「立花社長、コソコソ呼び出して、一体何の用?」真奈が口を開くと、立花は躊躇いがちに切り出した。「俺は……」ドアの外では、美琴と伊藤が馬場を押しのけ、黒澤の背後に隠れた。馬場は止めようとしたが、黒澤の眼差しを見て、思わず一歩後ずさった。関わらないほうが身のためだ。その時、室内の立花はドアがわずかに開き、隙間ができているのに気づいた。彼は眉をひそめる。「ちょっと待て」「?」真奈が立花の意図を測りかねていると、立花はいきなりドアに歩み寄り、勢いよく開け放った。そこには、真奈と立花の視線に完全に晒された三人の姿があった。真奈はドアの前の三人を見て、「何してるの?」と言わんばかりの表情を浮かべた。幸江は咳払いをし、伊藤に目配せした。伊藤は即座に黒澤に責任をなすりつけた。黒澤は無邪気そうな顔で真奈を見つめた。真奈は三人ににっこり笑うと、歩み寄り、容赦なくドアを閉めた。「バン」という音が響く。伊藤と幸江が反応する間もなく、さらに中から鍵をかける音が聞こえてきた。伊藤は跳び上がり、黒澤に向かって叫んだ。「見たか!鍵をかけた!彼女、鍵をかけたぞ!」黒澤の表情が険しくなった。伊藤がさらに何か言おうとしたが、幸江がすかさず彼の頭を叩いた。「もういい!さっさと戻るわよ!」そう言うと、幸江は伊藤を引っ張り、それぞれの部屋へ足早に去っていった。部屋の中、真奈は立花を見て言った。「これで邪魔者はいなくなったわ」「……」立花がじっと見つめてくるので、真奈は少し居心地が悪くなった。「結局、話って何なの?」真奈が訝しげに見つめ返すと、今度は立花の方が決まり悪そうに咳払いをした。「福本信広が、お前のことを好きだっていうのは知っているか?」真奈はすぐに、福本英明が立花に適当なことを言ったのだと察し、隠すことなく頷いた。「知ってるわよ」「知ってるのか?」立花は真奈の堂々とした返答に言葉を失った。真奈は眉をひそめる。「それがそんなに珍しいこと?」「……福本がお前を好きだと知っていて、しかも奴に問題があることも分かっているのに、それでも側に置いているのか?」立花は信じられないといった様子で、問い直した。真奈は頷く。「それがどうかしたの?」「……」立花は目の前の真奈を見つめ、言葉に詰まった。
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