シャワーを浴びた後、鏡の前で自撮りを一枚。テーマは「湯上がり美人」。浴室の湯気がまだ残る中、タオルだけを巻きつけた姿で大胆にポーズを決める。それをネット恋愛の彼、シオンに送った。 少し考えて、さらに効果的なメッセージを添えることにする。 「ねえ、見て。鎖骨ぶつけちゃったみたい……もうイヤだなぁ」 写真に写る私は、濡れた髪をわざと色っぽく肩に垂らし、鎖骨の小さな傷を目立たせるようにポーズを取った。これなら彼の心を掴むのは間違いない。ネット恋愛中だって、こういう「攻め」のやりとりは私の得意分野だ。 送信ボタンを押してから間もなく、スマホに通知が続々と届く。 シオンからの返信だ。絵文字の流れるような勢いに思わず笑みがこぼれる。 「リノ、めちゃくちゃ綺麗だよ!早く会いたい! もし僕がそばにいたら、そっと息を吹きかけて治してあげるのに。それから……もっとたくさんキスをするよ! 本当に好きだよ、リノ」 調子に乗った私は、タオルを少しだけ緩めて、さらにセクシーな写真を一枚追加で送る。 「ねえ、これも気に入る?」 答えは見るまでもなかった。 シオンはスマホの画面から飛び出してきそうな勢いで返信してきた。 「リノったら、ダメだよ。僕をこんなに惑わせるなんて!」 満足した私は、小さな声で彼に甘えたメッセージを送る。 「じゃあ……年越し、一緒に過ごそうよ。もうずっと待ってたんだもん。一緒に目覚めたい、ね?」 この提案に、彼は一瞬返信を躊躇しているようだったけど、しばらくしてこう返ってきた。 「分かった。31日の夜、A市で会おう。もうチケットを取ったよ!ホテルも予約済み。リノ、楽しみにしてて!」 その言葉に私は胸を高鳴らせた。長い間待ち望んでいた彼とのリアルな再会が、ついに叶う……! 風見シオン(かざみ しおん)と私が出会ったのは、とある出会い系アプリだった。ただ、最初はほんの軽い気持ちで彼のプロフィール写真に「いいね」を押しただけ。まさか、それがこんな展開を生むなんて思いもしなかった。 彼はすぐに「いいね」を返してくれて、私のプロフィールを覗きに来た。そして、そこからあっという間に個別メッセージを送ってきたのだ。 人と人の関係って、ちょっとしたきっかけで始まるものだよね。シオンは話上手で、私はちょうど誰か
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