慎也が今回帰国していたのは、ちょうど一週間。そして四日目の夜、オークションを主催したあの佐原という男が、突如として通報された。未成年の少女を唆し、撮影させた証拠が大量に発覚したという。あの夜のうちに警察に連行され、取り調べを受けた。おそらく――もう二度と外の空気を吸うことはないだろう。禁固室から出てきた慎也の姿を見て、付き添いの秘書は思わず目を背けた。傷ついた腕は見るに堪えないほどだった。「慎也先生……調べがつきました。あの佐原さんを通報した方は、やはり将玄さんでした。病院へお連れしましょうか?」慎也の身体はふらついていた。だが、虫に食われたような激しい痛みと痒みを、必死にこらえていた。「いい。代わりに、最短の便でイタリア行きのチケットを取ってくれ」衰弱しきった体とは裏腹に、その目には確かな意志が宿っていた。「それから……ついでに、イバラの枝と、手作業用のサンドペーパーも用意してくれ」それから二日後。咲良は野良猫にケーキを分けようと家を出たほんの数分で、その姿を見つけてしまった。あの、見るも無惨な姿の男を。わずか一週間で、慎也はまるで別人のように痩せ細っていた。スーツのズボンは風に吹かれてぶかぶかで、まくった袖から覗く皮膚は赤く腫れ、見るも痛ましかった。その傷を、咲良はよく知っている。禁固室に棲む虫に喰われた跡だった。「……咲良。あの写真、持って帰ってきたぞ」慎也はおずおずと、牛革の封筒を差し出した。咲良は黙ってそれを受け取る。彼は、ふうっと息を吐いたあと、さらにもうひとつ差し出した。――血に染まったイバラの数珠。「家の禁固室に三日間、籠ってた。咲良、俺、あの痛みを知らないなんて言えない。今はもう……わかってる」彼の目は、今にも涙で滲みそうだった。「このイバラの数珠……悪かった、君に受け取ってほしい」咲良は冷たく一瞥し、拒むように首を振った。「いらないわ。この写真は、あなたが私に返すべきものだから、受け取る。でもそのブレスレットは……一日でも身につけたら、一日中悪夢にうなされそうだわ」慎也はそれを聞いて、手にしていたブレスレットをそのまま近くのゴミ箱に放り投げた。「じゃあ今は?……今の君の心に、まだ引っかかってるものがあるなら、言ってほしい。俺はなんだってするから」咲良が背を向けようとした瞬間、
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