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年越しの夜、ネット恋愛相手との初対面は罠でした

年越しの夜、ネット恋愛相手との初対面は罠でした

Par:  クロエルComplété
Langue: Japanese
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ネット恋愛の彼と年越しの約束をしてから、私は準備万端で臨んだ。 お気に入りの服に身を包み、彼へのプレゼントも用意済み。 だけど、まさかあの人が双子の弟まで連れてくるなんて思いもしなかった。 しかも予約した部屋は一部屋だけ。 目の前に並ぶそっくりな二人を見て、私は思わず笑みを浮かべた。

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Chapitre 1

第1話

シャワーを浴びた後、鏡の前で自撮りを一枚。テーマは「湯上がり美人」。浴室の湯気がまだ残る中、タオルだけを巻きつけた姿で大胆にポーズを決める。それをネット恋愛の彼、シオンに送った。

少し考えて、さらに効果的なメッセージを添えることにする。

「ねえ、見て。鎖骨ぶつけちゃったみたい……もうイヤだなぁ」

写真に写る私は、濡れた髪をわざと色っぽく肩に垂らし、鎖骨の小さな傷を目立たせるようにポーズを取った。これなら彼の心を掴むのは間違いない。ネット恋愛中だって、こういう「攻め」のやりとりは私の得意分野だ。

送信ボタンを押してから間もなく、スマホに通知が続々と届く。

シオンからの返信だ。絵文字の流れるような勢いに思わず笑みがこぼれる。

「リノ、めちゃくちゃ綺麗だよ!早く会いたい!

もし僕がそばにいたら、そっと息を吹きかけて治してあげるのに。それから……もっとたくさんキスをするよ!

本当に好きだよ、リノ」

調子に乗った私は、タオルを少しだけ緩めて、さらにセクシーな写真を一枚追加で送る。

「ねえ、これも気に入る?」

答えは見るまでもなかった。

シオンはスマホの画面から飛び出してきそうな勢いで返信してきた。

「リノったら、ダメだよ。僕をこんなに惑わせるなんて!」

満足した私は、小さな声で彼に甘えたメッセージを送る。

「じゃあ……年越し、一緒に過ごそうよ。もうずっと待ってたんだもん。一緒に目覚めたい、ね?」

この提案に、彼は一瞬返信を躊躇しているようだったけど、しばらくしてこう返ってきた。

「分かった。31日の夜、A市で会おう。もうチケットを取ったよ!ホテルも予約済み。リノ、楽しみにしてて!」

その言葉に私は胸を高鳴らせた。長い間待ち望んでいた彼とのリアルな再会が、ついに叶う……!

風見シオン(かざみ しおん)と私が出会ったのは、とある出会い系アプリだった。ただ、最初はほんの軽い気持ちで彼のプロフィール写真に「いいね」を押しただけ。まさか、それがこんな展開を生むなんて思いもしなかった。

彼はすぐに「いいね」を返してくれて、私のプロフィールを覗きに来た。そして、そこからあっという間に個別メッセージを送ってきたのだ。

人と人の関係って、ちょっとしたきっかけで始まるものだよね。シオンは話上手で、私はちょうど誰かと話したかった時期だった。加えて彼の話題の幅広さときたら――どんなテーマを振っても、それについて独自の視点で語ってくれる。

それだけじゃない。彼の人生観は私の考え方と驚くほど似ていて、話せば話すほど「この人は私の魂の相棒かもしれない」なんて思えてくる。

初めてメッセージを交わした頃は、深夜まで語り合うなんて当たり前だった。

シェイクスピアの名言からマーガレット・サッチャーの逸話、果ては最新の芸能ゴシップまで、どれも楽しい。

だけど、人間だからね。心が惹かれ合うだけじゃ足りなくなるもの。お互いの好意を確認し合ったあと、私は彼の魅力的な魂だけじゃなく、その身体にも目を奪われ始めた。

彼はたまにジムでのトレーニング中の写真を送ってくれる。彫刻みたいに引き締まった腹筋や力強い上腕の筋肉。それぞれのラインが、まるで私の理想そのものみたいで、見れば見るほど惹きつけられる。

特にお気に入りなのが、写真にちらっと映る彼の横顔。完璧な顎のラインは、まさに男らしさの象徴だった。

そうして私たちはすぐに恋人関係を築き、半年間のネット恋愛が始まった。

そしてもうすぐ――ようやく彼に会える。

ずっと待ち望んでいた彼と、ついに一つになれる。思わず、舌でそっと唇をなぞった。

だけど、このときの私は知らなかった。

その再会が、生涯忘れられないスリリングな体験になることを――
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commentaires

