《(改訂版)夜勤族の妄想物語》全部章節:第 701 章 - 第 710 章

742 章節

7. 「異世界ほのぼの日記3」199

-199 過去を思い出して- 恋人達は貝塚学園の入学センター長を兼任するアーク・ワイズマンのリンガルス警部に話せるだけの事を話した、先程結愛の話を含めた『念話』が上手く行かなくなった事や渚の『転送』により送られた荷物が的外れの場所に届いてしまっていた事等だ。しかしその場にいた転生者達の心中には共通してある疑問が生じていた、今回の義弘脱獄事件に転生者達の能力が関係しているのだろうか。 一先ず社長達の疑問を解決するためにリンガルスは3国警察の、しかもそのごく一部の者しか知らない重要事項を思い出していた。これが事件解決の糸口になれば・・・、という一心での行動に俺は敬意を表するばかりであった。リンガルス「それでは皆さんに一つ質問です、ネルパオン強制収容所では貝塚義弘の様な強大な魔力を持つ犯罪者達をどういった方法で幽閉していると思いますか?」 結愛は以前望まないままに行った父親との面会での事を思い出した、あの時の義弘はどの様な様子だっただろうか。結愛「確か・・・、手枷と足枷を付けられていた様な。」リンガルス「そうです、実はあの手枷と足枷はとある国にひっそりと住む少数民族達しか掘削する事が許されていない希少な鉱石を使った特別製でどんな強大な魔力でも封じてしまうというとんでもない物なんです。実は私もその掘削の現場や少数民族の住む国も知りません、ましてやどの様な種族の民族なのかも知りません。ただ今言える事は両方の枷の鍵を持っているのは強制収容所長や選ばれた職員達と今申し上げた少数民族の長のみだという事だけなんです。もしかしたらその中に協力者(裏切者)がいるのかも知れません。」結愛「ただな・・・、1つ引っ掛かる事があるんだ・・・。」守・好美「何・・・?」 結愛は元の世界にいた頃、それも「最悪の高校時代」が幕を下ろしてから数日後の事を思い出していた。結愛「守・・・、義弘は元の世界にいた頃にどのようにして刑務所を出たか覚えているか?」守「確か・・・、あの頃は義弘派閥の・・・、あーっ!!」結愛「思い出したか・・・。」 同級生として高校時代を過ごした2人の間のみで展開される会話に全くついて行く事が出来なくなってしまっている好美とリンガルスは何となくだが疎外感を感じてならなかった、一体守は何を思い出したのだろうか。好美「何よ、こんな時に2人だけで盛り上がらないでく
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7. 「異世界ほのぼの日記3」200

-200 らしさ- まるで英雄かの様に格好良く登場したつもりの「全能の神」だったが転生者達による質問によりその場にずっこけてしまった、ただ俺はそれを見て「おいおい空気を読めよ」と言う気持ちも無くもなかったがこのスタイルこそこの物語だなと頷きたくもなった。ビクター「お前らな・・・、それって今言う事か?特に倉下好美、ボートには行ってたけど緊急事態だと思って致し方なく天界から降りて来たのだ。これを見ろ、私が競艇場を出た直後のレースが15万舟だぞ!!俺だったら絶対取れてたね!!」 上級古龍が最後に発した言葉は舟券を買ってない奴がよく言う台詞だと思われるが正直言って今はそんな事を話している場合じゃないという事は誰にでも分かっていた、転生者達のお陰でその場の雰囲気が和んだのでビクターは本題に戻る事にしたが正直言って未だに今自分が見ている光景を理解しきれていない者が約1名。リンガルス「あのすみません・・・、こちらの紳士の方は?」ビクター「おや、私の事を「紳士」なんて言ってくれるのか。長生きはするものだな。」 ビクターの言う「長生き」は桁外れな物であるが今掘り下げるのはどうかと思ってしまうのは俺だけだろうか、というか「一柱の神」って結構有名な存在じゃ無いのか?結愛「警部がこうやって言うのも無理もないさ、ビクター神様はこの世界に降りたり人前に出現する度に姿をコロコロ変える事が多いからな。」 そう言えばそうだな、確か最初光の前に現れた時は髭を蓄えたおじいさんの姿だったか。ビクター「悪かった悪かった、本当は古龍の姿のままいるべきだとは思うんだけどそれだと目立つし近隣の住民達の邪魔になるだろう。迷惑をかける訳にはいかないと思っていつも『人化』しているけどどの姿でいるべきか定まらなくてね、いつも迷っているんだよ。」好美「じゃあいっその事その姿にすれば良いじゃないですか?しっくりするし私は好きですよ。」 「好美の好み」か・・・、フッ・・・。好美「ああ!!今鼻で笑ったでしょ、それじゃ私がスベったみたいじゃない。」 えっ?お前まさか俺がこう言うとウケると思っていたのか?好美「それは無いけど・・・、別に私の事は良いじゃん!!いつ本題に戻るのよ!!」 そうだな、すまんすまん。それで?どうして結愛の考えがあり得ないと神様は仰っていたんですか?ビクター「そうだよ、それを話
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7. 「異世界ほのぼの日記3」201

