グループチャットには誰ひとりも返事をしなかった。清吉はしばらく待っても誰からも返信が来ないため、通信が不安定なのかと思い、もう一度メッセージを送った。【青葉を見かけた人、いない?】すると今度はようやく一人が二文字だけ返してきた。【ない】彼が招集したのは、皆、彼と付き合いの深い令嬢や御曹司ばかりだった。彼らにとって青葉は、ただの「東原家の若様に尽くす取り巻き」でしかなかった。清吉が彼女を大切にしていた頃は、清吉の顔を立てて誰も表立って彼女を馬鹿にしたりはしなかった。だが真琴が戻ってきた。清吉は青葉の目の前で真琴と親しげに行動を共にし、彼女のことで青葉を何度も激しく怒鳴りつけた。友人たちから見れば、青葉のような追いすがる女が捨てられるのは時間の問題だった。仮に結婚していれば、離婚となれば会社の利害が絡んで多少は面倒だったかもしれない。だが、ただの婚約だ。清吉がやめると言えばそれで済む。青葉の母は顔以外に何の取り柄もない女で、自分の娘のことなどとうに見限っていた。青葉が東原家と縁を切った今、彼女には何の後ろ盾もない。東原家が婚約を破棄したところで、彼女には拒否する権利すらなかった。東原友子の誕生日会で婚約が解消されて以降、青葉は完全に「ただの労働者」になった。彼らのような上流階級とは、もはや住む世界が違った。誰も彼女を笑わないだけ、まだ品がある方だった。連絡を取り合うはずもない。清吉はネットが切れていないことを確認すると、沈黙している全員に次々と音声通話をかけ始めた。電話に出た者は皆、彼の言動に首を傾げた。「俺が青葉を知ってるのはお前が紹介したからだぞ。友だち追加もしてないし、居場所なんて知るわけない」「いつもメイドみたいにお前に付き従ってた女だろ?お前が知らないのに、俺が知ってるわけないじゃん」中にははっきりこう言う者もいた。「東原さん、あんたあの子と婚約解消したんだろ?だったら今さら何で探すんだよ?」清吉は、その一連の反応から微かな違和感を感じ取った。だが、今の彼はそんなことに構っていられなかった。とにかく、青葉と繋がっていそうな人間すべてを洗い出し、連絡先がある者には彼女に連絡するよう無理に頼み込んだ。電話をかけさせ、メッセージを送らせた。その結果
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