蘇枋美郷
蘇枋美郷
ネット恋愛だと本人か分からないし本性も見抜けないから、こういう犯罪者のクズ兄弟が蔓延ってるのも現実にあるし、安易に信用してはならんのよね。妹さんは残念だったけど、お姉ちゃんは諦めず生きてほしい。
2025-11-10 15:25:55
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松坂 美枝
松坂 美枝
ネットのまとめで似たような話読んだからそれが元ネタかもしれん 今は治療法もあるし、頑張って生きて欲しい あの兄弟はどっちみち病気になってたと思うわ
2025-11-09 11:53:47
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第1話
シャワーを浴びた後、鏡の前で自撮りを一枚。テーマは「湯上がり美人」。浴室の湯気がまだ残る中、タオルだけを巻きつけた姿で大胆にポーズを決める。それをネット恋愛の彼、シオンに送った。 少し考えて、さらに効果的なメッセージを添えることにする。 「ねえ、見て。鎖骨ぶつけちゃったみたい……もうイヤだなぁ」 写真に写る私は、濡れた髪をわざと色っぽく肩に垂らし、鎖骨の小さな傷を目立たせるようにポーズを取った。これなら彼の心を掴むのは間違いない。ネット恋愛中だって、こういう「攻め」のやりとりは私の得意分野だ。 送信ボタンを押してから間もなく、スマホに通知が続々と届く。 シオンからの返信だ。絵文字の流れるような勢いに思わず笑みがこぼれる。 「リノ、めちゃくちゃ綺麗だよ!早く会いたい! もし僕がそばにいたら、そっと息を吹きかけて治してあげるのに。それから……もっとたくさんキスをするよ! 本当に好きだよ、リノ」 調子に乗った私は、タオルを少しだけ緩めて、さらにセクシーな写真を一枚追加で送る。 「ねえ、これも気に入る?」 答えは見るまでもなかった。 シオンはスマホの画面から飛び出してきそうな勢いで返信してきた。 「リノったら、ダメだよ。僕をこんなに惑わせるなんて!」 満足した私は、小さな声で彼に甘えたメッセージを送る。 「じゃあ……年越し、一緒に過ごそうよ。もうずっと待ってたんだもん。一緒に目覚めたい、ね?」 この提案に、彼は一瞬返信を躊躇しているようだったけど、しばらくしてこう返ってきた。 「分かった。31日の夜、A市で会おう。もうチケットを取ったよ!ホテルも予約済み。リノ、楽しみにしてて!」 その言葉に私は胸を高鳴らせた。長い間待ち望んでいた彼とのリアルな再会が、ついに叶う……! 風見シオン(かざみ しおん)と私が出会ったのは、とある出会い系アプリだった。ただ、最初はほんの軽い気持ちで彼のプロフィール写真に「いいね」を押しただけ。まさか、それがこんな展開を生むなんて思いもしなかった。 彼はすぐに「いいね」を返してくれて、私のプロフィールを覗きに来た。そして、そこからあっという間に個別メッセージを送ってきたのだ。 人と人の関係って、ちょっとしたきっかけで始まるものだよね。シオンは話上手で、私はちょうど誰か
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第2話
年越しの夜、街は人で溢れ、至るところでカップルたちが抱き合ったり、キスを交わしたりしている。 私は本当ならシオンを空港まで迎えに行くつもりだった。でも、急な残業が入ったせいで予定が狂ってしまい、彼には先にホテルで待ってもらうことにした。 仕事を終え、準備しておいたプレゼントを片手にホテルへと急ぐ。 今日は特別な日だから、朝早くから時間をかけてメイクを整え、ネットでずっと気になっていたドレスをついにおろした。 鏡の前で試着した昨夜の姿を思い出しながら、思わず唇を引き上げる。 ロングコートの下に隠されたのは、ぴったりとしたマーメイドラインのドレス一枚。ドレスは敢えてワンサイズ小さいものを選んだおかげで、体のラインが完璧に浮き出るようになっている。 それに加えて、黒いシースルーストッキングに8センチヒールのピンヒール。このスタイルなら道行く人の視線を釘付けにするのも当然だ。実際、すれ違う人々が何度も振り返るのを感じながら、私は自信満々で目的の部屋――808号室の前にたどり着いた。 ドアをノックすると、ほとんど間を置かずに部屋の中からスリッパを引きずる音が聞こえてきた。 