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牧田紗矢乃
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Nobela ni 牧田紗矢乃

こちら、キッカイ町立図書館フシギ分室・怪奇現象対策課! ~キッカイ町の奇怪な事件簿〜

こちら、キッカイ町立図書館フシギ分室・怪奇現象対策課! ~キッカイ町の奇怪な事件簿〜

 幼い頃からのあこがれだった図書館での勤務が決まり、大喜びしていた私。  その目の前に現れたのは今にも崩れそうなボロボロの公民館でした。  しかもそこにあったのは図書館の名を借りた「怪奇現象対策課」なんて名前の怪しげな組織。  平穏なようでどこか奇妙なここキッカイ町で起こる不思議現象たちの真相を暴くため、日々奮闘しているらしいのですが……――。 「見てください。7Gですよ! 飛んじゃいけないものが飛んでます」 「み、みぃちゃんが溶けたっス~」 「どうしてお悔やみ欄に私の名前がっ!? 私まだ死んでないですー!!」  私を待っていたのは個性豊かな伏木分室の仲間たちと、怪異に翻弄されるドタバタな毎日でした。
Basahin
Chapter: 第25話 相乗りしたのは……
 快気祝いと称してかなちゃんに呼び出されたのはキッカイ町の海側である|布佳海《ふかかい》地区にある居酒屋だった。 なんでも予約の取れない店として一部では有名な店らしく、かなちゃんがここを予約したのも半年前だったとか。 ……ってあれ? なんか辻褄が合わない気がするけど?? まあ、どの料理もすごく美味しかったからいいか。 そして、そのまま二軒目、三軒目とはしごをしていき、気が付いた時にはかなちゃんはすっかり出来上がっていた。「こーづかちゃん、本っ当に無茶はしちゃダメだよ?」 酔っ払ったかなちゃんが何度目かの同じセリフを口にして私を抱きしめる。 本当の本当に私のケガのことを心配してくれていたみたいだ。「わかってますって! さすがにこれだけ痛い目に遭ったらもうやりませんよ~」 私も何度目かの同じ返事をして、残っていたしめ鯖と日本酒を一気に流し込んだ。 頭がポーっとふわーっとして気持ちいい。 けど今何時だろう? 何気なくスマホの画面を覗いて、しまったと思った。「かなちゃん! 大変です! 日付変わってる!!」 ぼんやりしているかなちゃんにスマホを見せるけれど、かなちゃんもぽやっとしていてふんふんとご機嫌な相槌を打つだけだった。 今月はケガのせいで入院したり手術を受けたりいろいろと出費が多いから、せめて往復の交通費を浮かせるためにバス移動にしようと思ったのに……。 最終バスはもう二時間以上前に行ってしまったらしい。「諦めてタクシーでも使いますかぁ……」「じゃぁあたひあつかん~」 そうと決まればもう一杯。 ろれつが回らなくなっているかなちゃんの代わりに私が注文をし終えた時、お店のドアが開いた。 この時間にも新しいお客さんが来るんだなぁ、と思って入り口の方へ視線を向けると、そこに立っていたのはスーツ姿の男の人だった。 その人は私たちが座るカウンター席にまっすぐ向かってくる。 常連さ
Huling Na-update: 2026-10-03
Chapter: 第24話 瀬田さんの通信簿
「お、おはようございます……」 週が明け、右手をギプスで固定された私は赤面しながら|伏木《ふしぎ》分室に入った。 人生初の除霊で人生初の骨折をし、人生初の入院と手術を終えた。 ケガをしたのが利き手だからしばらくは不自由な生活になるけれど、こればっかりは自業自得だから仕方がない。「うわぁ……思ったより酷いことになってますね」 私の手を見てぎゅっと顔を歪める|結城《ゆうき》ちゃん。 その横でワクワク顔の|真藤《しんどう》くんが油性ペンを握りしめているのはなぜだろう?「|香塚《こうづか》さん、おはよう。 みんな揃ったし、|瀬田《せだ》さんから届いた手紙を見ましょうか」 そう言って|小津骨《おつほね》さんが持ってきたのは、厚さ三センチはありそうなA4サイズの分厚い封筒だった。 表面には大きな赤い文字で「重要書類在中」と書き付けられている。 瀬田さんの筆跡なのだろうか。 とても綺麗な字だ。 大きな封筒の中には私たち一人一人の名前が書かれた茶封筒と、数種類のお札が入っているクリアファイル、あとは表紙にでかでかと「機密文書」と書かれた冊子が一冊入っていた。「これは……瀬田さん独自の怪異対処マニュアルね」 いかにも仰々しい雰囲気の機密文書をパラパラと流し読みしていた小津骨さんが呟く。 これが外部に流出することは絶対に許されないので、小津骨さんがきっちりと管理してくれるようだ。 次に、私たちはそれぞれ自分の名前が書かれた封筒を受け取って中身を確認することになった。 中に入っていたのは二枚の紙。 香塚|妙《たえ》様 視認・D 接触・B 対話・E 除霊・SSS 総合・B+ 一枚目に書かれていたのはそれだけ。 もう一枚はA4サイズの紙に細かい文字でぎっちりと書き込まれている。
