蒼司が眉をひそめた。「どうして楽しくないんだ?」「わ、私……」真理が口を開きかけたところで、若葉が割って入った。「私と弟は甘いものをあまり食べちゃいけないのに、無理やり食べさせようとしたの。それに、まだお腹が空いてたのに『もう帰ろう』って言ったの。家政婦さんが『まだお腹が空いています』って言ってくれたのに、どうせ死ぬほどじゃないって感じで……」子どもが大人の口調を真似るのは、ある意味本能みたいなものだ。少なくとも若葉は、嘘をついて真理を貶めるわけではなく、自分の感じたことを正直に伝えていた。真理の顔から血の気が引いた。「蒼司、誤解しないで。私はふたりがお腹を壊すのを心配しただけよ。甘
Read more