-201 脱獄事件後の収容所- 覆面パトカーに乗っているにも関わらず和気藹々とした雰囲気で一行はダンラルタ王国の端にある小さな村へと到着した、村の入り口に到着してすぐに大企業の代表取締役社長は大きくため息をついた。結愛「はぁ・・・、またここに戻って来る事になるとはな・・・。」 ネクロマンサーの心中を察してだとは思われるが起こってしまった事態が相当な物なのでそれなりに社長を宥めようとする入学センター長、その様子を見た恋人達は普段から目の前の警部がどれだけ信用されているかを何となくだが与する事が出来た気がした。リンガルス「社長、今からそんなに大きなため息をついてどうするんですか。貴女は決して悪い人間ではないでしょ?この3国に住んでいる住民の方々の為に全力を尽くそうとしてらっしゃるんですからご自分の事を誇りに思って下さいよ、今結愛さんがやろうとしてる事は結愛さんにしか出来ない事なんですから。」 少しでも聞きやすい様に敢えて社長の事を様々な言葉で表す警部、きっと「結愛さん」と名前で呼んだのも警部なりの優しさが故だと捉えることが出来る。それが功をなしたのか結愛は今までキチっと着こなしていたパンツスーツをほんの少し崩した、これはきっと夫の光明でさえ出来なかった事だと思われたがこれはこれで良いのだろうか。結愛「そうだよな・・・、いくらあのくそ親父と言ってもやっぱり俺の父親だもんな。娘の俺が何とかしなきゃいけないか・・・、兄貴は頼りにならねぇしな・・・。」 結愛の目線から見た海斗の存在って一体・・・、まさかと思うがただのシスコンか?守「今更何を言わせるんだよ、海斗のシスコンは「あの時」からずっと変わってねぇだろ?」好美「話を聞く限りで大分結愛がお兄さんに愛されているのが分かるけど流石にドン引きしちゃうわ。」 ハッキリ言って今はましな方だと思われる、下手したら叔母の美玖が施設長を勤める魔獣保護養育施設を抜け出して会いに来かねなかったのだ。今まで通りの平穏が保たれていたのは美玖のお陰と言っても過言では無い、結愛は心の中で叔母に感謝しながらも父親の新たな暴走を止める為に友人や警部と共に村の住民の厚意により用意されたボートへと乗り込んだ。収容所のある孤島へは村の村長が自らボートを操縦していた。村長「最近この辺りも気温がずっと高いので、実は干潮になってしまう時間帯が以
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7. 「異世界ほのぼの日記3」202

