福本信広は陶子の前に歩み寄り、銃口をその顎に押し当てた。「ここまでハッキリ言わせるつもりか?光明会の中核メンバーは、楠木達朗のような老いぼれじゃない。お前だ」福本信広はとっくに陶子の正体を見抜いていた。陶子は完璧に素性を偽装していたが、同じく光明会の中核にいる福本信広の目は欺けなかった。「確か十年前、お前を見かけたことがある」福本信広は銃身で陶子の左頬を軽く叩いた。「俺は一度見た人間は忘れない。お前はあの老いぼれの養女だな。千面役者とか自称してたんじゃなかったか?正体が公になれば、どうなるか分かっているな?」それを聞くと、陶子の冷ややかで無害そうだった表情が様変わりした。彼女は口元を歪め、ゆっくりと笑みを浮かべた。「福本信広、私に手を出すべきじゃなかったわ。あなたは一線を越えたのよ」「妹がどこにいるかだけ答えろ」福本信広の銃口が、ついに陶子の胸元に突きつけられた。「分かってるだろ、俺は気が短い。今日はもう何人も殺した。お前が一人増えたところで、何も変わらない」「私を殺せば、光明会が黙っていないわ。光明会に追われた人間の末路がどうなるか、あなたも知っているでしょう?」陶子は薄笑いを浮かべた。「福本家の地位が高いのは認めるけれど、あなたも分かっているはずよ。福本家の栄華もここまでだって。この世に永遠の富なんてないわ。私に引き金を引く前に、家族や自分の行く末を考えなさい。きっと正しい判断ができるはずよ。ここまで積み上げてきたものを、すべて無にしたくはないでしょう?」その言葉に、福本信広が銃を握る手がわずかに緩んだ。陶子はその動揺を逃さなかった。彼女は福本信広の腕に手を添えると、その銃口を背後にいた楠木家の使用人たちへと向けさせた。「妹さんの居場所なんて、本当に知らないわ。でも、私の正体を暴いたからには、いくつかの厄介事は片付けてもらうわよ」陶子の声には、抗いがたい誘惑の響きがあった。彼女の視線が、怯える使用人たちに注がれる。福本信広は微かに眉をひそめた。だが陶子は、躊躇なく彼の指の上から引き金を引いた。日頃から顔を合わせている使用人たちがどれほど絶望の眼差しを向けようと、彼女には関係のないことだった。「やめて!お嬢様!お嬢様、殺さないで!」「殺さないでお嬢様!お願いします!お願い……」屋敷の中
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