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天界皇子の妃になった私たち

天界皇子の妃になった私たち

Par:  しょあんComplété
Langue: Japanese
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私と親友は同時に天界の皇子のお気に召し、世妃として宮殿に迎えられた。 親友の彼女は上の皇子景河の妃になって、籠の鳥となった。 一方で、私は下の皇子景山の憧れだけの存在の身代わりとなった。 よりによって、皇子二人の心の中で潜んでいる高嶺の花は同じ人物だった。 人間である私たちが、天界の王子様に気に入られ、誰しも憧れの暮らしができたことは、天界の人々に羨望された。 しかし、このような暮らしが続いていたのは僅か三年の歳月だった。本物の高嶺の花が戻ってきたのと共に、私と親友の倖せな暮らしが終わりを告げた。 「我が先に仮死する。和葉もその後いい折で仮病して死んだふりをするのじゃ」 私は親友の提案に頷き、彼女と共に自分の死を偽って、人間界へ戻ったのじゃ。 高嶺の花がその連れと一緒に私たちの仮死事実を暴いた瞬間、従来冷静で自分の感情をうまく抑えてきた景河皇子は、親友を抱きしめていた。 そしてそっけなくて、感情の薄かった景山皇子は、私を宮殿に閉じ込め、毎日にように側についてくれた。 けれど、私と親友の彼女がその芝居を三年も待ち続けていたことを、彼らは知らなかった。

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Chapitre 1

第1話

私と月島綾夏が烏森藍璃に落とし入られたのは、今月の三度目だった。

私は綾夏と天界の霊池の前に立っていて、烏森藍璃がだんだん沈んでいくのを見ていた。

池の水面に残ったのが泡の一抹だけになったまで、私たちはただそこで見ていた。

綾夏は眉間に八の字を寄せながら、鼻で笑った。

「烏森藍璃、もうその三文芝居をやめなさい」

彼女が言い終えたそば、私たちの後ろから何かに急かされたかのような足音が聞こえてきた。

私は綾夏の袖を軽く引っ張り、口を開くのに間に合う前に、誰かに池にほうへ押し付けられた。

そして、自分を押したその力につられて、私は池に落ちた。耳元に響いていたのが、「和葉!」という綾夏のどぎまぎした叫び声だった。

私はなんとかして手足を動かして、水面に浮き出すことに成功したが、私の目に映っていたのは、自分の主人であるはずの人、天界の景山皇子が、思わず池に飛び込んだ光景だった。

それなのに、彼は私のいる方向とは真逆のほうへ泳いていった。

勝手に池の底に沈み、気を失った烏森藍璃をお姫抱っこで、岸辺に運んで応急手当をし始めるまで、彼はずっと私に目もくれずにいた。

鼻に水が濯ぎ込み、気を失いかけていたその突端に、私は誰かが私の体を自ら引っ張り出しながら、岸辺をよっていくのを感じた。

私の耳元は綾夏の焦りに満ちた声に囲まれた。

「月島和葉!ここで死するな!和葉を無くして我はどうしましょう!」

綾夏は往復に私の胸を圧迫し続けた。胸の中まで入り込んだ水を全部吐き出した後、私はようやく意識を取り戻せた。

私は微かに微笑んで、衰弱していた体を彼女の懐によりかけてから言った。

「死なないから大事ない」

私は振り向いて、術で気を失った振りをしていた烏森藍璃を呼び覚まそうとしていた五十嵐景山を眺めた。

術を施していた景山の手は微かに震えていた。

「藍璃、起きよう......天界はもうそなたを失うわけには......」

綾夏は私が緩やかに立ち上がるのを支えてくれた。そして、そんな彼女の口から、景山への咎め文句が出てきた。

「五十嵐景山、そなたのその瞳は飾り物か!和葉がそなたに池に突き落とされたのが見えていないか!」

「烏森藍璃殿には、霊力の加護があり、死することはあるまい。なれど、和葉は人間じゃ。言わんや、そなたの.....」

綾夏の話にまだ続きがあったが、烏森は咳をしながら、目を覚まして、それを打ち切った。

目を開けた烏森の目元は、薄く赤色に染められた。そんな彼女を見ているものは、憐れむ気持ちになれずにはいられなかった。

それを狙っていたかどうかははっきりしないが、彼女は自分のしょぼ濡れた体をさらに景山のほうへよりかけた。

「景山殿、妾は平気です......先に和葉殿のご様子を見てあげて......」

景山は冷たい目つきで私を睨んだ。

「藍璃を池に押し付けたのはどち?」

私は頭を振って、小声で返事した。

「藍璃殿が勝手に飛び込んだのじゃ」

綾夏の胸に溜まっていた怒りは更に炎上した。彼女は人差し指で景山を指しながら、声を高まった。

「景山殿は、本当にめでたいお方なんじゃ。これでもう三度目じゃ。我らが立ち会ったところで、烏丸藍璃殿の身に不意なことが起きてしもうたのが。いくらの抜け作であろうとも、どういうことか悟ったはずじゃ!」

