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第十話 天流会 (座学編)

 |道玄天尊《ダオシュエンてんずん》は、高級な絹の|裳《も》を引き摺って登壇する。「皆、無事に到着したようだね。疲れてはいないかい? 私は皆の顔が見れないけれど、皆の内丹の気を頼りに見ているよ。私はここの長を勤めている|道玄《ダオシュエン》だ。本日よりふた月ほど、皆の成長を見させてもらうね。まずは皆、自己紹介をしてくれるかな?」  |裳《も》と同じような滑らかな声に、柔和温順な雰囲気が重なると、赤ん坊を見ているかのように癒される。 包帯に巻かれた少し窪みのある目の枠から、慈悲深く憐憫のような眼差しを感じるのは何故だろう。 |墨余穏《モーユーウェン》は、しばらく|道玄天尊《ダオシュエンてんずん》の不思議な力に見惚れてしまい、他の修士たちの自己紹介は耳に入ってこなかった。 自分の番が回ってきていることにも気づかず、そのまま道玄天尊を眺めていると、隣にいた|張秋《ジャンチウ》に肩を突かれた。「|墨逸《モーイー》、ねぇ、|墨逸《モーイー》。君の番だよ。自己紹介」 |墨余穏《モーユーウェン》はハッと我に返り、机にあった筆を床に落とすほどの慌てぶりで、自己紹介を始めた。 |墨余穏《モーユーウェン》の自己紹介が終わり、残り三人の自己紹介が終わると、さっそく座学で使用する分厚い道教経典と天台山の符門善書が配られた。 話しを聞いていると、どうやらこの経典に付随する符道の座学をこのひと月で、残りのひと月は道術、内丹の強化、実践という流れになるらしい。 それにしても、この経典の分厚さ……。 親指の半分ぐらいはあるぞ……。 |墨余穏《モーユーウェン》はパラパラと紙を捲りながら目を細める。「さて、皆の前に揃ったかな? ここには特殊な能力を持つ修士たちが軒並み揃っているからね、さっそく鍛錬の一環として、このひと月でこの符門善書を全て暗記してもらおうと思う。七日過ぎるたびに採点も行うからね。皆の力を信じているよ」 (げっ……、採点?) |墨余穏《モーユーウェン》は目を更に細め、大きく息を吐く。 本殿が溜め息に包まれる中、陽だまりの中で咲く花のように|道玄天尊《ダオシュエンてんずん》は温かな笑みを湛えながら、上座の席へ腰を下ろした。  しばらくすると、背後にある出入り口の扉が音を立てて開いた。二人目の講師の登場だ。 一斉に向けられたその視線の先には、眩いほ
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第十一話 天流会 (実践編)

翌日の追試は、|師玉寧《シーギョクニン》から受けた手解きも相まって、|墨余穏《モーユーウェン》は無事満点で合格した。 合格者はすぐに符門善書を元に、実際の呪符を使った実践項目へと進む。 呪符の扱いに関して、|墨余穏《モーユーウェン》は自信があった。幼い頃からおもちゃのように扱い、|豪剛《ハオガン》の知識を全て受け継いでいるからだ。 しかし、皆の鑑である|師玉寧《シーギョクニン》と道術を競う項目では、どれだけ強力な呪符を書いても、どれだけ武術を駆使したとしても、|師玉寧《シーギョクニン》の驚異的な能力には敵わなかった。 ある日|墨余穏《モーユーウェン》は、どうしたら|師玉寧《シーギョクニン》のように強くなれるか、本人にそれとなく聞いてみた。 すると|師玉寧《シーギョクニン》は相変わらずの仏頂面でこう答えたのだ。 「己の弱さを認めれば強くなれる。誰かを真似た強さは偽りだ」と。 |墨余穏《モーユーウェン》はずっと、誰よりも強いと思っていた。 弱さを認めるなど、師範への冒涜に過ぎない。 |豪剛《ハオガン》のような強い者に倣えば、自分もそうなれると信じ、勝手に思い込んでいたのだ。しかし、誰かのようになりたいという、際限のないその貪欲こそが弱さを生む。 |師玉寧《シーギョクニン》はもう一つ大切なことを言っていた。 「強さを量る基準は悪をどれだけ倒せたかではない。守りたいものをどれだけ守れたかだ」とも。 |墨余穏《モーユーウェン》は、|師玉寧《シーギョクニン》の言葉を聞いてしばらく人と距離を置き、自分を見つめ直す時間を作った。 残り半月になったある日、最終項目である水中呪符を用いた実践を行う為、一同は天台山から少し離れた清流湖へ向かっていた。 しばらく歩くと、青く澄んだ真っさらな湖面が見え始める。 |墨余穏《モーユーウェン》は、世の中にはこんな綺麗な湖が存在するのか! と、己の見識の狭さと感動を同時に体感した。 隣にいた|張秋《ジャンチウ》と少しばかり話していると、|道玄天尊《ドウゲンてんずん》の側近であるという|深月師尊《シェンユエしずん》がやってきた。 物凄い長身であると噂では聞いてはいたが、|師玉寧《シーギョクニン》よりも精悍な男で、まるで壁が立っているかのような存在感を醸し出している。 「さぁ、今日は
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第十二話 壁符

|墨余穏《モーユーウェン》は静かに目を開ける。 またよく眠っていたようだ。 すっかり熱は引いたようだが、汗ばんで衣全体が濡れている。 日はすっかり沈み、玉庵では何本もある蝋燭の光が揺れていた。 (天流会かぁ。懐かしい夢だったな……) |墨余穏《モーユーウェン》は手で首元を拭いていると、そこに蝋燭を持った|師玉寧《シーギョクニン》が現れる。 「起きたか?」 「お! |賢寧《シェンニン》兄、帰ってきてたんだね。久しぶりに懐かしい夢を見たよ。天流会で|賢寧《シェンニン》兄に出会ったこととかさ、俺を湖から救ってくれたこととか。覚えてる?」 「そんな昔の話は忘れた」 「はぁ〜? 忘れちまったのかよ。じゃ、俺が何かしたことも忘れちまったのか? あぁ〜、いい夢だったのに残念だなぁ〜。あ、そういえばあの黒い鴉、天流会に居なかったけど結局どうなったの?」 「確か、出禁になった」 |青鳴天《チンミンティェン》のいる鳥鴉盟は、今も変わらず天台山の管轄から外されているらしい。それを憎んでいるのか、今も他門派への嫌がらせを続けており、今や|突厥《とっけつ》と手を組み出して天台山の守護神を壊す始末だ。 「じゃ、早いとこ|青鳴天《チンミンティェン》を殺さないと」 「お前は大人しくしていろ」 |師玉寧《シーギョクニン》は椅子に座り、料理の入った箱を卓へ置きながら続ける。 「|墨逸《モーイー》、今は本当に何もするな。少し奴らの動向を探りたい」 「分かった、分かった。俺は何もしない。んで、これは今日の夕餉?」 「そうだ」と言いながら、|師玉寧《シーギョクニン》は根菜と肉の汁物と葉野菜を蒸したものを箱から取り出した。 明らかに色合いと匂いからして、師玉寧が作ったものではなさそうだ。 |墨余穏《モーユーウェン》は思わず顔が綻ぶ。 その表情を見た|師玉寧《シーギョクニン》は頬杖をつきながら「さっきより嬉しそうだな」と嫌味ったらしく言う。 「え〜っ? さっきとどこが違うっていうのさ〜。さぁさぁ、|賢寧《シェンニン》兄も食べよう。ほら、蓮根も入ってる!」 |墨余穏《モーユーウェン》は|師玉寧《シーギョクニン》の気分を害さないよう、全力で言ってのけた。 その日の晩は、月が綺麗だった。 |墨余穏《モーユーウェン》は冗談で
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第十三話 冠履倒易

 |乗蹻術《じゃきょうじゅつ》を使って、|墨余穏《モーユーウェン》と|師玉寧《シーギョクニン》は、山雲のかかる険しい華陰山へ到着した。 今日は日が所々に当たり、気温はそこまで低くはない。 天候が変わらないうちに、墨余穏と師玉寧は|三神寳《さんしんほう》が保管されていた廟へと歩みを進める。 廟の周りの荒れ具合を見る限り、誰も足を踏み入れていないようだ。 静けさ漂う廟の前に到着した二人は顔を見合わせ、その廃墟のような廟の中に足を踏み入れた。 すると入ってすぐ、|墨余穏《モーユーウェン》は|師玉寧《シーギョクニン》の足元に、枯葉のように色褪せた呪符が落ちていることに気づく。 それをさっと拾い、表裏を交互に見遣ると、|墨余穏《モーユーウェン》は思わず眉間を寄せた。