ドアが開き、目の前には高い鼻梁に整った眉――想像していた通りの端正な顔立ちが飛び込んでくる。 シオンは正面から撮った写真を一度も送ってくれたことがなかった。それでも過去に受け取った画像から組み立てた印象と全く同じ顔だった。いや、それ以上だ。本人は写真よりも何倍も魅力的で、私は一瞬で心を奪われた。 「シオン!やっと会えた!」 何も考えず、勢いよく彼の胸に飛び込む。 ネット恋愛中は、キスどころか触れることさえできない。それを補うように、この瞬間をずっと想像してきた私は、出会ってすぐに濃厚なフレンチキスをプレゼントすることに決めていた。 私は大胆なタイプだ。数え切れないほど恋愛を経験してきたけれど、今回の自信は今まで以上だった。キスのテクニックにも自信がある。でも、シオンはその上をいく。 最初は少し驚いた様子だったけれど、すぐに体勢を整え、情熱的に応えてくれた。その瞬間、心臓が高鳴る。シオンの存在は魔法のようで、何をされてもドキドキが止まらない。 やっと、この瞬間が来た―― 私はこの再会を何度もシミュレーションして、細部まで計画していた。香り立つ彼の
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第3話
……なんだ、間違ってなかったんだ。 私は安心して胸をなでおろしながら、目の前の彼とベッドに座るもう一人の男を交互に見た。「でも、二人とも顔だけじゃなくて声までそっくりすぎない?」 すると、ベッドにいた彼が立ち上がり、手を差し出してきた。 「初めまして、リノさん。僕は風見レイ(かざみれい)」 名前を名乗ったあと、意味深な笑みを浮かべながら私とシオンをじっくり見比べる。 「僕たち、双子なんだ。さっきはちょっとした冗談だった、ごめんよ」 なるほど、二人は双子の兄弟で、しかも生まれた時間差はたったの30秒。性格には多少の違いがあるみたいだけど、見た目に関してはほとんど区別がつかない。顔にあるホクロの位置まで同じなんて、見分けるのは至難の業だ。 一瞬、頭をよぎったのは――もし彼らが名乗らなければ、果たして誰がどちらなのか分かっただろうか?それどころか、本当に間違えて夜を過ごしたとしても、きっと気付かないままだったのかもしれない。 「リノ、許可なく弟を連れてきちゃったけど、怒ってない?」 シオンが私の頬を軽くつまむ。その指先には不思議な魔力があるのか、さっきまでの気まずさが一瞬で和らぐのを感じた。 本当は二人きりの時間を期待していたけど、レイがシオンと同じくらい格好良いから、まぁいいか、と簡単に流すことにした。 「全然大丈夫だよ」 そう答えた私のお腹がタイミング良く鳴り、空腹を訴える。ちょうどいいきっかけだと思い、三人で食事に行こうと提案した。 「近くに美味しいお鍋の店があるみたい。そこでご飯を食べてからホテルで少し休憩しない?」 そう話しながら次の予定を頭の中で描いていると、不意にレイが私をじっと見つめながら言った。 「A市の天空の城で、今夜カウントダウンイベントがあるって聞いたんだ。食事の後に行ってみない?リノさんも好きそうな場所だろう?」 天空の城――年越しイベントでは定番中の定番だ。特にカップルには最高のデートスポットとして知られている。ロマンチックで特別な空間、私とシオンにとってまさにぴったりの場所。実は、私も事前に行きたいと話したことがあった。 でも、レイがいる今の状況で行くのは気が進まない。そう思って提案を後回しにしようとしたが、シオンはどうやらその場所のことを全く知らない様子で、困惑した表情
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第4話
次の瞬間、シオンが勢いよく私にキスをしてきた。 最初はふざけてじゃれ合っているのかと思い、笑って受け流していたけれど――彼の目が本気だった。 「ちょっ……シオン、なにしてんの!」 そう言って彼を止めようとするも、状況が飲み込めてくると急に緊張してしまう。 「やめてよ!ここ、お化け屋敷だよ!誰か来たらどうすんの!」 口ごもりながら必死に抗議すると、シオンは余裕の笑みを浮かべたまま答える。 「何を怖がってんだよ。ここは完全な死角、しかも監視カメラもない」 その言葉に、微妙な安心感と不安が入り混じる。彼の態度はいつもより強引で、さっきまでの穏やかな彼とはまるで別人だった。 薄暗い部屋の中、彼の熱っぽい仕草に応じようとしながらも、心のどこかに小さな違和感が残る。