智昭が返事をする間もなく、将吾は彼の肩を軽く叩き、「まあ、任せたよ」と続けた。そう言い終えると、将吾は痛むこめかみを揉みながら、真っ先にその場を離れていった。智昭は歩み寄り、玲奈のバッグを手に取ると、彼女を抱き上げ、個室から出た。階下に着いて、智昭が玲奈を抱えて駐車場に向かう途中、淳一もちょうど車で帰るところだった。二人の姿を見て、淳一は車に乗り込もうとしたが、足を止めた。智昭が玲奈を抱きかかえる親密な様子を見て、一瞬躊躇い、淳一はスマホを取り出し、二人の写真を数枚撮った。智昭の車は、淳一の車の近くに停まっている。智昭はすぐに玲奈を抱いたまま車に乗り込んだ。淳一はそれを見て、わずかにためらって、自分も車に乗り込み、智昭の車が出発した後、アクセルを踏んで追いかけていった。淳一は特に時間を気にせずについて行った。智昭の車が有名な高級住宅地に入ると、淳一は脇道に逸れて、その場を離れた。車が車列に合流するとすぐに、淳一はある人に電話をかけた。「智昭がこの住宅地に不動産を持っているかを調べてくれ」指示を出してから、家に着く頃にはもう情報が入ってきていた。「藤田さんは確かに、この住宅地に不動産を所有しています。正確には、藤田さんはここ数年そこに住んでいて、離婚する前は妻と娘も同居していました。離婚後も現在は娘と二人で住み続けています」つまり、あの高級住宅地に智昭は住んでいるのか?まさか、そのまま玲奈を自宅に連れ込んだというのか?淳一の表情が険しくなった。……翌日ーー。玲奈が目を覚ますと、頭が割れるように痛んでいた。ベッドから起き上がって部屋の様子を見まわした時、自分がまだ寝ぼけていて目がかすんでいるのかと思った。自分が智昭の自宅で、しかも彼の寝室にいることに気づくと、玲奈は一瞬呆然とした。しばらくして、彼女は自分が昨夜酔っ払って、智昭に連れられて来たのだと気づく。外はすっかり明るくなっている。玲奈のバッグは、この部屋のベッドサイドテーブルに置いてある。玲奈はこの部屋に長居するつもりはなく、我に返るとベッドから降り、スリッパを履き、バッグを手に取って、寝室を後にした。寝室を出た途端、階下から上がってきた執事とばったり会った。執事は微笑みながら、「おはようございます、奥様」と挨拶した
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