「――と、いうわけで、今日からこのヨームというモノを使っていきます。何か聞きたいことはありますか?」 僕が心配していた通り、中庭へと集まってもらった人達の中には、こそこそと何か話をする人もいたけれど、父さんの一喝によってそんな声も静かになった。 僕が話を始める前には、アルスター家当主としてガルバン様も、僕の考えたものを採用すると宣言してくれた。 僕が何も説明する前にガルバン様が言ってくれた事で、僕を支持すると言ってくれたのも同じ事。だからアルスター家の方からは何も声が上がらない。 「ちょっといいでしょうか?」「はいどうぞ」 スッと手を上げたのはアイザック家のメイド長コルマ。 「それはどのような効果が有るのでしょうか?」「それは――」「それは私が説明しよう」 僕がコルマの質問に答えようとしたら、ガルバン様が僕を手で制しながら、コルマへ答えた。 「実の所、このヨームは今日から始めたから直ぐに結果がわかるというモノではない。しかも使っている人と使っていない人でその差は出にくい。何故なら使わない人達にはその考えすらないのだから。しかしこれから先はこのヨームを使う事で必ず便利だと思う時が来る。必ずだ。それはわたしが保障しよう。そうでなければアルスター家も同じ日にヨームの使用を開始するとは言わない」「……分かりました。私達もしっかりとヨームに関しては理解したいと思います」「よろしく頼む。そしてもっと大事な事が有る」「それは?」 コルマだけではなく、その場にいる皆がガルバン様の言葉を待っている。 「これを考えたのがここにいるロイドだという事だ!!」 ガルバン様の言った事でその場が少しだけざわついた。&nbs
Last Updated : 2025-07-03 Read more