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月姫乃映月
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Novel-novel oleh 月姫乃映月

クズな夫に捨てられた私を拾ったのは冷徹と噂の若頭だった

クズな夫に捨てられた私を拾ったのは冷徹と噂の若頭だった

結婚三年目。 主人公・真嶋美月(旧姓・白石美月)は社長である夫・真嶋圭吾に尽くし続けていた。 だがある日、夫は若い女と腕を組みながら言い放つ。 「お前もういらない」 しかも不倫相手は、関東最大級の極道組織《黒瀬組》が仕切る高級店“クラブ・レイラ”のNo.1キャバ嬢だった。 夫はその女に入れ込み、店の売上金にまで手を出していた。 その額数千万規模の横領。 当然黒瀬組が黙っている訳もなく粛清に動く。 すべてを失い、雨の夜を彷徨っていた美月に声をかけたのは、黒瀬組若頭・九条蓮。 “冷酷無慈悲”と噂され恐れられる男だった。 「お前の夫を回収しに来た」 地獄の底から始まる、危険で甘い溺愛復讐劇。
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Chapter: 四話【安心】
深夜一時過ぎ。 私は借りた部屋のベッドへ座ったまま、ぼんやりスマホを見つめていた。 誰からの連絡もない。  静かすぎる夜。 なのに胸の奥だけが落ち着かない。「……眠れない」 小さく呟き私はベッドから降りた。  少し水を飲もうと思い部屋のドアを開けるとリビングは薄暗かった。 間接照明だけが点いていて、昼間よりずっと静かに見える。 その奥。 ソファに座る九条さんの姿があった。 片手に煙草。 もう片方にはグラス。 黒シャツのボタンが上から二つ外れていて、昼間よりずっと色気がある。 私は思わず足を止めた。「……起きてたのか」 低い声。「す、すみません」「謝んな」 九条さんは煙を吐く。「眠れねぇんだろ」「……はい」 図星だった。 「っ……」 急に目眩がして体がふらつく。 倒れそうになった瞬間、強い腕が腰を支えた。「おい」「……っ」 九条さんだった。 気づけば、ほとんど抱き寄せられるみたいな体勢になっている。「顔真っ青だぞ」「だ、大丈夫です……」「大丈夫な奴は倒れたりしねぇよ」 近い。 煙草と香水の匂いがする。 心臓が変な音を立てた。「座れ」 九条さんに半ば強引にソファへ座らされる。 すると額へ大きな手が触れた。「……熱あるな」「え?」「自覚ねぇのか」 言われてみれば、少し頭がぼんやりする。 ずっと気を張っていたせいかもしれない。「……すみません」「なんで謝る」 九条さんは呆れたようにため息を吐く。「待ってろ」
Terakhir Diperbarui: 2026-06-08
Chapter: 三話【不器用な人】
シャワーを借りたあと、私は案内された部屋で一人になった。 広い部屋。白と黒で統一された落ち着いた空間。 ホテルみたいに綺麗なのに、不思議と生活感がある。 ベッドの端へ腰を下ろし、私はぼんやり窓の外を見つめた。 高層階から見える夜景は今まで見た事のないくらい綺麗だった。 なのに何も感じない。 頭の中はぐちゃぐちゃだ。 数時間前まで普通に夕飯の献立を考えていた自分が、まるで別人みたいだった。「……はぁ」 深く息を吐いた、その時。 コンコン。「……はい」 ドアが開き、榊さんが姿を見せる。「失礼します」 手には紙袋があった。「若頭からです」「……?」「着替えとか最低限の物を買ってこいって」 渡された袋を開くと、部屋着や化粧水、歯ブラシまで入っていた。「え……」「サイズは適当に見繕いました。問題あったら言ってください」「い、いえ……」 私は戸惑う。 極道ってもっと怖い人達だと思っていた。 もっと乱暴で威圧的で。 でも九条さん達は少なくとも私にはそういう態度を取らない。「……ありがとうございます」「礼なら若頭にどうぞ」 榊さんは軽く笑った。「あの人、不器用ですから」「不器用……」「はい。優しくするの下手なんですよ」 少し意外だった。 確かに九条さんは口も悪いし目つきも怖い。 でも缶コーヒーを渡してくれたり、部屋を用意してくれたり。ずっと優しくしてくれている。「……どうして、そこまで」 思わず呟くと榊さんは少し考えるように黙った。「若頭、昔から“巻き込まれた人間”を放っておけないんです」「……え?」「まぁ、そのせいで余計な面倒背負うことも多いんですけどね」 そう言って苦笑する。 その時、廊下の向こうから低い声が聞こえた。「榊」「……噂をすれば」 榊さんが肩を竦める。 部屋の入口に九条さんが現れた。 黒いシャツにスラックス。 煙草を咥えた姿は相変わらず怖い。「長居しすぎだ」「すみません」 榊さんは軽く頭を下げる。「じゃあ俺はこれで」 そう言って出て行った。 部屋に沈黙が落ちる。 九条さんは私を見るなり言った。「少しは落ち着いたか」「……はい」 本当は全然落ち着いてない。 でもこれ以上迷惑をかけたくなくて、そう答えた。「嘘つけ」 でも即座に見抜かれてしまう。「顔