何が引っかかるのかは分からないけれど…… その様子を察したのか、シオンが低い声でささやいた。 「そんなに悩むことないだろ、リノ。今この瞬間を楽しまないと損だぞ。 ほら、外ではみんな鬼に追い回されてるのに、俺たちは壁一枚隔ててこんな贅沢を…… もう、いいから!」 私は彼の言葉を遮るように叫び、意識を切り替えることにした。この状況で頭を悩ませるなんて無駄だと思ったから。 「ねえ、ここ人通りは少ないけど、完全に誰も来ないわけじゃないんだから。少しは気をつけてよね」 結局、お化け屋敷を出たのは30分後のことだった。もし中のスタッフがメガホンで声を上げていなかったら、私たちはもっと長居していたかもしれない。 外に出ると、レイが待っていた。私たちの姿を見ると、彼の視線が私とシオンの間を何度も往復する。その目には何かを探るような色があり、気まずくなった私は思わずシオンの後ろに隠れた。 やがて、レイは柔らかい笑顔を浮かべながら、シオンに向かって一言こう言った。 「兄さん、ちょっと独占欲が強すぎじゃない?」 その言葉に、二人は顔を見合わせて同時に笑い出す。何かを共有しているような笑いだったが、私は軽く緊張していたせいであまり気に留めなかった。それに、レイの言葉の意味を深く考える余裕もなかった。 だが、その笑いの背後で、二人の目線がぶつかり合い、まるで火花を散らすような緊張感が生まれていたことには気づかなかった。 その後も遊園地を回ったけれど、私はどこか
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第5話
どうやって自分の部屋に戻ったのか記憶もあやふやなまま、ベッドの上に座り込んだ私はぼんやりとしていた。ここでようやく、シオンとの「初対面」の心の高鳴りから解放され、冷静に今夜の出来事を振り返り始める。けれど、考えれば考えるほど奇妙な気分が募るばかりだった。最初にシオンと会った瞬間から、何かがおかしかった気がする。ドアの前でのあのキス、そしてお化け屋敷でのあの強引さ――私は一度も、本当に目の前にいるのが誰なのかを確認したことがなかったんじゃないだろうか?シオンとレイ。この双子は、意図的なのか無意識なのか、どこか曖昧にその正体をぼかしている。もしかしたら、最初に私がキスしたのはレイだったのかもしれない。そして、兄弟でそのまま立場を入れ替えたのではないか――そう考えると妙に腑に落ちる気もする。特にお化け屋敷でのシオンの態度。あれは確かにいつもとは違った。さらにさっき廊下で聞こえた兄弟の会話。その内容を思い返すたびに、頭の中には疑問符が次々と浮かんでくる。深く考え込んでいると、突然ドアをノックする音がした。「リノ、起きてるか?外で夜食を頼んだから、一緒に食べないか?」シオンの声だ。私は数秒間沈黙してから、意を決して答える。「先に食べてて。すぐ行く」自分を落ち着け、もう一度兄弟を観察してどちらが誰なのか、そして本当に私の恋人がどちらなのかを見極める必要がある。リビングに向かうと、二人は既に飲み始めていた。テーブルには私の分らしいジュースが一杯用意されている。「飲む?」とシオンが声をかけてくるが、私は慌てて手を振った。「ダメ、私、柑橘アレルギーだから」テーブルには豪華な夜食が並んでいたけれど、私の胃は不安と疑念でいっぱいで、食べる気になれなかった。「リノ、何か気に入らない?リノが好きそうなものばかり選んだんだけど」そう言いながら、シオンは緑のジャケットを羽織っていた。区別をつけるためだろうか?けれど、どこから話し始めればいいか分からず、私はただ口ごもるばかり。そんな私を見かねてか、レイがビールの栓を抜き、新しいグラスに注いで差し出してきた。「姉さんがジュースを飲めないなら、ちょっとだけこれでもどうかな?」私は断るのも疲れてしまい、そのまま一気にグラスを飲み干した。麦の香ばしい味わい
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第6話
