見たくもない景色に包まれながら 過去へと飛び込んだ そこにいたのは 僕の心を引き裂いていく零の姿 あの時の笑顔のままで 僕を迎え入れていく 十一話 不透明 あの頃の僕は表面的にしか物事を見る事しか出来なかった。少しの異変が当たり前の日常を壊していくなんて想像もしなかった。 いつものメンバーで笑いながら、帰り道を楽しんでいる。1日にあった事や、少しの事件、刺激がない中でも言葉を操る事で、刺激へと作り替えていく。 そうするとつまらない日常も、色を持ち、輝く日々へとなる。 僕達五人は幼稚園からの付き合いだ。泣き虫だった僕らは、些細な事で感情的になったりもした。あの頃は、自分をコントロールする術を知らない。 そんな僕達も、もう少しで高校生になる。 きっと同じ高校を選ぶ事になるんだと思い込んでいた。過去の繋がりに固執していたから余計だろう。 皆が皆、違う方向を見ているだなんて、考える事も出来ないでいた。 「俺達、いつまでこうやって遊べるんだろうな」 「大人になっても変わらないだろーな」 「言えてる」 一樹、結城、和正、零、そして僕。 対等な関係だったはずなのに、現在では全てが壊れた跡。あの頃の自分達の思いは、願いは叶うことはないのかもしれない。 「なぁ、ヒズミ。ちょい相談したい事あるんだけど、今日ウチ来れるか?」 「いいよ」 「サンキュー」 一樹はそう言うと満足そうに笑う。僕達の様子を他の三人は外側から見ている。いつもなら会話に入るはずなのに、今日に限っては踏み込んでこない。 この瞬間が、全ての崩壊の始まりだったのかもしれないーー 五人の視線は僕には届かない。全ては幻想が見せている映像の一つにしか過ぎないからだ。この瞬間を再び直視する事になるなんて……。 「この時の君達は友人だった。そう信じていたんだよね」 彼女は遠くを見つめるように、言葉を投げ掛けていく。現実を切り裂くように、全ての過去をリセットしようとしていた。 「過去は変えられない、人はそう言うけど違うんだよ」 漆黒の髪を靡かせながら、この時代の空気を全身で感じようとする少女は、まるで生きているような素振りをしてくる。 彼女がどんな存在で、何をしようとしているのかを見る事は難しい。 僕には彼女の心を見
Terakhir Diperbarui : 2025-08-28 Baca selengkapnya