Terakhir Diperbarui: 2026-06-07
Chapter: 二話【別世界】
九条さんに連れられ、私は黒塗りの車へ乗せられたまま街を走っていた。 窓の外には綺麗な夜景が流れていく。 だけど何も頭に入ってこない。 離婚。 不倫。 横領。 極道。 数時間前まで普通の主婦だったはずなのに、突然別世界へ放り込まれたみたいだった。 「……あの」 恐る恐る口を開く。 「なんだ」 「本当に……圭吾は、その……黒瀬組のお金を……?」 ハンドルを握る運転手の横で、九条さんは煙草を咥えたまま答えた。 「証拠は揃ってる。実際お前の住んでいた家はあんな状態だっただろ」 淡々とした声。 「お前の旦那、元々は頭回るタイプだったんだろうな。金の流し方が妙に綺麗だった」 「……」 「だが欲をかきすぎた」 車内に煙草の匂いが広がる。 「女に入れ込み、見栄張って、背伸びして、最後に道を踏み外した」 確かに最近の圭吾は明らかに羽振りが良すぎた。 車も更に一台高級車を買い、高級時計も買っていた。 でもそれは会社が成功しているからだと思っていた。 私はそう信じていた。 「……私、何も気づけなかった」 小さく呟くと、九条さんは窓の外を見たまま言った。 「気づける女ならとっくに逃げてる」 しばらくして車が止まる。 連れて来られたのは高層マンションだった。 「降りろ」 エレベーターへ乗り、最上階へ向かう。 部屋へ入ると、驚くほど静かだった。 黒を基調とした広い部屋。 余計な物がほとんどない。 でも不思議と冷たすぎる感じはしなかった。 「ここ……」 「俺の部屋だ」 あまりにも自然に言われて、私は固まった。 「えっ……!?」 「あまり騒ぐな」 九条さんはジャケットを脱ぎながらソファへ座る。 「しばらくここにいろ」 「む、無理です!」 「じゃあ帰る場所もなくただひたすら一人で歩くか?」 その一言で黙るしかなかった。 今の私には行く場所がない。 「……お邪魔します」 「それでいい」 九条さんは面倒そうに言いながら煙草へ火をつけた。 その時だった。 コンコン。 部屋のドアがノックされる。 「若頭」 入ってきたのは黒服の男だった。 年齢は三十代くらい。 鋭い目つきだけど、九条さんほど怖くはない。 「|榊《さかき》です」
Terakhir Diperbarui: 2026-06-07
Chapter: 一話【冷徹と噂の若頭に拾われた日】
「――お前とはもう終わりだ」 高級マンションのリビング。いつもの安心できる落ち着いた空間でその言葉を聞いた瞬間、私は頭の中が真っ白になった。 「え……?」 つい昨日まで“幸せな家庭”だと思っていた場所で、夫の|真嶋圭吾《ましま けいご》は面倒臭そうにネクタイを緩めた。 「だから離婚しようって言ってるんだよ」 テーブルの上には離婚届。 そして圭吾の隣には――若く綺麗な女が立っている。 派手な赤いワンピース。 甘い香水の匂い。 男に媚びるような笑み。 「初めましてぇ、|美月《みづき》さん」 女は楽しそうに笑った。 「圭吾さん、ずっと我慢してたんですよぉ? 地味で色気のない奥さんに。夜もまともに相手してくれないし満足できないって私に毎日のように言ってましたよ」 「……どういう……こと?」 震える声で聞くと圭吾は鼻で笑った。 「そのままの意味だよ。俺は|麗華《れいか》と一緒になる。お前はもういらない」 私は言葉を失った。 結婚して三年間。夫を支えるため必死だった。仕事をやめて毎日支えた。 起業したばかりで苦しかった時も。 朝まで資料を作った日も。 高熱で倒れた日も。 全部、隣で支えてきた。 なのに。 「……私の何がダメなの……私あなたの為に今まで沢山頑張ってきたのに……」 「お前にはもう飽きた」 冷たい声だった。 涙が出るより先に、呼吸が止まりそう。 麗華は勝ち誇ったように私を見下ろしてくる。 「ねぇ、早くサインしてくれません?」 世界が崩れていく。 涙が出そうなのに、 ショックが大きすぎて逆に泣けなかった。 「安心しろ慰謝料はたんまり振り込んでやる。それでいいだろ」 まるでゴミを捨てるみたいに夫は私を切り捨てた。 結局、私は何も言えないまま離婚届にサインをして財布とスマホだけを持って家を出た。 私はネオンで滲む夜の街を雨に打たれながらただただ俯いて歩く事しかできなかった。 「……っ」 惨めだった。行く場所もない。帰る家もない。 私を愛してくれていると思っていたあの人は最初から自分を愛していなかったのかもしれない。 カップルの笑い声が耳障りだった。 世界中が幸せそうなのに、自分だけが取り残されている気がする。 ふらついた足が車道へ出
Terakhir Diperbarui: 2026-06-07
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