紗月は階段の踊り場に来ると、氷月と二年近く提携しているブランドの社長に電話をかけた。彼女は階段の手すりに背をもたれ、後ろには下へと続く階段が伸びていた。電話がつながると、紗月は笑いながら言った。「笹木社長、うちのアシスタントに電話をくださった件、承知いたしました。お伺いしたいのですが、笹木社長は芦田監督の味方につくおつもりですか?」笹木社長もにこやかに言った。「朝倉社長、我々が提携して二年になりますが、あなた方がどんな問題に直面しても、私は常にあなた方の味方でした。あなた方二人の若い女性が起業するのが容易ではないことは承知しており、私もあなた方を引き立て、より多くの機会を与えたいと思って
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