ゾルダと自称するやつらを乗せた船が旅立ってから数日がたった。竜天島はほとんど人が寄り付かない島だ。それだけドラゴンが凶暴で人では太刀打ちできないからだ。そんなところに好き好んでいく奴はいない。もしあいつらがゾルダ率いる一行というのであれば……無傷とは言わないが、あたいの願い事はこなしてくれるだろう。時間はかかると思うが、あそこに住み着くドラゴンたちの数も減らしてくれるはず。そうなればこっちも襲われる頻度は少なくなる。今はどうなるかを待つってところかな。失敗したら失敗したでそれはそれだしな。お願いしたのはあの島へ行って秘宝を持ち帰ることだ。どっからどう見積もってもあと数日は帰らないだろう。その間、あたいはゆっくりと休ませてもらうよ。そんなことをギルド長室で一人で考えていたら、廊下からものすごい勢いでノックする音が聞こえた。『ドンドンドン』「ギ……ギルド長ー! ギルド長はいらっしゃいますかー」慌てふためいたギルド職員が、あたいの部屋に入ってくる。「なんだー けたたましいな。 何があったんだ」息を切らしたギルド職員は膝に手を当てながら、息を整えつつ言った。「ふ……船が……船が帰ってきました」「どこからの船だ? ここでは船の行き来も多いし、船が帰ってきたぐらいで慌てることもないだろう」「りゅ……竜天……竜天島へ行った船です!」「何?」流石にびっくりした。ただ予想した以上の早さで帰ってきたということは……あまり芳しくない結果だったのかな。元魔王だというから期待していたんだが、とんでもない食わせ者だったかな。「よし、船着き場へ向かう。 会って、直接確かめるぞ」職員にそう言い残して、商業ギルドを後にした。そして、船着き場へ向かった。船着き場へ着くと、竜天島へ向かっていた船はあと少しで着岸するというところだった。近くで着岸作業を見ていたあたいは、降りてくるゾルダ一行を見つけた。「おーい、お早いお帰りだな。 上手くいかなかったのか?」いち早く気が付いたのは男の方だった。「ジェナさん、お出迎えいただきありがとうございます」男は深々と頭を下げる。そこに割って入ってきたのは、自称ゾルダという女だった。「何を失敗した前提でお前は話をするのじゃ。 きちんとお前が望んだものを持って帰ってきているのじゃ」「
Terakhir Diperbarui : 2025-05-29 Baca selengkapnya