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第7話

Author: 答え
余音が目を開けると、そこは薄暗く埃っぽい廃棄倉庫で、手足は太いロープで固く縛られ、身動きすらできない。

正面の椅子には、言子が優雅に座り、退屈そうにネイルをいじっている。

余音が目を覚ましたのを見て、唇に柔らかな笑みを浮かべた。

「姉さん、やっと目を覚ましたのね」

余音の神経が一瞬で張り詰めた。

視界はかすみ、頭の中は混乱と不安でいっぱいだった。

「あなた……いったい何をするつもり?」

彼女に残された時間はわずかで、言子にとって脅威になるはずがない。

行真も暁介も、とっくに心を離していた。

明日にはすべてを置き去りにし、誰も知らない場所へ消える。

それなのになぜ、こんな無意味なことを?

言子は楽しげに目を細めた。

「姉さん、気にならない?

もし私とあなた、二人とも命の危険にさらされたら……

行真と暁介、どちらを選ぶと思う?賭けてみない?」

その言葉と同時に、横にいた男がスマホを取り出し、番号を押した。

通話がつながると、言子はすぐ泣きながら叫んだ。

「行真!助けて!早く来て!

姉さんが会おうって呼び出したのに、途中で拉致に遭ったの!

今、私たちは拘束されてるの!お金を要求されて……払わなければ私を殴るって!どうしよう、怖いよ……!」

「言子!?」

行真の声が震え、瞬時に緊張が走る。

「どこにいる!大丈夫か!」

スマホを持った犯人が低い声で言った。

「九条社長の奥さんと恋人、二人とも預かってる。

要求は簡単だ。現金一億円、今日中に用意しろ。

受け渡し場所は後で送る。金と引き換えに人を返す。逆らえば……どうなるか、わかるな?」

「わかった!行く!金を持って行く!」

行真の声は、ほとんど泣き出しそうに震えていた。

「金はいくらでも出す!だから、言子に指一本触れるな!」

「心配するな、俺たちは筋を通す。金さえあれば、誰も傷つかねぇ」

行真はほっと一息ついた。

「そうだ……余音は?彼女は無事なのか?」

余音は思わず笑ってしまいそうになった。

ようやく思い出したのね、彼女の存在を。

もし拉致されたのが余音だけなら、行真は信じてもくれなかっただろう。

「心配いらねぇよ。二人とも無事だ。金を用意しとけ」

通話が切れると、二人の犯人はロープで言子も縛った。

しばらくして、行真から再び電話がかかってきた。

すると二人の犯人がそれぞれ余音と言子を引きずり出し、外へ連れ出した。

余音は自分たちが山の中にいることに気づいた。

山の中腹まで降りると、遠くに二つの人影が見える。

行真と暁介だ。

その姿を見た瞬間、言子の目から涙があふれた。

「行真!暁介!助けて!」

行真も暁介も、我を忘れたように走り出した。

「おばちゃん!」

「言子、安心しろ!必ず助ける!」

余音もすぐ隣に立っていた。顔色は青ざめ、立っているのがやっとの状態なのに……

二人の視線は一度たりとも、彼女へ向けられなかった。

余音は静かに目を閉じた。

言子が泣いているから彼らが彼女だけを気に配るわけじゃない。ただ、彼らはとっくに、余音のことを心の中から追い出していたからだ。

行真は持ってきた箱を地面に投げ下ろした。

「一億円だ、全部ここにある!二人を放せ!」

犯人の一人が箱を開け、中を見て嗤いた。

「一億?悪いが、それで助けられるのは一人だけだよ、九条社長」

行真の表情が一変した。

「どういう意味だ!一億って言っただろう!」

「誤解だな。最初から一人で一億だ。もう一人を助けたけりゃ、明日また一億持ってこい。

さて――九条社長、先に連れて帰るのはどっちだ?」

その場に、重い沈黙が流れた。

行真は唇を噛み、無意識に余音の方を見た。

暁介も固まったまま、父の袖を握りしめている。

そのとき、言子が突然悲鳴を上げ、地面に崩れ落ちた。

「痛い……!胃が……!」

彼女は顔を歪め、涙を流しながら肩で息をした。

そして嗚咽混じりに訴えた。

「私のことはいいの。先に姉さんを連れて帰って……

どうせ私はがんなんだから、足手まといよ。死んだっていい……」

「ありえない!」

暁介が叫んだ。

「おばちゃんは足手まといなんかじゃない!本当の足手まといは……ママだ!」

その言葉を聞いた瞬間、余音の胸の奥で、何かが静かに崩れ落ちる音がした。

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