Craving Carmen

Craving Carmen

last updateLast Updated : 2022-07-29
By:  Dimpho NtoiCompleted
Language: English
goodnovel16goodnovel
Not enough ratings
80Chapters
5.4Kviews
Read
Add to library

Share:  

Report
Overview
Catalog
SCAN CODE TO READ ON APP

Carmen was found on shores of the Pacific as baby. King Cyrus of the country of Kineti, took her and raised her as his own. The child discovers her hidden abilities but advised to keep them a secret as she might be burned for having them. When she becomes a woman she uncovers the hidden truths about who she truly is.

View More

Chapter 1

Little Carmen

これは私が神父になったばかりの頃のお話です。私がいる教会には告解室があります。懺悔室と言ったほうが伝わるでしょうか?

 ラムネが恋しくなる真夏のこと。誰かが告解室に入ってきました。

「神父様、いらっしゃいますか?」

 凛としつつも幼さの残る声に驚き、顔を上げると、ひとりの少女がいて驚きました。

 我々神父からは相手の顔が見えますけど、相手からは我々の顔が見えない造りになっています。

 これは私個人の考えなのですが、勇気を出して自らの罪を告白するお相手の顔を一方的に見るのは良くないと思い、うつむきながら聞くようにしています。結局、話を熱心に聞くあまり、相手の顔を見ることになるのですが。

 少女はだいたい中学生くらいでしょうか? 喪服のように真っ黒で、飾り気のないワンピースを着ていました。

 この年齢の者が来ることにも驚きましたが、彼女の表情に驚きました。

 懺悔をしに来る者は、自らの罪に押しつぶされそうな、この世の終わりとでも言いたげな顔をする者が多いのです。人それぞれではありますが、鬱々とした顔をしているものです。

 ですが、眼の前の少女はどうでしょう?

 無。

 これ以上ないほどの無表情。

 よく、表情のない者のことを鉄仮面だとか冷たい印象だとか言いますが、そのようなものさえ、一切ありません。

 冷たさも温かさもない、無。

 そう、まるで無機物的な無表情だったのです。

「神父様?」

 少女に呼ばれ、我に返り、彼女に謝罪しました。

「申し訳ありません、少し、ぼんやりしてしまって」

「今日も暑いですからね。体調は大丈夫ですか? もし、良くないのなら出直しますが……」

「いえ、大丈夫です。ご心配おかけして申し訳ありません」

 少女の声音は慈愛に満ちていましたが、表情は相変わらず無機物的でした。

「神父様、私の話を聞いて、私に非があるかどうか、判断してほしいのです。よろしいでしょうか?」

「えぇ、もちろん、かまいませんよ」

 少女の年齢にそぐわない表情や礼儀正しさに、居心地の悪さを感じながら、彼女の話を聞こうと座り直します。

「私、R子と言います。中学3年生です。2ヶ月前、祖父が亡くなったんです」

 少女は淡々と話し始めました。この時私は、祖父になにかひどいことを言ってしまったのだろうかと考えていました。

「子供の私には、親戚とか、そういうの分かりません。2軒だけ、お盆やお彼岸なんかで回る家があって、それ以外にも一応親戚? 親族? が、いるのは分かっていましたが、皆の関係性はよく分かりません。中には初めて見る人もいました」

 主語こそ抜けてはいますが、葬式に来た人達のことでしょう。

「私はずっと、母の背中をさすっていました。家で皆が集まってる時、ひとりの女性が近づいてきたんです。たぶん、40代くらいで、見たことのない人でした。その人は霊感があると言って、祖父の言葉を母に伝えてきたんです」

「その女性を介して、お祖父様はなんとおっしゃったのですか?」

 私の問に、少女は静かに首を横に振ります。私はじっと、彼女が再び口を開くのを待ちました。

「その人が言うには、「◯◯(母の名前)きばれや」と言ったそうです」

 そう言う少女の顔に、初めて感情があらわになりました。それはまごうことなき怒り。少女は自称霊感女に怒りを抱いているようでした。

「神父様、私や母もそうなんですが、祖父もここが生まれ故郷で、よそで暮らしたことなんてないんです」

 この一言で、霊感女の嘘が私にも分かりました。詳しい場所は明かせませんが、ここは関東のどこか。生まれも育ちもここなら、「きばれや」なんて言葉は出てきません。

「祖父は訛りがひどいですけど、「きばれや」なんて言いません。その女は嘘をついているんです」

「えぇ、そのようですね。地域の方々と交流がありますが、そのような言葉を使う方とは会ったことがありません」

 同意すると、少女は満足げに小さく微笑みながら頷きます。ある程度の信頼を得られた気がしました。

「神父様、信じられるか分かりませんが、私には俗に言う霊感があります。でも、そんなに強くないんです。昔は毎日見えてたのですが、成長するにつれ、見える日が少しずつ減っていってるんです。それでも、私の言葉は彼らに通じる」

 ぐにゃりと歪んだ少女の狂気的な笑みに、情けない声が出そうになるのを、必死に堪えました。それほど、R子さんの笑みには邪悪なものが込められているように感じたのです。

「それで私、昔からよく遊んでくれる子に頼んだんです。「あの嘘つき女に天誅を」って。そしたら49日、その自称霊感女を連れてた男の人が来たんですけど、あの女はいなかった」

 ひひっ、と不気味な笑い声に、息をすることさえ難しくなりながらも、平静を取り繕うのに必死でした。

「この前一緒にいた人はどうしたのか聞いたら、なんて言ったと思います?」

「さ、さぁ……、見当もつきませんね」

 口の中が干上がり、喉が張り付き、絞り出すようにそう言うのがやっとでした。私はもう、恐怖でおかしくなりそうでした。

 眼の前にいるのは本当に14,5の少女なのか疑いたくなるほど邪悪な空気が、告解室どころか、教会の中に満ち溢れ、この世に存在する神聖なものすべてが彼女に穢された気がしてならないのです。

「轢かれて死んだんですって♪」

 少女は歌うように言いました。その後も、轢かれたけどすぐに死ななかったとか、渋滞で救急車が遅れたとか、きっと苦しみながら死んだとか、まるでオペラのように高らかに言っていた気がします。

「私が見えないお友達に頼んだからだと思いますか? 私の願い事は罪でしょうか?」

 少女は思い出したかのように例の無機物顔になり、淡々と聞いてきます。

「きっと、偶然でございましょう」

「そう、偶然、偶然♪ 私は悪くなぁい♪」

 ついに彼女は立ち上がり、くるっと回ると、見えないはずの私に向かって一礼しました。

「話を聞いてくださり、ありがとうございました。おかげで気が楽になりました」

 耳でR子さんが出ていくのを感じ取り、教会の扉の音がすると、ようやく息を大きく吐くことができました。

Expand
Next Chapter
Download

Latest chapter

More Chapters

To Readers

Welcome to GoodNovel world of fiction. If you like this novel, or you are an idealist hoping to explore a perfect world, and also want to become an original novel author online to increase income, you can join our family to read or create various types of books, such as romance novel, epic reading, werewolf novel, fantasy novel, history novel and so on. If you are a reader, high quality novels can be selected here. If you are an author, you can obtain more inspiration from others to create more brilliant works, what's more, your works on our platform will catch more attention and win more admiration from readers.

No Comments
80 Chapters
Explore and read good novels for free
Free access to a vast number of good novels on GoodNovel app. Download the books you like and read anywhere & anytime.
Read books for free on the app
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status