その日の朝、私はいつもより少し早く学校に着いた。昨夜遅くまでショウとメッセージのやり取りをしていたせいで寝不足だったけれど、心は軽やかだった。 今度の日曜日に、初めて彼と電話で話すことになっている。あと四日。考えただけで胸がドキドキした。 教室に入ると、まだ人はまばらだった。私は自分の席に座り、そっとスマホを取り出した。『おはよう、NORI。今日も頑張って』 いつものショウからの朝のメッセージ。この言葉に励まされる。「おはよう。電話の件、今からもう楽しみ」 送信ボタンを押した瞬間、教室のドアが開いた。彩音が友だちと一緒に入ってくる。「あ、神林さんおはよう」 彩音は私に気づくと、にこやかに手を振った。私は慌ててスマホをしまい、挨拶を返した。「おはようございます」「今日も早いのね」 彩音は私の近くまで来た。「神林さんって、ホントに真面目だなあ」 そのとき、私のスマホが振動した。ショウからの返信だろう。反射的に手が伸びそうになったが、彩音の視線を感じて止めた。「なにか連絡?」 彩音が小首を傾げた。「いえ、なんでもないです」「そう?」 彩音は少し意味深に微笑んだ。「最近、前よりよくスマホ見てるものね。私のことなんて気にしないで、見ればいいのに」 その言葉に、私の背筋がぞくりとした。やっぱり彩音は私を観察しているのだろうか。だとしたら、どうして私を? 一限目の国語の時間、私はいつものように真面目に授業を受けていた。でも、ポケットの中のスマホが気になって仕方がない。ショウからの返信が来ているはずだった。さっきは彩音がいて、確認できないままになっている。 先生が教科書を音読させている間、私はそっとスマホを机の下に取り出した。画面を見ると、予想通りショウからのメッセージが届いていた。『僕も楽しみ。君の声、どんな声なんだろう』 思わず頬が緩んでしまう。彼も私と同じように、電話を楽しみにしてくれている
Terakhir Diperbarui : 2025-07-20 Baca selengkapnya