Huling Na-update: 2026-09-30
Chapter: 第23話 怪奇レポート006.排気口に詰まった毛髪・弐
 排気口の中から髪の毛の塊を引きずり出す試験に続き、今度はコレを浄化する試験。 アパートでやると迷惑になりかねないので、歩いて数分のところにある小さな公園に場所が移された。「一般的な除霊に用いられる道具がひと揃えしてありますので、お好きなものを使ってください」 そう言って瀬田さんは車のトランクルームに積んでいたキャリーバッグを開ける。 そこには御神酒や数珠、清めの塩から十字架や前に壁のシミを取った時に真藤くんが使っていたような聖水の瓶もある。 あとは使い道がわからない道具も多数。 今回は時間がかかることを想定して、全員で一斉に開始することになった。 みんな緊張した顔をしている。「あの、一つ聞いてもいいですか?」「なんですか? 香塚さん」「この髪の毛の塊って本当に怪異ですか?」「髪の、かたまり……?」 結城ちゃんがポカンとして首をかしげる。 すると、瀬田さんが「ああ」と声を漏らした。「すみません。皆さんコレがきちんと視えているものだと思っていました。先にそれぞれ見えているモノの状態を説明してもらいましょうか」「え? 髪の毛の塊じゃないんですか?」 私の言葉を否定するように、他の三人が次々に口を開いた。「いや、生首っスよ」「そうね。恨めし気な顔をした女性の生首だわ」「はい。泣きぼくろがあって、生きてた頃はモテてそうな若い女の人です」 えぇ……。 みんなにはそういう風に見えていたんだ。 そりゃ掴むのに躊躇するよね。 見え方に多少の違いはあるようだけど、私以外にはそれが人間の頭部だとわかっていたらしい。 昔から霊感がない自覚はあったけどちょっと悔しいなぁ。「視るのと祓うのは別ですから、とりあえずやってみましょう」 瀬田さんに促され、私たちはそれぞれの前に置かれた頭部(……らしいもの)に対峙した。 …&h
Huling Na-update: 2026-09-26
Chapter: 第22話 怪奇レポート006.排気口に詰まった毛髪・壱
「それにしても、キッカイ町は面白い場所ですねえ」 移動の車中、|瀬田《せだ》さんは顎を撫でながら満面の笑みを浮かべる。 ほら、と言いながら見せられたのはスマホの待ち受け画面だ。 特に変わりは無いように見えるけど……。「見てください。7Gですよ! 飛んじゃいけないものが飛んでます」 言われて初めて気付いた。 画面の左上、受信中の電波マークの隣には「7G」と表示されている。 当然のように私のスマホも……。「あれ? 5Gが最新でしたよね??」「そうね。だけどこの辺はまだ基地局が出来てないから4Gしか飛んでないはずよ」 助手席に座る|小津骨《おつほね》さんはバッグにしまっていたスマホを取り出し、ちらりと画面を確認していた。 通信速度が変わったりしないから今の今まで気付かなかったけれど、一体何が起こっているんだろう。「7Gって何なんですかねぇ? ……あ」 詳細を見られたりしないかなと思いながら「7G」の文字をつついていると文字がクシャっと歪んで形を変えた。 次に現れたのは見慣れた「4G」の表示だ。「直りました」 驚いて画面を見せると、瀬田さんはさらに笑顔になった。「こういう怪異はですね、気付かれると逃げ出すものなんですよ」 ニコニコしながら逃げられる前にとスクショを撮っている。 どうしてこの人はこんなに嬉しそうなんだろう。 こういうとこ、|結城《ゆうき》ちゃんと似ているなぁ。 ……あ。 もしかして瀬田さんのところの神様が結城ちゃんを選んだのってそういう理由? だとしたら縁結びの神様としての力はすごいのかも。 一方、神様の|能力《ちから》から解放された結城ちゃんは少しぼーっとした様子で窓の外を眺めている。 いつもより静かでちょっと安心だ。「着いたっスよ〜」 |真藤《しんどう》くんが
Huling Na-update: 2026-09-23
Chapter: 第21話 オオガネモドキを捕まえろ!