「ねぇ|賢寧《シェンニン》兄。これ見て!」 先に歩いていた|師玉寧《シーギョクニン》は足を止めて振り返り、|墨余穏《モーユーウェン》が頭上にかざしたその呪符を流し目で眺めた。「やっぱり俺の呪符だよ。|徐《シュ》殿の家にあったのと同じやつ」「ったく、一体何が起きてんだ〜?」と、独り言を言いながら、墨余穏は何か痕跡がないかその周辺を見渡した。 |師玉寧《シーギョクニン》は壁に触れながら、眉間に皺を寄せる。「お前の呪符を持っている奴が他にもいるということだ」 |墨余穏《モーユーウェン》は床に刻まれた文字を見ながら続ける。「なるほどね。それで、俺の呪符を使ってここを壊したってことか」「恐らくな。だから言っただろう。自分の呪符は必ず回収しろと」 |墨余穏《モーユーウェン》は唇を一文字に引き結び、大きく鼻から息を吐いた。説教じみたことを言われても、意図的に放置した記憶はない。先日の黄山で妖魔を倒した時は、仕方なく置いてきてしまったけれど……。それはそれだ。 死んだ間に盗られたのだろうか?  それとも、死ぬ前にこの目の前の水仙玉君に恋煩いを起こして、好きでもない女と無理矢理寝てやり過ごしたあの時や、酒に酔って『師玉寧』と叫びながら暴れまくったあの時に、紛失してしまったのだろうか。 廟の薄暗い天井を仰ぐように苦い記憶を辿りながら、墨余穏はこの回収できない事実を泣く泣く受け止める。 「そうだよな。だから掟なんだよな。……待てよ。ってことは、そういうことか! 俺の呪符に俺の魂魄を封じ込めた奴
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第十四話 大篆門

 |師玉寧《シーギョクニン》の背中に乗るという夢のような体験は瞬く間に幻と化し、|墨余穏《モーユーウェン》は無事寒仙雪門に辿り着いた。玉庵へ続く石段を二人で登っていると、一人の弟子が扉の前でじっと立っているではないか。墨余穏は目を細めて師玉寧に尋ねる。 「お! あれは|一優《イーユイ》か? それとも|一恩《イーエン》? あ、もう一人いたな? 確か|一明《イーミン》だっけ?」「あれは一優だ。一明は、父上の所へ行ってもらっている」 |師玉寧《シーギョクニン》の下には、見分けのつかない三つ子の弟子がいる。どこで個々を判断しているのか尋ねると、師玉寧は眉の位置と声の違いで判断しているという。|墨余穏《モーユーウェン》はさっぱり分からないといった様子で視線の先にいる一優を見る。 |一優《イーユイ》はこちらに気づくと、やっと帰ってきたと言わんばかりに目を輝かせ、二人の前で拱手する。「|師《シー》門主、|墨逸《モーイー》兄さん、お帰りなさい。至急こちらを門主に渡すようにと言われ、ここで待たせていただいておりました」 |師玉寧《シーギョクニン》は、「分かった」と言って、届いた一通の書簡を|一優《イーユイ》から受け取った。包みを丁寧に開け、中の紙をゆっくりと取り出し、達筆で書かれてあった文字を読む。 すると|師玉寧《シーギョクニン》の表情がたちまち曇り始め、眉間に皺を寄せた。「どうしたの? |賢寧《シェンニン》兄? そんな怖い顔して」 師玉寧は無言で、墨余穏に紙を手渡す。「何? 読んでいいの?」 墨余穏はそう言って、紙を受け取り読み始める。「ん〜っと、どれどれ。師門主殿。甦った|墨余穏《モーユーウェン》がそちらにいると聞いた。至急、墨余穏と話がしたい。三日以内にこちらへ来るよう、本人に伝えてもらえないだろうか。決して悪いことはしない。時間がないのだ。よろしく頼む。|高書翰《ガオシューハン》」 |墨余穏《モーユーウェン》は|師玉寧《シーギョクニン》の顔を見ながら確かめるように「だって」と笑う。 「どうする? 行くのか?」「まぁ、そうだね。ここは|賢寧《シェンニン》兄の顔を立てて、行ってくるよ」「大丈夫なのか? 高門主と仲違いしているのではないのか?」 |師玉寧《シーギョクニン》は眉間に皺を寄せたまま、心配そうに尋ねる。|墨余穏《モーユーウェン》は
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第十五話 天台山

