Tempting Her Bodyguard

ある日、ショッピングモールを歩いていた私は、突然、数人の女性に囲まれた。

その中でも一番前に立っていたのは、私の夫、柏木一真が最近「彼女」として公表した中島詩織だった。

「この女がその恥知らずな浮気相手よ。殴ってやれ！」

一瞬、状況が飲み込めずに呆然としていると、数人の女性が迫ってきて、気づいたら頬に強烈な平手打ちをくらった。

詩織は腕を組み、私を冷たく見下ろしながら言った。「あんたが江口夕莉でしょ？一真が私の彼氏だって知ってたくせに、よくも人の男を奪おうなんて思ったわね。何様のつもり？」

詩織の取り巻きも調子に乗って、「こんな浮気女、殴られて当然よ！立てなくなるまでやっちゃいなさい！」と煽った。

私は一瞬戸惑い、反射的にお腹を庇いながら言った。「待って、私は妊娠中よ。本気でやるつもりなの？」

詩織は冷たく笑いながら私を睨みつけた。「ふん、妊娠しただと？一真が私と別れたのは、あんたが妊娠したからってこと？」

私は慌てて首を振り、「違う、浮気してるのはそっちの方で、私は......」と弁明しようとしたが、詩織は途中で私の腹を蹴り飛ばした。激痛が走り、声も出せず、体中に冷や汗がにじんだ。

取り囲んでいた女性たちは次々に私を蹴り始め、私は必死でお腹を守りながら、痛みに耐えた。

その時、詩織が私を見下ろし、憎しみを込めた目で言い放った。「子供を産んで、一真を奪おうってわけ？そんな下心、叩き潰してやるわ！」

彼女の笑顔に恐怖を感じた私は、一歩後退したものの、すぐに他の女性たちに捕まれ、手足を押さえつけられた。

詩織は鬼のような笑みを浮かべ、「この恥知らずの泥棒猫！人の彼氏を誘惑しただけじゃなく、妊娠までしやがって！今日こそお前とそのガキを地獄に送ってやるわ！」と毒づいた。

私は何度も殴られ、口から血が滲んだが、声も出せなかった。言いたかったのは、一真とは秘密裏に結婚していて、詩織こそが浮気相手だということなのに......

数週間前、一真が詩織との交際をSNSで発表したのを見て、すぐに問い詰めたが、一真は軽くあしらった。

「ドラマの宣伝でやれって言われたんだよ。ドラマが終わったら別れるから、そんなに気にするなって」

納得できずに食い下がると、一真は「もういい加減にしてくれないか？本当のことじゃないんだから、そこまで騒ぐ必要ないだろ？」と面倒くさそうに言った。

今、頭を床に叩きつけられ、冷たい感触と共に血が顔を伝っていくのを感じた。反撃する余裕もなく、詩織は再び私の腹を強く蹴り飛ばした。痛みに体を丸め、自然と涙が溢れた。

命がけで授かった子供が、少しずつ私から遠ざかっていくのを感じた。

そんな中、詩織は冷たい笑みを浮かべ、一真に電話をかけた。

「もしもし、どうしたの？」一真の声は優しかった。

詩織は甘えた声で、まるで猫のように微笑んだ。「ねえ、もし私が浮気相手を殴ったら、怒る？」

一真は苦笑いしながら答えた。「本当に殴ったのか？わざわざ手を出すことないだろ？手、痛くないか？」