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 転生聖女の幸福譚~悪役令嬢を救うため、断罪劇で恋人宣言してしまいました~

転生聖女の幸福譚~悪役令嬢を救うため、断罪劇で恋人宣言してしまいました~

異世界ファンタジー友情ゲーム転生
「私たち……お付き合いしているのですわ!」 よくある断罪劇の一幕で、聖女リリエルが放ったまさかのお付き合い宣言。それは、悪役令嬢ローザリアを断罪させないための、咄嗟の言い訳で―― 転生聖女リリエルは知っていた。 この世界は乙女ゲームで、抗えない“強制力”に支配されていることを。 けれど諦め気味のリリエルが学園で出会った悪役令嬢ローザリアは、ゲームとはどこか違っていて。 これは、この爆弾宣言に至るまでの舞台裏。 リリエルは自分の“現実”を一つずつ選んでいく。
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Chapter: 始まりの日
 胸の奥に燃える高揚感を抱えながら、私は思い返す。 どうしてこんな茶番めいた断罪に至ったのか── その始まりの日を。 ◇ 私は、生まれたときからずっと違和感を抱えていた。 ──前世の記憶があったから。 もちろん、最初から「ここはゲームだ」と思っていたわけじゃない。 けれど物心ついたころから、世界がどこか作り物めいていると感じていた。 口答えをすれば「まあ、なんて聡明でいらっしゃる」(ただの屁理屈でしょ!) 庭で泥だらけになれば「冒険心もおありなのね」(違う!ただのイタズラ!) わざと悪いことをしてみても同じ。 お菓子をつまみ食いして知らん顔をしたり、わざとお行儀を崩してみたり。 それでも返ってくるのは「お茶目でかわいらしい」「自由な発想ね」と笑顔ばかり。 明らかに特別扱いされているのに、妬まれるどころか、同世代の子供たちすら私に好意的だった。 一応男爵令嬢とはいえ、庶民同然に暮らしていた私に、そこまで気を使う理由なんてない。 ……世界が私にだけ、都合のいいフィルターをかけているみたいだった。 その違和感が確信に変わったのは、七歳のとき。 庭園の奥にある湖畔で、私はすべって水の中へ落ちてしまったのだ。 冷たい衝撃が体を包み、視界は一気に暗く沈んでいく。 必死に手足を動かしても、服は重く絡みつき、光がどんどん遠ざかる。 ──あ、ここで死んじゃうんだ。そう思った瞬間、胸の奥がぱっと熱くはじけた。 まぶしい光が水中いっぱいに広がり、泡のように舞い上がる。 湖の底から天へと突き抜けるような光柱となり、私の体はふわりと押し上げられて―― 次に気づいたとき、私は岸辺に横たえられていた。 駆け寄った大人たちが、あおざめた顔で私を囲んでいる。「い、今の光は……」「まさか……聖女の奇跡……!」 震える声が頭上から降りそそぐのを聞きながら、私ははっとした。 ──そうだ。前世で夢中になっていたあのゲーム。 幼少期に命の危機で力が目覚める、あのプロローグのイベント。(……ここは、ゲームの世界……!) 鏡をのぞいて、私は愕然とした。 昨日までの平凡な茶色の髪が、光をまとったような淡い金髪に変わっていたのだ。(見た目が違ったから……気づくのが遅れたんだわ) もっと早くに気づいていれば……なんてそのときは思ったけれど。 結
最終更新日: 2026-09-07
Chapter: これはよくある断罪劇の一幕――の、はずだった
 これはよくある断罪劇の一幕──の、はずだった。 煌めくシャンデリアの光が降り注ぐ大広間。 その中心には、王太子と貴族の子弟たち。 正義と信仰を掲げる若者たちが並び立ち、場はまるで神聖な裁きを思わせた。 前に立たされたのは、公爵令嬢ローザリア・フォン・クロイツ。 金の髪が波打ち、紅玉の瞳が静かに光を返す。  こんな場面に立たされているというのに、怯えも動揺もなく、そこにあるのは、ただ、威厳と美。「ローザリア・フォン・クロイツ! お前の罪は明白だ!」 王太子の声が大広間に響き渡った。 張りつめた空気のなか、ざわめきが広がる。「聖女リリエルを妬み、数々の嫌がらせを仕組んでいた。 ──違うとは言わせない!」 王太子の断言に、視線が一斉に移る。 そこに立つのは、淡い金髪に光を宿し、エメラルドの瞳を凛と輝かせた少女。 可憐な花のように立つ彼女の肩が、かすかに震えた。「可憐なリリエル……可哀想に、こんなに震えて」 王太子が彼女の肩を抱き寄せる。 それを側近の魔術師と騎士が取り囲み、向かい合うように立つローザリア。 光と影が対峙するような、その光景はあまりに完璧な構図だった。 舞台の上ではそれぞれが役割を果たし、観衆は息を詰めて“結末”を待つ。 それは、望まれた予定調和。 だが── その夜、観衆の誰もが想像しなかったセリフが響くことになる。 ◇(もう!ローザ様はどうして何も言わないのよ!) 私――聖女リリエルは、頭の中で必死に叫んでいた。 背中にはじっとりと嫌な汗が伝っている。「嫉妬に駆られて聖女を陥れ──盗賊事件でも、魔力暴走でも、必ずお前が現れた!」「本来ならば、安全なところで守られるべき聖女を──お前は自ら危険に追いやり、都合よく救うことで信頼を得たのだ!」「そうだ、聖女を狙って事件を仕組んでいたとしか思えぬ!」 王太子たちは、いかにも重大そうに罪状を並べ立てている。  ――こんなの、証拠というにはお粗末すぎるのに、どうしてだれもつっこまないの。 視線をやると、当のローザリアは完璧な微笑みを浮かべていた。「さすが公爵令嬢」「動じないわ」なんて囁かれているけれど── あの表情を私は知っている。 余裕なようでいて――ただボーっとしているだけの、あの顔。たぶん何も考えていないか、今日のデザートのことでも考
最終更新日: 2026-09-07
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