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第304話

Author: 冷凍梨
八雲の停職処分の知らせは、一時間後には東市協和病院全体に広まり、まるで火に油を注いだかのように、院内に大きな騒ぎを巻き起こした。

院内では特別調査チームまで立ち上がり、神経外科副主任の職務も一時的に雅典が代行することになった。

八雲のオフィスも封鎖された。

これまで何度か噂話に巻き込まれてきたが、今回は明らかに以前とは異なり、状況ははるかに深刻だ。

そして同じく噂の渦に巻き込まれたのは葵だ。彼女は八雲のように停職こそされなかったものの、私の知る限り、人格を攻撃されるようなひどい言われ方もされていた。

なかなか惨い状況だ。

だが、この一連の動きの中で、皆が最も関心を寄せ、話題にしているのは――匿名の告発者が誰なのか、ということだ。

そして不幸なことに、またしても私が「最有力候補」のひとりとして名前が挙がっている。

これで私が八雲や葵と同じ話題に巻き込まれるのは一度や二度ではない。表面上は冷静を装っているが、内心では強い不快感を覚えずにはいられない。

もうすぐ婚前契約が期限を迎えるというのに、こんな時に八雲が「職権不正利用」などというスキャンダルに巻き込まれでもしたら……もし仮に、このタイミングで誰かが私と八雲の婚姻関係を暴きでもしたら、また無実のまま泥をかぶる羽目になる。

今の私は、ただ静かに契約期限を迎えたいだけなのに。

とはいえ、現実は常に思い通りには進まない。

午後のティータイム、桜井と一緒に給湯室へ向かうと、遠くから数人のインターンが葵と薔薇子を囲み、口々にあれこれ噂話をしているのが見えた。

「八年制の医学生だからって、別に大したことないでしょ」ひとりが憤ったように言った。「一日中、何を偉そうにしてるのかしら!」

「要は、負け惜しみだけだよ。実力がなくて、神経外科に入れなかったから、表じゃ勝負できない分、裏でこそこそ汚い真似をするのよ」薔薇子は保温ボトルの蓋をひねってお茶を一口すすり、立ち上る湯気が眼鏡の奥の視線を曇らせた。「うちの葵なんて、ずっと水辺先生を尊敬して『水辺先輩』って呼んでたのに、恩を仇で返して、利を見ればすぐ裏切るなんてね」

中央で慰められていた葵は、その言葉を聞くと二度ほど嗚咽し、悲しげで痛々しい表情を浮かべた。

「本当よ。人のことを『コネだ』なんて言う前に、自分の身の程をわきまえなさいって話よね」別のインター
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Mga Comments (5)
goodnovel comment avatar
Julius
あと残り何日でしょうか? 水辺先生の体力凄すぎ どんなに怪我しても、高熱出ても翌日には仕事してトラブルに巻き込まれる
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amane
薔薇子が葵への嫉妬で垂れ込んだ葵vs薔薇子 葵の自作自演で八雲vs葵とかだったら面白い
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カナリア
ホントこの病院暇なんだねぇ ここまできて八雲と結婚してるってわかった時どーなるのかなぁ 葵が愛人ってなったらどー反応するのかなぁ まぁ ある意味葵も騙されてるけどね
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