けれど、冬城は真奈と結婚することを決めた。冬城が瀬川家に与えたものは、そんな古い人脈なんかより遥かに大きい。真奈は、目の前の男が笑ってはいるものの、目には失望が満ちていると感じた。この感覚は真奈をとても居心地悪くさせた。まるで自分が、相手を傷つけるようなことを言ってしまったみたいで。「ただ……調査されたって感じがして、気分が良くなかっただけなの。わざとあなたを責めてたわけじゃない。実際、あなたはいい人だと思う」「わざわざフォローしなくていい」冬城は淡く笑いながら言った。「この婚約はもともと大したことじゃない。ただし、婚約解消は君が大学を卒業してからだ」「どうして?」「理由はない」冬城は手に持っていたテイクアウトの袋を置き、言った。「もう冷めたな。外で食べよう」そう言うと、冬城は立ち上がり、入り口の秘書に机の上のゴミを片付けるよう指示した。真奈は訳も分からないまま、その後ろについて行った。会議室に自分の宿題がまだあることを思い出し、取りに行こうとしたが、先を行く冬城は真奈の考えを読んだかのように言った。「気にしなくていい。秘書が持ってくる」「うん」真奈は冬城の横を歩いた。社長専用エレベーターは二人には少し狭く感じられ、真奈は思わず横目で冬城を一瞥した。眉間には冷たさが滲んでいて、まさにドラマに出てくる冷酷社長そのものだった。地下駐車場に着くと、運転手はすでに待機していた。真奈は冬城と一緒に車に乗り、どこで食事をするのか全く知らされないままだった。結局、車は都心の目立たないフレンチレストランの前で停まった。見た目からしてとても高級そうだった。真奈はレストランの看板をじっと見つめ、我に返ったときには冬城はもう中に入っていた。「瀬川様、こちらへどうぞ」店員がわざわざ外まで迎えに来た。高校生にとっては、まさに恐縮するほどのもてなしだった。真奈は店員についてレストランの中へと進んだ。店内には誰一人おらず、事前に貸し切りにされたかのようだった。冬城は窓際の席に座っており、真奈も店員に導かれてテーブルへと向かった。「なんで誰もいないの?」「静かなのが好きなんだ」「……ああ」つまり貸し切りってことね。真奈は冬城の向かいに座り、外国語でびっしり書かれたメニューを見て、軽く
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