|師玉寧《シーギョクニン》にこっ酷く叱られた後、霊力を封じられた|墨余穏《モーユーウェン》は、魂魄の状態を|道玄天尊《ダォシュエンてんずん》に見てもらう為、|師玉寧《シーギョクニン》と天台山へ向かうことにした。 「ねぇ、|賢寧《シェンニン》兄〜。|道玄天尊《ダオシュエンてんずん》のお力で、どうにかなるかな〜」 「それは分からない。だが、行ってみる価値はある」 これまでも数々の難題を解決してこられた天尊だ。 何か手立てを指し示してくださるかもしれない。 |墨余穏《モーユーウェン》はそんな淡い期待を胸に抱き、|師玉寧《シーギョクニン》と途切れ途切れな会話をしながら、山頂を目指した。 しばらく歩くと、天台山の門へ繋がる分かれ道に差し掛かる。 「お! 懐かしいね〜ここ。覚えてる? この分かれ道で俺ら出会ったんだよ。また石ころ遊びでもする?」 「しない」 |師玉寧《シーギョクニン》は相変わらず不機嫌のようだ。 (そりゃそうだよな。俺と一緒にいるってだけで、こうして毎度、面倒事に巻き込まれる……) |墨余穏《モーユーウェン》は|大篆門《だいていもん》に行ったことを腹の底から後悔した。もしあの時|豪剛《ハオガン》が近くに居たら、絶対に行くなと止められていたはずだ。 |師玉寧《シーギョクニン》を横目で見る。 他にも門主としてやる事があるはずなのに、|墨余穏《モーユーウェン》は申し訳ないという気持ちに駆られ、「ごめん」と謝った。 「別にお前の為に天台山へ行く訳じゃない。別件で用があるからだ」 「用って? |道玄天尊《ダオシュエンてんずん》に?」 「違う。|香翠天尊《シィアンツィてんずん》だ」 「……ふぅ〜ん」 香翠天尊と聞いて「またか……」と胸の内で嘆き、|墨余穏《モーユーウェン》は大人げなく不貞腐れた。 そして、じわじわと目には見えない大きな虚無感が墨余穏を襲い始める。 横にいる|師玉寧《シーギョクニン》を見ていると、自分のことなど何一つ眼中にないのだと分かる。自分が死んだ後も、天流会で出会った知り合いが死んだ程度にしか思っておらず、それ以上はきっと何も思わなかったに違いない。今、横にいるような澄ました顔で「そうか」と受け流し、変わらない日常を送っていたのだろう。 |墨余穏《モーユーウェン》は、更に勝手な妄想をし
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第十六話 金龍台門

(何で先に行っちまったんだろ、|賢寧《シェンニン》兄は……。俺、何かしたのか? ) |墨余穏《モーユーウェン》は段々と親鳥に置いていかれた雛鳥のように寂しさを募らせ、怒りよりも疑問が膨れ上がってきた。|師玉寧《シーギョクニン》の行動が全く理解できず、|墨余穏《モーユーウェン》は自分に何か非があったのか、何か怒らせるようなことをしたのか、考えを巡らせる。 (行きに俺が冷たくあしらったからか? もしかして昨日の夜、飲めなかった一葉茶を庭先にこっそり捨てたのを知っているとか? いや、そんな単純じゃないか。ん〜……、あ、そうか! |香翠天尊《シィアンツイてんずん》が俺に触れたから、それで機嫌が悪くなったのか! うん、それしか考えられない。ったく、図体はデカいくせに、そういうところは小さいんだよなぁ〜) 勝手な理由を見つけると、|墨余穏《モーユーウェン》は妙に自分で納得してしまい、それ以上追求するのをやめた。 |師玉寧《シーギョクニン》のことを考えていたら、あっという間に金龍台門へ繋がる賑やかな下町に到着し、|墨余穏《モーユーウェン》は久しぶりに絢爛華麗な雰囲気を肌で感じた。 金龍台門のお膝元となるこの下町は、昔から商いの町として知られ、出店で賑わっている。華やかさゆえに妓楼も多く存在し、客を捕まえやすいのか、昼夜関係なく酒楼の前で首元をはだけさせた若い女たちが立っている。|墨余穏《モーユーウェン》の目の前にも、待ち構えていたかのように一人の仙姿玉質な妓女がふらふらとやって来た。 「そこのお兄さん、お一人? もし良かったら私と一緒に遊ばない?」 「あははっ、美人さんからのお誘いを断るのは忍びないけどごめん。今から金龍台門へ行かなきゃならないんだ。それに、先に行っちまった美人を今度こそ怒らすとまずいから、もう行かないと」 「そっかぁ〜、お兄さん彼女いるんだぁ〜、残念! でも、ちょっとだけ。だめ?」 妓女は墨余穏の腕を掴み、大きな果実のような胸を擦り付けながら、上目遣いで引き止める。 「ごめんよ、お姉さん。他を当たってくれないか」 |墨余穏《モーユーウェン》は苦笑いをしながらそっと腕を引き抜き、駆け足でその場を後にした。 (危ない危ない。こんな所で道草食ってる場合じゃないんだ。早く|金冠明《ジングァンミン》のところへ行かないと、待た
