「スゴいでしょ? ……って言ったら自慢に聞こえちゃうかな。でも、『そんなことないよー』って謙遜したらかえって嫌味に聞こえちゃうみたいだし。困ったなぁ。こういう時、どう返すのが正解なんだろうね」 「…………はあ」 「……あっ、こんなこと言われても、矢神さん困っちゃうよね。ごめんなさい」 わたしがリアクションに困っていると、全力で謝られた。会長、やっぱり可愛い……。 「わたし、会長がどうして社員のみなさんから愛されてるのか分かった気がします。ものすごく素直で可愛らしい人だから、守って差し上げたくなるんでしょうね。桐島主任もそうだったんじゃないですか?」 「……ありがとう。そうね、彼もそうだったのかも。わたしはただ、無我夢中で突っ走ってきただけだったんだけど。そういうところが危なっかしくて、彼もついついわたしを助けたくなったのかな。わたし、彼のことを守ってるつもりでいたけど、ホントはわたしの方が彼に守られてたんだってことに気がついたの」 「お二人、すごくステキな関係ですね。羨ましいです。わたしにはまだ、そういう人がいないので」 「そうなの? でも、あれ? さっきの体の大きな人は? 確か入江さん……だったかな?」 会長が唐突に入江くんの名前を出したので、わたしはドキッとした。 「……会長、ご覧になってたんですか? わたしと入江くんが話してるところ」 「ええ。わたしには、お二人がすごーーくいい感じに見えたんだけどなあ。彼は違うの?」 会長の目にも、わたしと彼の関係はそんなふうに見えているのか
Terakhir Diperbarui : 2025-05-24 Baca selengkapnya