-202 複雑な兄弟- 強制収容所の中を歩み進めていくのと比例して守や結愛、リンガルス警部、そして4人を迎え入れた係員は緊張感が高まった顔をしていた。ただそれと反する様に好美はずっと冷静を保ち表情を全く変える様子が無かったのでそこにいる全員が不思議で仕方が無かった、何か後ろ盾でもあるのだろうか。守「好美・・・、好美?」好美「・・・。」 好美はずっと無言で表情を変えないままでいた、周囲から見れば気味が悪いと言われんばかりに。結愛「少し待ってろ、きっと『念話』でも使って重要な手がかりでも聞き出そうとしているんだろう。ハッキリ言って羨ましいったらありゃしないぜ。」 この事件の解決と自らの能力の復活を願わんばかりの結愛、今はどんなに小さい事柄でも見逃す訳にもいかない。 それから数秒後、好美は無言のまま表情を変えていた。どうやら結愛の言った通り『念話』を行っていた様だ、『進入阻害』を使っていた為か分からないが誰と話していたのかをそこにいた皆が分からないでいた。 それから所長室に到着するまでの間を利用して大企業の社長は先程から感じていた違和感について尋ねてみる事にした、きっと結愛以外の者も同じ気持ちでいただろう。結愛「あの・・・、何となくなんですけど湿度が高くなっていませんか?」係員「やはり感じますか、実は最近施設内の監視カメラの委託業者を変えたと聞いたんですが詳しくは教えて貰えていなんですよ。ただ所長は「評判の良い方々だから」とその業者の方々と会わせてくれないんです、副所長にも会わせていない様ですので平の私達がこれ以上付け入る訳にいかないと思ってそっとしておく事にしているのですが・・・。」 そうこうしている内に一行は所長室の前に到着したので係員は木製の扉を優しくノックした、しかし中からは反応は一切無かった。係員「所長?先程申し上げた通り貝塚社長御一行が来られたのでお連れ致しました、ご不在ですか?」 やはり中からの反応は無い、係員が調べてみると扉の鍵は掛かっていなかった様なので室内で待っていようとしたがそれを横から止める男性の声がした。男性「ヂラークさん、何をされているんですか?」ヂラーク「すみません、所長とお約束があった貝塚社長をお連れしたのですが室内にいらっしゃらない様でして。」 会話の流れからその人物は4人案内して来た係員・ヂラークの上司
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7. 「異世界ほのぼの日記3」203

-203 強制収容所で共生する「アレ」- 副所長の案内で所長室の中へと入って行った一同、全体的に真っ暗で奥に業務用のデスクが1台と手前に大きなソファが2つだけ並んでいたその室内でも相変わらずジメジメとしていた事は変わらなかった。ただそんな中まさか自分の店で雇っている優秀な料理人が親戚の間で強力な元竜騎士としてではなく性癖で有名になっているとは思わなかった好美、呆れてものが言えないと言う気持ちでいっぱいになっていたマンションの大家兼拉麵屋のオーナー達と共にソファに座っていた大企業の社長は1人周囲を見回していた。好美「結愛、落ち着きなよ。何か気になる事でもある訳?」結愛「ああ・・・、悪い。ただ不思議で仕方が無い事があってな。」守「不思議って何だよ・・・。」 結愛は部屋の壁の下の方を数か所指差しながら部屋にいた数名に先程自分が不審に思っていた事を伝えた。結愛「こう思うのは俺だけだと思うんだが、何となく見覚えがあると思ってよ。ほら、守と好美もあの辺りを見てみてくれるか?」 友人に促されるままに恋人達が指差された方向へと向いてみると壁の下の方にまさかの「アレ」が・・・。好美「あれって・・・。」守「どう見ても焼いたら美味しそうな・・・。」2人「キノコ・・・、だね・・・。」 そう、所長室のいたる所にキノコが生えていたのだ。2人は目を閉じて強制収容所に入ってからの事を思い出そうとしていた。好美「ねぇ、よく考えればここに来てから所々にキノコが生えていた気がするんだけどどうしてかな。」 好美の疑問に答えたのは副所長のムクルだった。ムクル「これは飽くまで憶測なんですけど最近この孤島だけ何故か雨が続いていたのでそれが原因かと、先週からというより所長より監視カメラの委託業者を変えたと聞いてから酷くなって気がしてならないんですよ。」結愛「警備の委託業者・・・、キノコ・・・、まさかな・・・。」守「何だよ結愛、何か身に覚えがあるのかよ。」結愛「少しな・・・、多分気のせいだ。すまねぇ・・・。」 結愛が気がかりな事を思い出そうとしていた傍らで所長室の部屋が優しくノックされる音がしたので副所長は扉を開けて迎えに行く事にした、すると扉の向こうから中の様子を伺う声がした。声からして扉の向こうにいたのは女性の様だ。女性「ムクルさん、中にいらっしゃるんですか?」ムクル「
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7. 「異世界ほのぼの日記3」204

