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Lahat ng Kabanata ng 現実恋愛 図書館: Kabanata 1 - Kabanata 2

2 Kabanata

憧れの人はもういない

 憧れている女性がいた。 必死に頑張って、就職氷河期と呼ばれている中、自分が入りたい会社へとどうにか滑り込み入社できた。 俺は現在24歳会社員。花形と言われる営業職どころか、日陰の庶務管理課という部署で毎日雑務に追われる生活をしている。名前はあまり会社の人にも覚えられてはいないけど、三門徹《みかどとおる》という立派なものを持っている。 とはいえ、生まれた家は立派な家柄とかじゃなくて、平凡なサラリーマン両親の元に生まれただけの、本当にどこにでもいる一般人。――こんな会社に入れただけでも、満足しなくちゃいけないんだけどね……。 などと考えてはいるモノの、仕事の方が順調かと問われると、全然ダメ……とは言わないまでも其れなりにはこなせていると思う。 そういうのも、この会社に入って既に2年が経過しようとしているのだけど、一向にやる気が上がらない。 その原因になっているモノは分かっているんだけど、既に自分では対処のしようがないのだ。「徹君聞いてる?」「は、はい!! すみません!!」「まったく!! 昔からそうだったけど、もう2年目なんだからしっかりしなきゃダメよ?」「……本当にすみません……」 我が課の中に入って来て、色々な事を頼んできていた1歳年上の先輩、下条楓《しもじょうかえで》さん。  スーツを着ているからというのもあるけど、体のメリハリがよく分かる上に、少し茶色がかった腰まで伸びた長い髪。小顔と言えるほど小さな顔に整ったパーツを備えている。もちろん会社の男性陣も彼女の事をみんなが狙っている。所謂会社のマドンナ的存在。それが彼女。容姿だけでは無くて仕事の能力も高いと来ている。所属している開発部の中では次期エースとしてその名が上がるほど、会社の中では有名な人なのだ。「ちょっと!! 徹君さっき言ったのにまだやってないの!?」こげ茶色の混じった大きな瞳を俺に向けながら、驚きの声を出す下条さん。「す、すみません!!」「まったくもう……あなたは変わって無いわね。高校の時から……」 そんな事を言いながら大きなため息をついて、くすくすと笑いだした。 俺と下条さんは同じ高校の先輩後輩。なので知っている仲ではあるのだけど、それだけの関係ともいえる。――俺には憧れの先輩で有る事は変わらないけどな。 下条先輩との出会いは俺が高校へ入ってすぐの事。
last updateHuling Na-update : 2025-05-12
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さくらかほる風のいたずらが僕達の出会いを生んだ

 春風に舞う薄桃色の波の中で、静かに佇む君がいた。 近年には無く少し厳しめの冬が過ぎ、もうすぐ春の到来を告げる風がまだまだ体に震えを与える頃、僕は新しい生活に疲れいつも独りきりだった。 ようやく決まった就職先。苦労して大学に進学して、苦労して就職活動を終え、今度は就職先で新しい環境になれるまで時間がかかった。勿論周りは知らない人だらけ。慣れ親しんだ場所から引っ越し、これから先の事なんて考える余裕もなく、『慣れろ』という一言を言われただけで過ごす毎日。自分の中を通り過ぎていくそんな空っぽな日々に疲れていた。 社会人として一年が過ぎ、ようやく自分の後輩が入ってくるという時になって、ようやくこのままでいいのかな? なんて考え始めた俺。 篠宮竜太《しのみやりゅうた》23歳。何も予定の無い休日に公園で独りベンチに座り、体にまとわりついて離れない風に少しだけ身震いする。――もうすぐ春が来るのか……。 ここ最近でようやくできた少しの余裕。その為に感じる事の出来なかった季節の移り変わり。いつの間にか通り過ぎていく暑さも寒さも、本当に何も感じる事無くただただ『生きていた』だけに過ぎないと気付いた。 ひゅ~―― という冷たさの乗った風がまた拭き始めたとき。「きゃっ!!」  俺の近くにあった、もう一つのベンチの側から声が上がる。 その拍子に自然とその方向へと視線を向けると、自分と同じ歳くらいの女性が長いスカートに手を当てて風で捲れるのを防いでいた。  その風によって流れて揺れる長い黒髪。さらさらとした中でもきらりと輝いて見えた。「もう!!」 そう言いながら過ぎて行ったいたずらな風に文句を言いつつ、着ているモノを直す女性。「「あ!!」」 視線を上げた女性と、その様子を見ていた俺の視線が合わさる。瞬間に「まずい!!」と思いサッと視線を逸らす俺。 一瞬しか見えなかったけど、女性は小さな卵型の顔に色白な肌で、赤い眼鏡をかけていた。女性は大きな咳払い一つして、そのま
last updateHuling Na-update : 2025-05-13
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