佐藤茂の葬儀からすでに半月以上が過ぎ、光明会の後処理もようやく終わりが見えてきた。伊藤は疲れ切ってオフィスの背もたれにもたれかかり、顔中に倦怠の色を浮かべていた。「まったく、世の中には親父が莫大な財産を残してくれる人もいるのに、どうして俺の親父が残してくれたのは厄介事ばかりなんだ?」「それは誰のせいだって言うの。光明会はあなたの家が引き起こした問題なんだから、当然あなたが解決するんでしょ」幸江はソファに座ってお菓子を食べながら言った。「でも、幸いなことに伊藤家は直接関わってなかったのが救いよね。この時価総額8,000億の会社があなたの手に渡ったんだから、これからは名実ともに伊藤社長よ!」「ふん!時価総額8,000億だって、本当に8,000億円に換金できるわけ?もし本当にできるなら、会社売って、これから世界一周旅行でもしようぜ」「冗談じゃないわ!先祖代々の家業を売るなんて、よくそんなこと考えられるわね。あの世に行ったら、十八代前のご先祖様から順番にぶん殴られるわよ、怖くないの?」伊藤は一蹴された。伊藤は喧嘩は強いが、こういった金融管理の類いはどうも苦手だった。これまで伊藤家の事業には名義だけを貸しているだけで、実際に経営に関わったことは一度もなかった。どうしても避けられない仕事を少し処理する程度で、実権を握ったことはなかったのだ。「じゃあさ、会社を瀬川さんに売るってのはどう?瀬川さんは商売のこと大好きだろ。俺たちは配当だけもらって、悠々自適に暮らせばいいじゃん」「智彦!よくまあそんなこと考えられるわね!」幸江が突然真剣な顔つきになったので、伊藤はすぐにおどおどして言った。「だって、これだって……」「こんな天才的なアイデア、よく思いついたわね?」「え?」幸江は手に持っていたお菓子を置き、言った。「伊藤家の家業があなたの手に渡ったら、数年で衰退すると思うわ。このアイデアはすごくいい。会社を真奈に渡して、私たちは配当をもらうの。毎年、少し多めにもらってもいいでしょ?頭使わなくていいし、お金も入るし、最高でしょ?」「嫁さんよ、やっぱり俺たち気が合うな」伊藤は手にしていた書類を置くと、幸江の前に駆け寄り、嬉しそうに幸江を抱き上げ、何度もくるくる回った。ドアの外では、大塚がドアを押し開けて中に入ってきたが、目
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