-204 本当に所長なのか?- ムクルがお願いする位お茶に相当拘りを持つ所長はある程度の手順を隣の部屋で踏んだ後のポットを含めた紅茶セットを載せたお盆を両手に持ってニコニコしながら戻ってきた、お茶に拘りを持っていると同時にカップやポットにも拘っている様で結構な高級品と思われる陶器の器に思われた。所長が全員に温かな紅茶を配り終えると辺りに仄かだが良い香りが広がっていた、そんな中所長はソファの空いている席に座って懐から何かを取り出そうとしていた(多分名刺)。所長「大変お待たせいたしました、飲み頃だと思いますのでごゆっくりお楽しみ下さい。その間に私は・・・、あれ?おかしいな・・・、この辺に入れた思うんだけどな。」ムクル「所長・・・、前から入れる場所を決めときましょうって言ってるじゃないですか。」 副所長は優しく伝えたつもりだったが所長にはきつい言葉に聞こえたらしく・・・。所長「えぐっ・・・、えぐっ・・・、うわぁーん!!また副所長に怒られたぁ!!」 どうやら所長はかなり気弱な女性らしいのでその場で泣き出してしまった、失礼も承知で言うが正直この人に強制収容所の所長が務まるとは思えない。所長「なぁにぃ、この声の人だぁれぇ!!」 ごめんね、ごめんなさいって!!目の前にいる社長のお姉ちゃんが今度お菓子買ってくれるって言ってるから泣き止んで、ね?結愛「ちょっと・・・、おま・・・!!」所長「本当?お姉ちゃん、お菓子買ってくれるの?」 見た目では明らかに結愛や好美と同年齢なのだが、所長の精神年齢はいくつなのだろうか・・・。結愛「ああ・・・、1個だけな。」所長「うん・・・、じゃあ許す。」 ふぅ・・・、助かった・・・。すまんが結愛、今度買ってやってくれ。多分小さい駄菓子とかで大丈夫だと思うから。結愛「お前な、いくら何でも失礼じゃねぇのか?まぁ、解決したから良いんだけどさ。」 目の前で起こった事件(?)は即刻解決したがここに来た本来の目的は未だに果たせていない、一先ず一行は所長が泣き止んで落ち着くのを待った。所長「副所長・・・、うちちょっとトイレ行く。」ムクル「トイレね、うん、行ってらっしゃい。場所は分かるかな?」所長「うん、1人で行ける。」 所長が部屋を出るのを見送ったムクルは再び転生者達に耳打ちした、何が言いたいのかは大体察しが付くのだが一応聞いて
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7. 「異世界ほのぼの日記3」205

-205 許される為に- 所長の真っ直ぐな言葉に口をまごつかせる副所長が少し顔が赤くなっていた気がした恋人達はどこからどう見てもムクルが片思いをしている様に見えていた、しかし本人がおどおどとしていた理由は別であった。勿論、「あれ」である。所長「ムクルさん・・・、私に・・・、嘘ついたんですか・・・?」 再び泣き出しそうになっていた所長、何処からどう見てもムクルがやらかした様にしか思えない。ただ折角素に戻っていたというのにこれではなかなか話が進まない、早く所長をあやして貰いたいのだが・・・。ムクル「ああ・・・、所長、申し訳ありません。今度所長が大好きなソフトキャンディー買って来てあげますから許して下さいよ・・・。」 別に悪い訳では無いのだがソフトキャンディーで上司を何とか宥めようとする副所長、本当にこんな調子で大丈夫なのだろうかと心配になってしまう。所長「うっ・・・、うっ・・・、何味?」 正直「そこかよ」と突っ込みたくなったが今は所長の機嫌を直す事が先決である。ムクル「えっと・・・、グレープ味でよろしいでしょうか。」 結構チョイスがベタな気がするが、本当に良いのか?所長「ねぇ・・・、ラムネ・・・、ラムネ味じゃ駄目なの?」ムクル「ラムネ味ね、今度近くの雑貨屋で買って来ますから許して下さいね。」 転生者達が見守る中ラムネ味のソフトキャンディーが手に入る事が確約された所長は一気に機嫌を直した、ただこの孤島に一番近い雑貨屋を含めて3国にある店という店で今ラムネ味のソフトキャンディーが入手困難となっているのだが大丈夫なのだろうか。所長「明日には買って来てね、約束だよ!!」 因みに入手困難なそのソフトキャンディーは最短でも入荷が1週間先となっている上に人気のラムネ味は発注しても生産量自体が少ないので必ず店に商品が来るとは限らない。ムクル「わ・・・、分かりました。分かりましたのでお客様方への対応をお願い出来ますでしょうか。」 おいおい、本当にそんな約束して大丈夫か?もし買えず仕舞いだったら明日また大泣きするかも知れないぞ。 まぁ、良いか。どうせ俺には何の関係もない事だから話を進める事にしようかね。所長「大変失礼致しました、私ここの所長をしておりますハイラと申します。」 再び御手洗から戻ってきたハイラはトイレの個室でやっと見つけ出した名刺を差し出
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7. 「異世界ほのぼの日記3」206