景山の懐によりかかていた烏森はその時に、泣き出した。

「妾が行きませんでした。妾が池に落ちたのは、自分の不注意でした」

「景山殿、どうか和葉殿や綾夏殿を責めないで。このことは、お二方には、関係ありますまい......」

そう言いながら、彼女はじたばたして景山の懐から離れようとしたが、逆に強く抱きしめられた。

景山は一層のこと、彼女を横に持ち上げて、神殿のほうへ歩き出した。

「藍璃は体が冷えていたのじゃから、余が連れ帰ってあげる」

綾夏は景山の前に出て、体で彼を食い止めた。彼女の後ろに立っていたのは、冷えて寒々しく震えていた私だった。

「景山殿!和葉殿こそがそなたの正妃、これだけはくれぐれもお忘れないよう!和葉殿先、危うく景山殿のせいで死にかけていたのじゃ!そなたのお心は冷たいものじゃ!」

けど、景山はうまく綾夏を避けた。そして、ちっとも私を見なかった。

「忘れたなどおらぬ。余はただ、もう一つのことよう分かっておる」

「そなたらは、藍璃が良い暮らしするのが気に食わぬことじゃ」

怒りで焦ってしまった綾夏は、片手で私を引っ張り、もう一度その二人を止めようとしたが、背後から更に冷静沈着な声がもう一つ聞こえてきた。

「藍璃はどした?」

大股に歩いてきた五十嵐景河も、彼の弟お揃いで、心配そうな目で烏森を見つめていた。

景山はその質問に答えずに、ただ凍りつくような口調で、自分の兄に助言した。

「兄上は、しっかりと奥方様を躾けることじゃ」

「さもなくば、藍璃がいつ二度目の死を迎えてもおかしくはないのじゃ」

話が終わったそば、彼は烏森を抱えながら大股にその場を去った。

彼が背中にしたのは、湿っぽい目で景河に見つめられた私たちだった。

景河は綾夏の手をとって、そこを離れようとしたが、彼女に振り切られた。

彼の顔色は更に暗くなった。

「月島綾夏、どうやら余は日頃にそたなを甘やかしすぎたようじゃ」

「そなたがかようにもわがままになるまでにのう」

「自ら罰を受けるよう戻れ。天界の掟通りにな」

景河も言い終えた後、それ以上綾夏に構わずに、急いで景河の後を追って消え去った。

微涼の夜風に吹かれていたは、びしょ濡れの私たちだった。

私たちのようにを見て、通りすがりの侍女たちは、ひそひそと会話を交わした。

「藍璃天女がお戻りになったいま、この人間の女たちの居場所がなくなるのも当然のことよ」

「そうよ、人間の分際で、一人が藍璃天女によう似た顔立ちで、もう一人が景河殿の命の恩人でもない限り、天界の嫁ぐことすらなかったのよ」

綾夏は俯いた状態になり、暫くして急に私の手を握った。

「和葉、もうこんなとこ、離れようか。こんな枠に囚われた場所で窮屈な気持ちになるの、もう嫌じゃ」

「我は以前白雲の丹師様に恩を売ったことがある。一つだけ望みを叶えてくれると約束してくれたのじゃ」

「我が仮死の薬をもらってから、ここを離れよう、のう?」

私は頷きながら、綾夏と互いの目を見つめあって笑った。

そばに植えてあった桃の木から、物音がしたが、振り向いた私たちが見たのは、花びらが舞い落ちる景色だった。
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第1話
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第2話
その夜、景山はいつまで経っても帰ってこなかった。考えなくても、彼は今頃、池に落ちて冷えてしまった烏森のそばについてあげているのだ。綾夏は密かに壁を乗り越えて、私の部屋に来てくれた。私のそばに座った彼女は、小さな箱を差し出した。「我はもう薬を飲んだのじゃ。この数日内で発作を起こしましょう」「我が仮死状態になったら、和葉は隙を見て我の遺体を抱えて、輪廻の井戸に飛び込めば、我らは帰れるのじゃ」「輪廻の井戸の中での魔気のことは怖がらなくても大事ない。これは我が白雲の丹師から貰うた秘薬じゃ。これを飲めば、魔気の侵入を一時阻止できる」勝手に話を進んでいる中、彼女は急に笑い出した。「のう、和葉、我らはこれで心中ってことになるじゃろう?」私は彼女を白い目で見て、何も言わなかった。扉の外で足音がしたので、綾夏は私を見てぺろりとしたの共に、再び壁を乗り越えて自分の宮殿へと戻った。次の瞬間に、景山は扉を押し開けて、入ってきた。寝床に座っていた私を見て、彼は皺を寄せながら言った。「そなたは誰と話をしておった?」私は頭を振って、彼の前では依然として服従の振りをした。「いいえ、我の独り言だけじゃ......」景山もそれ以上何も聞かずに、ただ淡々と私に一瞥した。「寝ましょう」と彼は言った。私は彼のその態度で少々戸惑い、彼はいつものように、「なぜ藍璃に害をなしたか」と私を問い詰めなかったことで驚いた。けれど私はすぐ彼の言葉に従い、寝床の一番奥に横になった。服の布が微かに摩擦した音がしたあと、景山も私のそばに横になっていた。背中を見せた彼の声には、なんの感情も聞き取れなかった。「藍璃も帰ってきたばかりじゃのう。あれは安堵感がなさすぎのだけじゃ。余もこれまでのお情けを念じないと」側に寝ているから伝わってきた体温の暖かさを感じながら、私の心頭は冷めていく一方だった。景山は昔から頭が冴えていて、ずっとことの本質を理解していたのだ。彼は、今日烏森が池に落ちたのも、これまでの数々も私と綾夏を陥れるための、烏森自身の自作自演だということを理解していたのだ。それでも、彼は烏森を庇うことにしたのだ。他に理由はなく、「安堵感がなさすぎのだけじゃ」という一言のためだった。私も寝返って、「うん」と小声で返事した。
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第8話
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