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12 Chapters

第11話

「なぜ私はまだあなたのことを愛していると思うの?」「根拠は一体どこにあるの?」私が近づくたびに、彼は後ずさりして、ソファにぶつかった瞬間、力なくし座り込んだ。彼は私の確固とした姿を見るのは久しぶりだった。あの夜以来初めてだ。ふと、彼は私を面接した日のことを思い出した。「加藤陽菜さん、あなたの履歴はとても優秀とは言えません。しかも業界での経験もありません」「当社を希望する理由は何ですか?」「どうして私たちはあなたを採用するのですか?」私は答えた。「私には学ぶ意欲と忍耐力があります。挑戦も困難も恐れません」「一度の機会を頂ければ、必ずや驚かせてみせます」七年後、私は本当に彼を驚かせた。かつて自信に満ちた少女は七年の風雨を超え、再び彼のまえに立っていた。しかも、昔よりもっと粘り強くなった。だが、女の子は彼を離れた。彼女の抵抗の姿はまるで太陽のように、彼を刺さった。言葉を失った男を見つめながら、私の心の奥にふと浮かんだのは、軽蔑と皮肉の感情だった。軽蔑したいのは蒼、皮肉なのは自分のことだ。こんな男の創り出した悪夢に、七年も溺れていたなんて。七年、この七年間は人生全てをかけたような、十分に長い旅だった。このまま台無しにしたのだ。呆然としたところ、蒼が突然口を開けた。「じゃ、息子は?」「何?」私は突然理解できなかった。蒼は顔をあげた、赤くなった目と歪んだ表情を見て、彼はもう正気を失ったことがはっきり分かった。「俺と離婚するなら、親権だけは渡さないぞ」「そして二度とお前に合わせない。その覚悟はもうできたか?」「あんた」私は彼を睨みつけた。今の彼はまるで地獄からの鬼のように見える。蒼は少し笑った、まるで私の弱点を見つけたように。「戻ってくれれば、今後は君たちのことを大切にするよ。また幸せな家庭を作ろうよ」「陽菜、俺たちの息子に母親を失わせたくないだろ」彼は私を誇らしげにみている。今度は私が動揺した。その時、二階から子供の声がふっと耳に入っていた。「それは不可能だ」息子が二階から駆け下りてきて、かすれた声で言った。「僕の親はママだけ、あんたは僕のパパじゃない」「こんな父親、いらない」彼は指で蒼を指して、蒼と似通った顔には
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第12話

その代わりに、蒼はすぐ笑い出した。急いで私を抱きしめた。嬉しい涙を流しながら言った。「陽菜、俺は絶対君たちを幸せにする」私は歯を食いしばって必死に我慢していた。不本意のまま彼に抱かれていた。蒼、よく覚えてくれ。今回のことをここまで発展させるのはお前だ。だから、これから何があっても私に文句を言うなよ。帰国後、蒼は確かに別人のように変わった。雲との関係を断ち切っただけでなく、いつもの冷たい態度を一変し、私たち親子に対して、やけに優しくなった。ほぼすべての要求に満足してくれる。しかし、私も息子も彼のことを一切気にせず、まるで昔の彼のように。帰国の飛行機で、息子は泣き崩れそうになった。特に搭乗の時、この子は蒼の手を噛みつき、私を放させようとした。それを見て、私はとっても苦しかった。しかし息子に説明する機会がなかった。帰国後ようやく機会があって、息子に「ママに少し時間をくれないか、今回こそ必ず決着をつける」と言った。蒼は私の計画を気づかず、私の弱点を握っていると思っていた。故に、彼は昔より傲慢になった。加えて、前の離婚事件は確かに彼にとって衝撃だったので、仕事上には色んな便利をもらった。昔の役職を復帰して、私は仕事ともに、会社の取引先情報を集めていた。そして、雲を監視するために、高額の報酬を払い、探偵を雇った。彼女は蒼を諦めるはずがない。案の定、彼女は半月もしないうちに、すぐに動き出した。彼女は蒼を恨めることができないから、すべての悪意を私に向けた。私たち母子さえ消えれば、自分が取って代われると彼女はそう信じていた。彼女は人を雇って人為的に事故を作ろうとしていることを知った瞬間、私はつい時が来たと感じた。まず、私は車のメンテナンスが必要という理由で蒼に私の車を使わせた。そして「残業」を理由にして、息子を迎えに行ってくれるよう頼んだ。実際私はあらかじめ息子を休ませて、絵画教室に行かせていた。午後四時、事故の報告書が来た。学校からの帰り道でほかの車と衝突。生死不明。病院から連絡を受け、私は引き出しから離婚協議書を取り出して、笑った。元々はその十億円で済むつもりだった。残念ながら、あなたは欲張りすぎたから。医師の診断によるよ、蒼の両足に障害が残り、障害者となっ
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