-206 正体- さり気なく「通常モード(こっちで良いんだよな、多分)」に戻ったハイラによる意味不明な発言によりムクルや転生者達は一斉に首を傾げた、顔を見た事すら一度も無いのにもう会っているとはどういう事だろうか。ムクル「所長、どういうお方なのか存じ上げないのにもう既に私達とお会いした事があるとはどういう事でしょうか。」 また泣かす訳にはいかないのでじっくりと言葉を選びながら声をかける副所長、再び「泣き虫モード」に戻ってしまうとハッキリ言って厄介なのだ(と言うより買う事になるソフトキャンディーの個数をこれ以上増やしたくない)。ハイラ「えっとですね、お会いした事があると言うより先程からずっとこの部屋にいらっしゃっているんですけど。」ムクル「所長、恐れ入りますが我々以外にどなたもいらっしゃらないと思うのですが宜しければどちらにいらっしゃるか教えて頂けませんでしょうか?」 ムクルの依頼を聞いたハイラは全く人のいない方向を手差しした、所長の手の先には好美達も気になっていたキノコが生えていただけだった。好美「所長さん、私達の目がおかしいのかも知れませんが誰もいませんよ。」 好美は決して嘘をついているつもりは無かった、ただその横で頭を悩ませる人者が1人。結愛「好美、ちょっと待ってくれるか?うーん・・・、何となく身に覚えがあると思うんだよな・・・。」好美「えっ、どういう事?」 ただ好美の質問に答えたのは所長だった、ハイラは先程手差ししたキノコへと近づいて軸の上の方を軽く叩いた。ハイラ「そりゃあ身に覚えがあるはずですよ、だってこの方・・・。」 ハイラの合図に応じたかのようにすぐ隣に生えていた最も大きなキノコが一気に地中から抜け出してゆっくりと一回転すると軸に顔があったのが分かった、それを見て結愛はある事を一気に思い出した。結愛「思い出した、最近貝塚警備で雇ったマイコニド達を数人ほどこの収容所に送り込んだんだ。すっかり忘れてたぜ。」好美「マイコニドってキノコの・・・、でもこの世界にいたの?」結愛「実は俺も未だに信じ切れてないんだけどさ、どうやらバルファイ王国の小さな村に集団で住んでるらしいんだよ。それでこの前稼ぎ口が欲しいって泣きついて来たもんだから警備の職に就かせていたんだ、それからは支社長に任せていたから忘れていたよ。」 笑いながら頭を掻く結愛
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7. 「異世界ほのぼの日記3」207