「みんな、お客さんよ」 たっぷりあったゴールデンウイークは瞬く間に終わり、日常が戻ってきた。 まだまだ休みボケが抜けきらないまま仕事をしていた私たちに向けて|小津骨《おつほね》さんが声を張り上げる。 小津骨さんの隣には見たことのない男の人が立っていた。 ひと目見た印象としては普通の人。 年は私より若くて、|結城《ゆうき》ちゃんと同じ二十代前半くらいかな? 光の加減によって金髪にも見えるくらい明るい髪色の|真藤《しんどう》くんとは対照的で、黒髪の落ち着いた印象を受ける人だった。「はじめまして。|瀬田《せだ》|巽《たつみ》といいます」 瀬田と名乗ったその人は、静かに頭を下げた。「瀬田さんは|雪蔭《ゆきかげ》神社の神主さんで、怪異の対処についても詳しい方なの。今日は瀬田さんに怪異への対処の仕方を教えていただきますからね」 テキパキと説明をする小津骨さんの隣で彫像のように静かに佇んでいる瀬田さん。 彼の周り、半径一メートルくらいの空間だけ空気が違っているように見える。 二十代前半にしてはずいぶん落ち着いた雰囲気にも見えるし、彼からマイナスイオンでも出ているんじゃないだろうか。 ……なんて考えていたらお昼を告げるチャイムが爆音で鳴り響いた。 これにはさすがの瀬田さんも驚いたようで、わずかに目を見開いて天井に視線を移した。「毎日この音量で鳴ってるんですか?」「そうなんです。驚かれましたよね」「まあ、少し。もし良かったら僕に見させてもらえますか? 直せるかもしれません」 瀬田さんって機械の修理までできるの!? 車の運転でドヤ顔をしているうちのチャラ男にも見習ってほしいな。 真藤くんをちらりと横目で見てみると、私の心の声が聞こえてしまったのかちょっと不機嫌そうにこちらを睨みつけているじゃないか。 いや、私越しに瀬田さんを睨んでいる……? 小津骨さんは着信があったらしく、スマホを耳に当てながら小走りで廊下へ出て行って
Huling Na-update: 2026-09-19
Chapter: 第20話 行方知れずの『ますたぁきい』・弐
「こーづかちゃん、伏木分室ってどんな感じのとこなの?」 アイスコーヒーにガムシロップとミルクを入れてかき混ぜながら、かなちゃんが問い掛けてきた。「どんなところ、かぁ……。別に普通ですよ? 仕事の内容はちょっと変わってるけど、一緒に仕事をしている人たちはみんないい人ですし」「へ〜。あそこの館長って町長の前の奥さんなんでしょ? 私会ったことがないんだけど、どんな人なの?」 かなちゃんが思っていた以上に食いついてきたので驚いた。 っていうか|小津骨《おつほね》さんが町長の奥さんだったって話は私ですら最近知ったばかりなのに、どうしてかなちゃんが知っているんだろう。 私以外の人たちの間では知られていたことなのかな?「小津骨さんは……頼れる姉御みたいな感じかなあ。美人で仕事もできて、魔性の女って雰囲気もあるし。とにかくすごいですよ」 すごい、なんて言葉で言い表しきれる人じゃないんだけど、すごい以上の表現が出てこない。「他には? どんな人がいるの?」「あとは新卒で入ってきた結城ちゃんと、大学生アルバイトの真藤くんかな。二人とも面白い子ですよ」 そういえば真藤くんが町長さんの息子なのを忘れてた。 真藤くんの名前を出しちゃまずかった? 言い終えてから不安になってきた。「忘れ物、忘れ物!」 私の心配事を蹴散らすような慌ただしさで木井さんが戻ってきた。 いつの間にかエプロンから着替えて魔術師のような黒いフード付きのマントを纏っている。 そして、雑貨がひしめく飾り棚に向かうとひったくるように水晶玉を取り上げ、再び奥の部屋に戻っていった。 嵐のような出来事に私とかなちゃんは目を丸くした。「えっと……何の話をしてたんだっけ?」「何でしたっけ? ああ、伏木分室はいい人ばっかりだよって話か」 あまりのインパクトに二人揃って直前の記憶が飛んでしまった。 おかげで触れたくないところに触れずに済んだけど&he
Huling Na-update: 2026-09-16
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