父が盗んできたのは、メスの羊で、見た目はけっこう可愛かった。でも、うちに来てから全然嬉しそうじゃなくて、父がお酒飲んで酔っ払うと、殴ったり蹴ったりしてた。夜中にも羊小屋に行って八つ当たりして、羊小屋から聞こえる悲しい鳴き声が怖くて、耳を塞いだ。しばらくして、その羊が妊娠した。村の人たちはびっくりしてた。うちの村は辺鄙で貧しいから、羊なんて飼ってる人なんていないし、どうやって交配したんだろうって。父は「都会で妊娠してたんだよ、ラッキーだったな!」って笑いながら言ってた。そして、六匹の子羊が生まれた。生まれたばかりの子羊たちは、毛むくじゃらの小さな玉みたいで、毛が濡れて体にくっついて、淡い飴色をしてた。目はまだ開いてなくて、すごくおとなしく見えた。鼻はピンクで、小さな口を少し開けて、時々細い声で鳴くのがかわいくてたまらなかった。村の人たちがうちの庭に集まってきて、褒めまくってた。「こんなにたくさん羊を見るのは初めてだ!さすが山田さん、とんでもない宝物を拾ってくるなんて!」「こんなにたくさんの子羊、売ったら結構な金になるぞ!お前んち、これで一気に裕福になるな!」母は嬉しそうに口が止まらなくなって、「もちろんよ!欲しい人は早く名乗りなさいね、遅れたら他の人に売っちゃうから!」って。母が村の人たちと話してると、羊が斜めに目をして、まるで母を睨みつけてた。その目つきが怖くて、思わず震えちゃった。すると、父が不安そうに羊をちらっと見て、「子羊たちはまだ小さいから、売っても育てにくいだろうし、やっぱりお母さんのところでしばらく育てて、もう少し大きくなってから売ったほうがいいかもな」と、迷った顔をして言った。村長は欲深そうに子羊を見て、懐から現金を出してきた。「山田、ケチくさいこと言うなよ。羊肉って体にいいって言うだろ、特に生まれたばかりの羊は元気の源になるんだ!四匹、煮込み用にくれよ、金は全部払うからさ、気に入ったらもっと買いに来るよ」父は何度も手を振って「ノー」と言ったけど、母は村長からもらったお金を嬉しそうに受け取った。「あら、こんなにたくさんお金をもらっちゃっていいのかしら?村長さんってほんと太っ腹ね。子羊は持ってって、また子羊が生まれたら、言ってくれたらすぐ届けるから!」母はそう言って羊小屋に向かってい
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