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第十七話 金華の猫

 |黄林《フゥァンリン》の後についていくと、|金龍台門《きんりゅうだいもん》の正門付近で、松明を持った人集りが見えてきた。 「何が起きたんだ?!」  眉間に皺を寄せながら|墨余穏《モーユーウェン》が黄林に尋ねると、黄林が口を開く前に|金冠明《ジングァンミン》が先に口火を切った。 「ここ最近、|金華《きんか》の猫という人間に化けた妖獣がこの周辺に出没し始め、男なら男根と金品を奪い、女なら下腹部の人肉……特に子を孕んでいる女子は母胎ごと取られるという悲惨な事件が頻発している」 「はぁ……」  |墨余穏《モーユーウェン》は顔半分を歪ませながら、その悲惨な現場を目撃する。丸裸の男が横たわり、下半身から悍ましい量の鮮血を漏らしている。まるで、血溜まりの上で身体が浮いているかのようだ。墨余穏は思わず、大事な部分を隠すかのように、身体をくの字にして縮こまった。「|道玄天尊《ダオシュエンてんずん》が言っていた、根こそぎ取られるというのは、こういう意味なのか……」 顔を歪ませながら|墨余穏《モーユーウェン》がそう言うと、背後にいた|師玉寧《シーギョクニン》が死体を見ながら呟いた。「しかし、凄い血の量だ。余程、男に強い怨みがあるのだろうか?」「いや、まだ男ならこの程度で済みますが、孕んだ女子の死体はもっと悲惨ですよ……。顔も抉られ、原型を留めません。あれは言葉を失うぐらい、目も当てられませんよ……」 |金冠明《ジングァンミン》は俯きながら、そういう死体を幾つか見てきたと言う。俯く金冠明を見たあと、|墨余穏《モーユーウェン》は目線を死体に向けた。この死体と金華の猫との間に何があったのかは分からないが、少なからず金華の猫は人間の心を得てして、男女問わず人間に強い怨みを抱いていることは間違いない。金と男女の縺れは人の人生を狂わすと、|豪剛《ハオガン》が生前言っていたのを思い出し、墨余穏は小さく息を吐いた。  墨余穏はそっと、一途に想う恋の相手に視線を向ける。 その相手もまた、何かを思うように死体を見つめていた。「|水仙玉君《スイセンギョククン》。何か気になることでもあるのですか?」 |金冠明《ジングァンミン》が|師玉寧《シーギョクニン》に訊ねると、師玉寧は死体を見つめたまま小さな声で呟いた。「いや、昔を思い出しただけだ……」 聞いていた|墨余穏《
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第十八話 金杭州

 |墨余穏《モーユーウェン》は胸の痛みを隠しながら、「そっか」と無理矢理笑みを作った。気まずくなるのが怖くて、墨余穏は更に言葉を続ける。「一緒に過ごせるといいね、その人と。もし、その人と|賢寧《シェンニン》兄が結婚したら、俺はちゃんと玉庵から出て行くから安心して。あ、もう出てった方がいいかな? |金王《ジンワン》先生に診てもらったら、そのまま俺は違う所へ行くよ。俺は|賢寧《シェンニン》兄が居なくても、どこでも生きていける」  鼻の奥がツンとした。 本心じゃないことを口走り、目縁がほんの少し濡れ始める。 墨余穏は師玉寧に見られないように、後ろを振り返って黒い袖で目縁を拭った。 すると、師玉寧はずっと瞳を揺らしながらこちらを見ている。「ん? どうした? |賢寧《シェンニン》兄」「……お前にも、好いている者がいるのか?」 言おうかどうか迷ったが、|墨余穏《モーユーウェン》はそれとなく答えた。