『心配しないで』というメッセージをアメリアの作ったカードで作り、自分の部屋のベッドの上にメッセージを残して消えたカレブ。 13歳とはいえ意味のある言葉も話せない小さな体の子だ。 アメリアは初めて味わう無力感と絶望に襲われていた。「ルーベン、カレブはいつからいなかったのでしょうか?」 アメリアは昨晩は舞踏会から帰って来るなり部屋に篭ってしまいカレブと会えていない。 その時には家を出ていたとなると、彼が失踪してからかなり時間が経過している。「アメリア、今、カレブを捜索しているから心配しないで良い。そのような顔をしなくてくれ」 ルーベンはアメリアを慰めるように頬に触れてきた。 彼女はそっと目を閉じ、どうしてカレブがいなくなったかに思いを巡らす。 退行して筋力も衰えているはずだから、遠くまではいけないはずだ。 それでも馬が一頭いなくなっていた。 カレブの体の大きさで乗れる馬ではない。 誘拐されたのかもしれないし、賢い子だから協力者を使って家を出たのかもしれない。 いずれにしても、アメリアは彼の為に何もできない自分を見限られたような気持ちに陥っていた。「私、カレブを探して来ます!」 寝巻きのまま外に飛び出そうとするアメリアをルーベンが後ろから強く抱きしめて制する。「今、第一騎士団が全力でカレブのことは探してる。だから、大丈夫だ」「何が大丈夫なのですか? 誘拐されて今もどこかで泣いているのかもしれないのですよ。発見が遅くなったら、こ、殺されてしまうかも⋯⋯」 アメリアは様々な可能性を考え、涙が溢れ始める。 カードでのメッセージなど誰でも作れる。 もしかしたら、家出かもしれない。グレース夫人が自分の退行に耐えられなくなったようにカレブも耐えられなくなりどこかで命を絶っている可能性もある。「うぅ⋯⋯」「アメリア、少しは俺を信用してくれ。必ず、カレブは見つけ出すから」 ルーベンの言葉にアメリアは自分を納得させるように頷いた。彼女自信、自分の無力さを理解していた。
Last Updated : 2025-06-18 Read more