「申し訳ありませんが、神崎お嬢様。招待状のご提示がない方は入場できません」黒ずくめの警備員が冷たい表情で私を阻んだ。ここは、私の両親が持てる人脈と資金を使って篠宮景悠(しのみや けいゆう)のために開いた新製品発表会なのに、主催者側の娘である私は招待すらされていなかった。しかし、私の胸には喜びがこみ上げていた。なぜならついさっき、私は生まれ変わったばかりだから。ちょうどこの新製品発表会の日に戻ってきたのだ。地位も資産も、我が神崎家は篠宮家よりはるかに上。彼の心にあるのが、ただ一人の九条心桜(くじょう こころ)だとわかっていても、景悠をひたすら愛していた。彼の両親もそれを望んでいた。心桜が海外に行ったとたん、景悠と結婚するように急かした。だが、景悠は私に笑顔を見せたことがない。その警備員もそれを承知で、むしろ嘲るような笑みを浮かべていた。「神崎お嬢様、こんなところでご無理になさらなくても……」招待状を持った人々が、華やかに着飾って会場へとに入っていく。私に気づくと、うつむき、小声で囁き合った。前世でもこのように門前払いを受けた。オートクチュールのドレスを着て、寒風の中で震えながら、冷たい視線と嘲笑いにさらされ続けた。やがて倒れて病院に運ばれ、そこで妊娠が発覚した。景悠は、その場で顔を曇らせた。だが篠宮夫人は歓喜し、直ちに一か月後に結婚式を挙げると発表した。まさか結婚式当日、心桜が帰ってくるとは思わなかった。私と景悠の結婚を目にした彼女は、涙を浮かべて屋上から飛び降りた。それでも景悠は、何事もなかったかのように式を続けた。結婚後、子供も生まれ、三人はきっと幸せに暮せていくと、そう信じていた。だが結婚記念日当日、彼は私と子供をバンジージャンプに誘った。私も疑いもせず、胸を躍らせた。だが飛び降りる直前、彼は背後でロープを断ち切った。薄れゆく意識の中で、彼の瞳には憎悪の炎が燃えていた。「お前が子供で俺を縛りつけなければ、心桜は死ななかった!俺の子を産むなんて、身の程わきまえろ!お前たちを見るだけで吐き気がする!地獄で心桜に詫びろ!」そのとき初めて知った。これまでの幸せはすべて偽りで、彼はずっと心桜の死を、私と子供のせいにしていたのだと。私が死んだあとも、彼
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