: 第3話 職業
  とにかく身体を回復させて移動したいので、魔法使いを選択した。すると、ステータスの職業欄が魔法使いになった。 あ、魔力と知力がGからFになった。就いた職によって能力値も変わるのか。なんかゲームみたいだな。 「痛い…。けど、記憶が逆流してきた時程じゃない。これなら耐えられる」 魔法使いの情報が頭に叩き込まれる。 もう痛覚が麻痺してるんじゃないかね。 痛みに鈍感になってきた。これが良い事なのか悪い事なのか。現状は楽で助かってるけど。 「なるほど、魔力操作。体内にある魔力を操作して魔法を使わないといけないのか。じゃあ、まずそれの練習からかな」 とりあえず使い方は分かった。後はとりあえず動ける程度まで回復させて逃げるべし。 俺は寝転びながら、魔力操作の練習を始めた。 「魔力って一回認識すると分かりやすいな。体内に血液以外の何かが流れてる感じか。現代人からしたら違和感しかないけど、熟達したら気にならなくなるのかね」 練習を始めて1時間程が経過した。 とりあえずは魔力を自分の意思で動かせるようになったと思う。 「ヒール」 おお!? 魔力がごっそり無くなった感覚。あんまり気分が良いもんじゃないな。それに、燃費が悪すぎる。 「治ったか、これ? 微妙なラインだ」 なんか折れた骨が繋がったような繋がってないような。中途半端に治った感じ。身体の痛みも微妙にマシになったように思える。 後何回かヒールをかけたら、とりあえず動けるようにはなりそうだ。 魔力がなくなる気持ち悪い感覚を何回も体験しないといけないけど致し方なし。俺は気持ち悪さと戦いながらも、なんとか動けるようになるまで回復した。 「身体はマシになったけど腹がやばい。ぼーっとするぞ、これ」 少年の記憶から安全な場所を思い出し移動した後。次の問題は空腹だ。 ………やっぱり、残飯を漁らないといけないのか。 記憶の中では残飯漁りをしていた。だが、現代人に残飯を漁って傷んだ食べ物を食べるのはかなりの抵抗がある。 「となると…。奪うとかの選択肢になるんだけど」 残飯を食べるか泥棒をするか。どっちも現代の基準が抜けてない俺からすると、やばい事なんだけど…。 ってか、果たしてレベル1のひょろひょろの少年が泥棒やらを出来るのだろうか。現代でも盗みとかをした事はないから分かんないぞ。 「盗賊とか暗
Last Updated: 2025-12-03
Chapter: 第2話 転生
  前世の俺はまぁ、可もなく不可もなく? ブラックな企業に勤めてる訳でもなく、不遇な幼少期やイジメにあったとかもない。極々普通に大学まで進学し、それなりの企業に勤めていた。 結婚はしていなかったみたいだが、それなりに人生を謳歌していたと思っている。なんで転生したのかは謎。死んだのかね? 最後の記憶は良い感じに酔っ払って、気持ちよくベッドに入ったところなんだけど。 「特に主人公属性とかないと思うんだけど。異世界に転生するにしても、もっと面白い人材が居ただろうよ」 体が全く動かないので、寝転がり空を見上げながら呟く。腹減ったなぁ。身体痛いなぁ。そして、痛みを紛らわす為に独り言を呟きまくる。 また屈強な男達に殴られたら堪らないから、小声でだけどね。 「こういう時の定番はっと」 前世で読んでいた転生物の記憶を掘り返す。書籍を買って読む程では無かったけど、無料投稿サイトで毎日の更新を楽しみにしてるぐらいには読んでいた。 「ステータス」 ☆★☆★☆★ 『名 前』 レイモンド 『年 齢』 12 『種 族』 ヒューマン 『レベル』 1/999  『体 力』 F/S 『魔 力』 G/S 『攻撃力』 G/A 『防御力』 F/A 『素早さ』 F/S 『知 力』 G/S 『器 用』 G/A 『恩 恵』 鑑定 複職 『職 業』 選択可  『属 性』 無 光 闇 ☆★☆★☆★ 「ふむ。見れたな」 ほえー。ファンタジー。まさか本当に出てくるとは思わなかったよ。少年の記憶にはステータスとか無かったからダメ元で言ってみたんだけど。 「この少年の体の名前はレイモンド君か。中々かっこいい名前を頂いちゃって」 中々不遇な少年時代を過ごしてるけど。 日本でぬくぬくと育ってきた俺には考えられないぐらいハードモード。ボコボコにやられて道端で転がされるなんてありえない事だからな。 貴重な体験をさせて頂いております。 「このレイモンド君は強いのでは? ステータスを信じるのならばだけど」 レベルは最低だけど、能力値はSばっかりだし? 職業やら恩恵やら良く分からない事もあるからちょっと調べていこうか。 どうせ動けないしね。 「ふむふむ? 鑑定さんは便利ですな。やっぱり異世界で一番のチートは鑑定さんだよ」 ステータスを更に鑑定してみて、より詳細が分
Last Updated: 2025-12-03
Chapter: 第1話 空腹
  「お腹空いた」 俺は何処にでもいるスラムのガキだ。 まだ12歳と成人もしておらず、15歳の成人からなれる冒険者という職に就くことも出来ない。 俺が7歳の頃、俺を産んだ母親が亡くなった。母親は娼婦の仕事をしていたらしく、客との間に出来た子が俺みたいだった。 父親が誰かは分からない。俺も興味はない。食べさせてくれるか、そうでないか。それだけだ。 その点、母親はお世辞にも良き母とは言えなかったがご飯は毎日一食は出してくれた。満腹にはならなかったが、それでもご飯を食べれるだけ幸せだと気付いたのは、流行病で母親が亡くなってからだった。 「お腹すいた」 母が亡くなってからというもの、俺はあっという間に住んでいた場所を追い出され、流れるようにスラムに居着いた。俺と同じように親のいない子供もたくさんいた。 そして、幼い奴からどんどん死んでいく。 最初の頃は仲良くしてた奴が死んで悲しんだものだが、人間ってのは慣れる生き物だ。 感覚が麻痺してきたのか、もう知り合いが死んでもなんとも思わなくなってしまった。 それよりも自分の事で精一杯だからだ。今日生きれても、明日には死んでるかもしれない。 そんなギリギリの生活が何年も続いた。 「お腹空いた」 スラムに居着いて数年が経った。 今日も今日とて、裏通りの安い酒場の残飯を漁る。ここの店主はスラムへの施しのつもりなのか、小汚いガキがゴミ箱を漁っていても、見て見ぬふりをしてくれる。 場所によっては、店の前を通るだけで殺されるなんて事もあるんだ。そのせいもあって、ここはスラムの人間からすると大人気の場所なのだ。 しかし、今日は出遅れたのか、どれだけゴミ箱を漁っても食べ物が見当たらなかった。 「お腹空いた」 昨日も少ししか残飯が無かったので、空腹は極限状態。頭はフラフラとして、正常時なら絶対行かない所までも足を伸ばしてしまった。 そして。 「ガキがっ! ここはお前みたいな奴が来ても良い場所じゃないんだよ!!」 気付いたら食べ物の匂いに誘われて、屈強な用心棒がいる酒場に来てしまっていた。 ここはスラムの闇組織が運営していると言われてるならず者が集まる酒場だ。空腹でぼーっとしていたせいで、こんな所まで流れてきてしまっていた。 「こっちこい!! 二度と馬鹿しねぇようにヤキを入れてやる!」 「ううっ…」
Last Updated: 2025-12-03
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