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第26話

Author: 花見無双
「いや、帰らない、今夜は会社で泊まる」

沙緒理が酔いでふらつきながら首を振り、再び俺に近づいてきた。そして、彼女は指先を俺の顎にそっと当て、そのまま軽く持ち上げると言った。

「宏人、あなたが何を気にしてるか、分かってるよ。

今夜、来てくれたから、私もあなたの願いを叶えてあげる。家には真冬と昭雄がいるのよ。だったら、帰らない方が、あなたは気が済むんじゃない?」

沙緒理の穏やかで、探るような口調に、俺は思わず半歩後退した。胸の奥が、ぐちゃぐちゃに絡み合う思いで押し潰されそうだ。

結婚して五年、彼女の譲歩と我慢を見せられるのが、俺が離婚を決意した今だとはな。

たとえ彼女が折れたとしても、今の俺には痛烈に皮肉に響くだけだ。

ああ、最初から、俺が何に苦しんでるか分かっていたんだな。それなのに、俺がまだ彼女を諦めきれず、期待していた頃には、彼女は一切顧みず、俺たちの結婚生活を独りよがりに進めていた。

もう遅いんだ。沙緒理。

そんなことどうでもいい。俺はとっくにこう思うようになった。

失って初めてその価値に気づくなら、お前は最初からそれを持つべきではない。

「会社でどうやって寝
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