Wanton For The Alpha

Wanton For The Alpha

last updateLast Updated : 2022-09-13
By:  Gina StanleyOngoing
Language: English
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Synopsis

Andrea Simone is in search of a new job, she lost her old job due to unforeseen circumstances. Her job search leads her to Lucian, a werewolf who is tired of having to fire every personal assistant in weeks though he admits this is his fault the assistants are also to blame. Confident that she can escape his charms and his reputation is no secret, she begins to work for him. Things go on fine for a while until neither can contain the passion they both feel. A one-night stand that Andrea wants to pretend never happened leads to the unexpected or rather expected, a baby. However, the pregnancy is the least of her worries as she discovered that her baby daddy is a werewolf and not just any werewolf, one of the royal family. How would she cope in this situation? It doesn't help that her life and that of the baby are in danger as a result.

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Chapter 1

PROLOGUE

新村紗綾(にいむら さや)は、足が不自由になった森田裕司(もりた ゆうじ)の世話を、三年もの間、片時も離れずに続けてきた。

結婚して最初の一年目、裕司は彼女を心底嫌っていた。

ちょっと足に触れただけで、彼女を家の外に閉め出し、九十九日も戻してくれなかった。

結婚二年目、裕司は彼女に対して冷たくもなく、温かくもない態度を取り続けた。

紗綾が毎日欠かさずリハビリのマッサージをしても、彼の口からは一言の感謝も返ってこなかった。

結婚三年目、紗綾はようやく裕司の足が回復するのを見届けた。

だがその瞬間、裕司が最初に取った行動は、初恋の相手を迎えに行くことだった。

……

「詩音、俺の足、治ったよ。帰ってきて。空港まで迎えに行く!」

見慣れたアイコンをチラ見して、嬉しさで涙ぐんでいた紗綾の笑顔は、瞬時に凍りついた。

裕司が自分を愛していないことなんて、紗綾はずっと前から分かっていた。

彼が愛しているのは、最初から最後まで、初恋の女性――中山詩音(なかやま しおん)だけだった。

三年前、大学を卒業した裕司と詩音は、それぞれ異なる道を選んだ。

裕司は家業を継ぐために国内に残り、詩音は夢を追って海外へ旅立った。

二人は別れたが、裕司の心は一度として詩音を手放したことはなかった。

その後、詩音は突然、海外で電撃結婚した。

その事実を知った裕司は受け入れられず、暴走して空港へ向かい、そのままアメリカまで飛んで奪い返すつもりだった。

けれど、その途中で事故に遭い、彼の両脚は動かなくなった。

もう二度と、自分の力で立ち上がることはできないと言われた。

その時、紗綾はまだ研修医だった。主任医師と共に、裕司の手術を担当した。

手術の後、かつては何もかもを持っていた裕司は、自分が障害者になった現実を受け入れられなかった。

彼は怒りっぽくなり、些細なことでキレては物を投げ、周囲に当たり散らした。

病院の医師も看護師も彼に近づけず、最も経験の浅い紗綾が、一人で対応することになった。

彼女は、近所にいそうな優しい雰囲気のある女の子で、自然と人の心に入り込むような親しみやすさを持っていた。

加えて、確かな医療技術と丁寧な対応力もあり、病院で唯一、裕司に近づける存在となった。

その後、裕司が退院した頃、彼の母が紗綾の元を訪れた。

彼女は紗綾に1億円を手渡し、「裕司に近づき、結婚を前提に彼の世話をしてほしい」と頼んできた。

ちょうど母親の治療費で困っていた紗綾は、迷うことなくその話を受け入れた。

病院を辞め、三年かけて裕司のそばに寄り添い続けた。

裕司が足の痛みで苛立つたびに、紗綾はその怒りをすべて受け止めた。

傷が痛む夜は、一晩中マッサージをして眠らなかった。

リハビリ中に彼が転んだ時は、必ず彼の下に自分の体を差し出して支えた。

誰もが不思議がった。突然現れたこの若い女性が、なぜ裕司にそこまで尽くすのかと。

でも、それを知っているのは紗綾だけだった。

彼女の大学四年間の学費は、すべて裕司の支援によるものだったのだ。

裕司は大学の慈善会の責任者で、紗綾は彼が支援していた多くの学生の中の、目立たない一人に過ぎなかった。

二人の距離は、まるで天と地ほどに遠いものだった。

だからこそ、紗綾は一度も自分から彼に近づこうなどとは思わなかった。

けれど、偶然にも、脚を失った裕司と再会してしまった。

そして彼女は、自らその距離を縮める決意をした。

自分のすべてを捧げてでも、彼のそばにいたかった。

紗綾は思っていた。これだけ長く尽くしていれば、いつかは裕司が自分の気持ちに気づいてくれるかもしれない、と。

だが――

その期待は、詩音に向けた一通の電話によって、あっけなく打ち砕かれた。

彼は回復した足の喜びを、真っ先に詩音に伝えた。

その姿を見た瞬間、紗綾の中で何かが音を立てて崩れた。

結婚して三年――

彼女は一度たりとも、裕司の心に入ることができなかったのだ。

毎年、七夕の日になると、裕司は一日中姿を消した。

紗綾がどれだけ心配して探しても、彼は絶対に戻ってこなかった。

後に知った。七夕は、裕司と詩音が恋人になった記念日だったと。

詩音と離れていても、彼は彼女との記念日を一つ残らず覚えていて、毎年欠かさずプレゼントを用意していた。

裕司には、決して開けてはいけない書斎があった。

ある日、掃除中に紗綾がうっかりその部屋に入ってしまい、裕司は彼女を家の外に閉め出し、夜通し雨の中に立たせた。

そこには、詩音の写真がびっしりと飾られていた。

その瞬間、紗綾は悟ったのだ。

自分がどれだけ尽くしても、裕司の心を動かすことは、永遠にできないのだと。

でも――それでも、良かった。

裕司の足が治った今、彼女の「任務」は、もう終わったのだから。

裕司が詩音と電話で喜びを分かち合っているうちに、紗綾は部屋の隅に移動し、静かに電話をかけた。

「お母さん、裕司の足、治ったよ。私の役目は終わった。だから、離婚するね」
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