真夕は不幸な幼少期を過ごしたが、それでも愛する勇気を失わなかった。 藍であれ、司であれ、彼女は自ら積極的に愛そうとした。 誰かを愛することは、卑屈になることでも、劣ることでもない。 ましてや、それが誰かに辱められる理由になるはずもない。 それに、彼女はもう愛していないのだから。 彼女はもう司を愛していなかった。 司は冷たい瞳で彼女の澄んだ瞳を見つめ、薄い唇を冷笑の形に歪めた。「本当に俺のことが好きじゃなくなったのか?」 「そう……んっ!」 真夕の言葉が終わる前に、男はすでに顔を近づけ、彼女の赤い唇を強引に塞いだ。 「ドンッ」と脳内で爆発音が鳴り響き、真夕の思考は真っ白になった。白黒はっきりした瞳が驚愕に見開かれ、突然のキスを信じられずにいた。 二人がキスしたことはあった。だが、最後にシャワールームでキスをしたときは、彼女が彼を誘い、縋るようにして唇を重ねたのだった。 しかし今、司がキスをしてきた。 真夕はすぐに抵抗し、手を上げて彼を押しのけようとした。「司、離して!」 しかし、彼の逞しく整った体が彼女の華奢な体を壁に押し付けた。薄くて冷たい唇が容赦なく押し付けられ、そこには強奪と征服の気配が漂っていた。 彼女が口を開いた瞬間、彼はその隙をついて歯列をこじ開け、侵入してきた。 一瞬にして、彼の特有の香りが彼女を包み込んだ。 清潔で、冷ややかで、それでいて男性的な香りだった。 彼女は今まで、司以外の誰とも親密な接触を持ったことがなかった。彼女は、白紙のような存在だった。 真夕のその未熟な体は極めて敏感で、この唇と舌の絡み合う感覚に、顔が真っ赤になった。彼の口づけの中で溶けてしまいそうな気がした。 彼の胸を押し返そうとしていた手がゆっくりと縮まり、高級なシャツの生地を指先で握りしめた。足元がふらつき、崩れ落ちそうになった。 それを察知した司は、逞しい腕を伸ばし、真夕のくびれた腰を抱き寄せた。しっかりと彼の胸の中に固定した。 司は彼女を解放し、キスを終えた。 真夕の顔は真っ赤になった。「あなた……」 司の低く嘲る声が響く。「これが『好きじゃない』ってことか?俺がキスしただけで、もうグズグズになってるくせに」 この女が、俺のキスを馬鹿
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