彼の言葉が終わる前に、乾いた音が響いた。彼の手が私の頬を激しく叩いた音だった。 衝撃で息を呑む間もなく、彼は私の顎をつかみ、強引に上を向かせる。その手がそのまま喉元に移動し、力強く締め付けられる。 「こうやって……」 そう言うと、彼は冷たく笑いながら続ける。 「焦らないで。まだまだこれからだよ。他にも楽しいことがあるんだから、ちょっと準備させてくれよ」 私は無意識に後退しながら、助けを求めるようにシオンの方へ目を向けた。けれど、シオンは何の反応もせず、まるで面白い見世物を見ているような目でこちらを見ている。 「どうして……?どうしてこんなことをするの?」 涙声で訴える私に対し、彼の目は冷たく無表情なままだった。もはや、彼が私に「愛している」と言った時の面影など微塵も感じられない。 それどころか、シオンは時折レイに道具を手渡す始末だ。 「おい、彼じゃなくて僕を見て」 レイが私の顔を無理やりシオンから引き離し、再び頬を叩く。 「言っただろ?彼女は気に入るって。兄さんは信じなかったけど、これで分かっただろ?」 違う!そんなはずはない! あの一杯の酒――あれに何かが入っていたせいで私は抵抗する力を失った。それだけだ。 それなのに、レイは私のこの状態を「自分から従っている」と楽しそうに笑いながら解釈しているようだった。 「ほら、兄さん。楽しいことはみんなでやるべきだろう?」 …… 「それ以降のことは……ほとんど覚えていません。 とにかく、逃げなきゃ、反抗しなきゃって思っていたのに、体が全然動かなかったんです」 病室のベッドで横たわりながら、私は目の前に座る女性警官に虚ろな声で答えた。 彼女は頷きながらメモを取ると、落ち着いた声で話す。 「あなたの頭部には強い打撃の痕があります。医師によると、一時的な記憶喪失を引き起こす可能性があるとのことです。もし何か重要なことを思い出したら、すぐに警察に知らせてください」 年越しの夜からすでに二日が過ぎていた。私は今朝になってようやく目を覚ました。気がついた時には、すでに病院のベッドの上だった。 私を看てくれている看護師は、以前から通院していた時の知り合いだった。彼女は私が運ばれてきた時の状況を教えてくれた。 「あんた、本当にギリギリだったのよ。
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第7話
私は目を細め、冷たく問いかけた。 「ねえ、この子の名前、覚えてる?」 彼女の名前は天城リン(あまぎりん)、私の妹。 一年前、彼女はビルの屋上から身を投げて自ら命を絶った。 私たち姉妹は幼い頃に両親を失い、ずっと二人だけで支え合って生きてきた。 「ずっと一緒だよ」――そう約束したのに、彼女はまだこんなに若いのに、私を置いて先に旅立ってしまった。 法律は、彼女を死に追いやった犯人を罰してくれなかった。だから、私がやるしかなかった。姉として、彼女のために復讐を遂げるのだ。 「お前たち、ネット恋愛を餌にして何人の女の子を騙したか、覚えてる?」 私は冷たくシオンを見下ろしながら続けた。 「まあ、覚えてるわけないよね。でも大丈夫、誰かが覚えてる。傷つけられた女の子たちの代わりに、ちゃんとお前たちを裁くから」 この兄弟はネット恋愛を利用して、顔を武器に次々と女性を騙してきた。彼らは女性を酔わせて手を出し、その後は兄弟二人で暴力を繰り返した。 例え被害者が異常に気付いても、証拠を残さず巧妙に逃げ続けた。 そんな二人の悪行に終止符を打ったのは、私の妹だった。 彼女は偶然彼らの悪事を見抜いたが、逆にそのことを利用され、容赦なく身体を傷つけられた。そして写真や動画で脅される日々が続いた。 「そういうことか……お前はあの子の姉で、二人は姉妹だったのか。どうりで……なんかお前、見覚えがあると思った」 シオンはようやく状況を理解したらしく、目を細めて毒々しい視線を向けてきた。 「それがどうした!」 彼は怒りに任せて声を荒げる。 「お前だって俺たちに抱かれただろうが!同じだよ、ただの尻軽女だ!兄弟二人にめちゃくちゃにされて、本当に惨めだっただろう?」 彼の顔は憎悪と狂気で歪み、笑い声を上げる。 「お前の妹は死んだ。でも俺たちはまだ生きてる!たとえ刑務所に行ったとしても、せいぜい10年かそこらだ。それが終わったら――またお前を探し出してやる!逃げられると思うなよ!」 私は冷静な表情で彼の暴言を聞き流し、淡々と告げた。 「あんたを死なせるつもりなんてないよ。時には、生きる方が死ぬより苦しいことだってある」 そして、私は静かに笑った。 「そういえば、あの日、あんたたち、ちゃんと対策してたっけ?してなかったと
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