All Chapters of 気づいたとき、その船はもう遠くに: Chapter 21 - Chapter 24

その後の四年間、時間はあっという間に過ぎた。その間、いろいろなことがあった。奈々は裕蔵と別れてから、生活が一変した。もともと彼女は学費が高い私立大学に通っていたが、裕蔵の支援がなくなり、すぐに退学になった。しかし、裕蔵からお金を失ったことよりももっと恐ろしいのは、顔が壊れてしまったことだった。かつて自信を持っていた顔が今ではもうすっかり失われ、顔を頼りに新しい金持ちを見つけることすらできなくなった。それでも彼女は、地道に苦しい生活を送ることを受け入れられず、そのギャップに耐えきれず、最終的に自殺してしまった。一方、裕蔵は完全に仕事に没頭していた。彼は元々仕事ができ、全力を注いだことで、事業規模がますます大きくなり、上流社会の中で最も注目される独身男性になった。その財力と容姿は、多くの女性たちを引き寄せた。その中には、遥の身替わりになろうとする鈍感な女性もいれば、裕蔵が春妃を好きだと知り、わざわざ春妃に似せようとする女性もいた。どちらにせよ、どの女性も似たような顔立ちをしていて、何人かは生まれつき似ているし、他の女性たちは顔を整え、全て不純な目的で裕蔵に接近していた。しかし、裕蔵はそのどれにも反応しなかった。裕蔵の友人たちはその理由が分からず、ある日酔っ払った時に勇気を出して聞いた。「昔、遥さんが君の愛だと思ってた時は、身替わりを見つけてたけど、今度は七海が離れたから身替わりを探さないのか？七海に知られるのが怖いのか？」裕蔵は黙ったまま答えなかった。彼は決して春妃が知ることを恐れていたわけではなく、ただ本当に探したくなかったのだ。そしてこの瞬間、裕蔵はやっと気づいた。実は彼が以前、遥に対して感じていた「愛」は本当の愛ではなかったのだ。彼が感じていたのは、ただ自分を助けようとした彼女に対する罪悪感で、それを埋めるために何度も他の女の子を探していたに過ぎなかった。でも、春妃に対しては本当に心が動いたのだ。だからこそ、どんなに他の女性が春妃に似ていても、彼女ではないと分かっていて、身替わりにはなり得ないことを理解していた。こうして裕蔵はこの四年間、ずっと独身のままでいた。そして四年後、新しいオリンピックシーズンが始まった。この四年間で、裕蔵は水泳に関連する産業に大きな投資をし、水

実は、その授賞の権利は裕蔵が自らの資金で作り出したものだ。この数年、彼は多くの水泳競技大会を支援してきた。そして今回は、もし春妃が優勝したら、自分がプレゼンターを務めたいと自ら申し出た。裕蔵は春妃を四年間待ち続けていた。この再会を、最も素晴らしい方法で迎えたかったのだ。裕蔵は金メダルを手にして春妃の前に立つと、静かな声で言った。「春妃、おめでとう」四年ぶりの再会だった。裕蔵はその間、何度も競技場で春妃を見かけた。しかし、こうして顔と合わせるのは四年ぶりで、目の前の彼女はまるで別人のように見えた。春妃は小さい頃から水泳をしていて、肩が少し広めだが、五年の休養を経て裕蔵と出会った時には、それほど目立たなくなっていた。裕蔵はふと、付き合い始めた頃のことを思い出した。あの時、春妃の肩を気にしていた自分がいた。あの頃、彼は春妃をただの遥の身替わりだと思っていて、彼女には水泳を控えさせ、筋肉を落とさせて、もっと遥に似せようとしていた。春妃もその頃、言われた通りにしていた。しかし今、彼女は完全にアスリートとして復帰しており、その体は見違えるほど力強くなっていた。それに加えて、彼女の明るく、自由な笑顔が、裕蔵には少しも馴染みがなかった。春妃は裕蔵が一瞬驚いたのを見た後、すぐに冷静さを取り戻した。何も言わず、ただしっかりとメダルを受け取り、嬉しそうに表彰台で歓声を浴びていた。授賞式が終わり、春妃は控え室へと向かう。すると、そこには裕蔵が待っていた。裕蔵は静かな声で言った。「春妃、久しぶり」春妃は淡々と微笑みながら答えた。「会ったばかりだよね？」「そうだね。でも、俺が言いたかったのは……」裕蔵は言葉を詰まらせ、いつもならすぐに出てくる言葉が、どうしても出てこなかった。結局、静かな声で言った。「ごめん」その謝罪は、実に四年も遅れていた。しかし、春妃は淡々とした表情で言った。「謝ることなんてない。もう過ぎたことだから」「でも、謝らなきゃ……」裕蔵は熱い気持ちで言葉を続けた。「あの時、君にしたこと、本当に許されないことだった。あの時は……」「もういい」裕蔵の言葉は途中で遮られた。春妃は冷静に彼を見つめ、こう言った。「だから、謝らなくていい。も