-207 社長として、そして友人として- 所長室にいた数人がレイトを泣かすまいと必死に宥めようとする中で大企業の社長には不審に思っていた事があった、確かに義弘の脱獄事件を受けたので貝塚警備の支社長を通して目の前のマイコニドを監視カメラの設置役としてこの強制収容所に派遣したのは自分自身だが常駐する様にとは頼んでいない。結愛は飽くまでビジネスとしての話なので「大人モード」で声を話しかける事にした、これは泣き虫(?)のレイトが話しやすくなるようにとの配慮も兼ねてだ。結愛「レイトさん、恐れ入りますが1つお伺いしても宜しいでしょうか?」レイト「私なんかに社長さんが聞く事なんてあるんですか?」 正直今の状況で聞く事が無かったら声をかけないと思うのだが今はそっとしておくのが1番だろう。結愛「あの・・・、確か貴女にお願いしたのは監視カメラの設置だけだと思うのですがそれはとっくに終わったはずなのにどうしていらっしゃるんですか?」レイト「えっと・・・、これは私が貝塚警備に就職してすぐの事なんですが支社長に監視カメラを設置してから数日後に必ず調整に行く様にと言われたんですよ。私はその時に聞いただけなんですが最近新しく出来た社則だそうです。」結愛「そうなんですか・・・、ちょっと支社長に確認しても宜しいですかね?」レイト「勿論です、その支社長本人に聞いたんですから。」結愛「別にレイトさんを疑っている訳ではないので大丈夫ですからね、安心して頂けたら助かります。ただ本社の社長としてしっかりと把握しておく義務があると思うんです。」 優しい眼差しでレイトと話す結愛の姿を見て同級生と自分の間に出来た差を誰よりも感じていた守、何となくだが「悪ガキモード(というより素の状態)」に戻したくて仕方が無かった。守「お前って意外と従業員思いだよな、義弘と違って。」結愛「「意外と」って何なんだ「意外と」って、それに比べる対象がおかしいだろうがよ。あのくそ親父と一緒にすんな!!」 突然素に戻った結愛を見て驚きを隠せなかったレイト、これはまずい雰囲気では無いのかと思ってしまったがどうやらマイコニドの心中には別の理由があった様で・・・。レイト「お・・・、お父さんの事を「くそ親父」なんて言っちゃ駄目ですぅ~!!」 最近貝塚警備(いや貝塚財閥)に入社したレイトは勿論義弘と結愛の過去を知る訳が無
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7. 「異世界ほのぼの日記3」208

-208 対策が弊害に- 父親の事が大好きで強制収容所の所長と同じくらいに泣き虫のマイコニドを守が必死に宥める中で友人の言葉に甘えた大企業の社長は貝塚警備の支社長に連絡を取る為に隣の給湯室へと向かった、そこでは丁度所長が紅茶を新しく淹れなおしていた最中であった。ハイラ「どうかされました?もうちょっとで美味しい紅茶が出来上がるんですけど。」結愛「所長さん、紅茶は楽しみなんですけど一先ず支社に連絡だけしようと思いまして。」ハイラ「連絡・・・、ですか・・・。出来ますかね・・・。」 ハイラの言葉の意味が分からなかった結愛は一先ず懐からスマホを取り出した、そして電話帳の画面を開こうとした時に所長の言葉の意味を知る事になった。結愛「うそ・・・、マジかよ・・・。」 そう、強制収容所のある孤島には携帯電話の電波が届いていなかったのだ。よく考えてみればこの孤島に来てすぐに会った係員のヂラークもインカムで話していたのはそのためだと思われた。結愛「畜生・・・、気は乗らねぇがやってみるか・・・。」 結愛は試しに夫・光明へと『念話』を飛ばしてみたがやはり反応が無い、実は先程以上に自分の魔力が著しく低下している事を感じていたので嫌な予感がしていたのだった。結愛「何も使えないのかよ・・・、これじゃあ誰とも連絡が取れないじゃんかよ。」 舌打ちを連発する結愛の横を淹れたばかりの紅茶が入ったポットを抱えた所長が偶然通りかかった、正直何回お茶を淹れに行けば気が済むんだと聞きたいが今はそれ所では無い。ハイラ「あら、社長さんに言ってませんでしたっけ。」結愛「所長さん・・・、何かあったんですか?」 本来の業務上のレイトと同様に結愛もこの強制収容所に常駐していないので知らない事があって当然だ、1人困惑していたネクロマンサーはどうして夫と連絡を取ることが出来ないのか不思議で仕方が無いので所長の言葉に耳を傾ける事にしたのだった。ハイラ「実は以前監視カメラの設置等を委託してた業者の方が忘れて行ったものだと思うんですけど、収容所内における情報の傍受や漏洩を防ぐ為の対策の1つとして携帯電話の電波を妨害する機器を設置したままになっているんです。ただ係員の間での連絡が取れないと困るからと周波数の違う電波を使用するインカムを用意して頂いたので折角だからそのままにしておこうという意見に纏まったんで
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