「俺? あははははっ。そうだね、いるよ。死ぬ前からずっと思いを寄せてる人が。でも、その人は高嶺の花みたいでさ。ずっと触れられそうで触れられないんだよね。その人にも大切な人がいるみたいだし……」「そうなのか……」 これまで感じていた空気が、夕陽ごと一気に沈む。 女夜叉のせいで足止めを食らってしまった為、夜分に押し掛けるのは良くないと判断した二人は、山を登らず近くにあった簡易的な宿に身を寄せた。それぞれの部屋から大きな溜め息と鼻を啜る音が聞こえていたのは、誰も知らない。 重苦しい夜長がようやく明け、澄んだ朝がやってきた。 何事もなかったかのように二人はいつも通りの雰囲気で山を登り、無事|金王《ジンワン》医官の所へ到着した。 山奥に聳え立つ一軒の屋敷の外は、ありとあらゆる薬草で溢れかえっており、独特な匂いが漂っていた。簡易的な木の門の前で二人の姿を捉えた銀髪の長老・金王は、持っていた桶を真ん中で持って小さくお辞儀をする。|墨余穏《モーユーウェン》と|師玉寧《シーギョクニン》も丁寧に拱手し、|道玄天尊《ダオシュエンてんずん》の紹介でここを訪ねたと話した。「はい。伺っておりますよ。天台山の若き道士が来られると。あなたが、あの|豪剛《ハオガン》の……。どうぞお二人ともお入りください」『お邪魔します』 同時に発した言葉が重なり、二人は互いを見遣る。 墨余穏は
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2025-11-24
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第十九話 鳥鴉盟

物々しい雰囲気が漂う鴉の住処で、|鳥鴉盟《ウーヤーモン》の|青鳴天《チンミンティェン》は、虚な目をして黒石の冷えた床に額を付けていた。 「お前はまだ、|緑稽山《りょくけいざん》を仕留められないのか?」 石の床が僅かに震えるほど低い威圧的な声が、青鳴天の耳に襲い掛かる。「はい……」と震える声で答えながら、青鳴天は更に額を床に擦り付けた。 「お前は一体、どこで何をしている。天台山の力が弱まった今、我々が天下を取れる千載一遇の好機なのだぞ。|阿可《アーグァ》と手を組んでやっているというのに、お前と来たらこの有り様か。これ以上、私を絶望させないでくれ」 「……申し訳ありません。父上」 自分の倅だというのに、居丈高で有名な鳥鴉盟の盟主•|天晋《ティェンシン》は、害虫でも見るような目で青鳴天を見下ろしていた。 天晋は、僅かに肩を震わす|青鳴天《チンミンティェン》に向かって、更に言葉を振り下ろす。 「かつてお前が殺したはずの|墨余穏《モーユーウェン》が生きていると聞いた。まさか、それも仕留めそびれていたと言うんじゃないだろうな」 「ち、違います! 確かに私は奴を殺しました! けれど……」 青鳴天は顔を上げ、先日墨余穏と屈辱的な再会を果たしたことを、嫌悪感混じりに話した。 「━︎━︎あれは確かに、あの時のままの|墨余穏《モーユーウェン》でした。どうして甦ったのか、私にも分かりません」 「妙な話だ」 |天晋《ティェンシン》は伸びた髭を弄りながら|青鳴天《チンミンティェン》を見遣る。 青鳴天は続けた。 「巷の噂では、奴は今|寒仙雪門《かんせんせつもん》に身を寄せていると聞いています」 「寒仙雪門? 相変わらず|師《シー》門主も変わり者だな。あのような者を匿ったとて、何一つ良いことなどないのに」 「そうです! 父上の仰る通りです! あの者はもう一度私が必ず……」 |天晋《ティェンシン》は、お前がか? とでも言いたげに、|青鳴天《チンミンティェン》を一瞥した。 その背筋が凍るような視線を感じた青鳴天は、それ以上言葉を繋げることができず、唇を噛みながら俯いた。 「ふん。まぁ、いい。奴は最後の砦にしよう。先ずは|緑琉門《りゅうりゅうもん》からだ。それから|寒仙雪門《かんせんせつもん》へ行けば、奴は自ずと消えるだろう」 天晋は陰湿な笑
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2025-12-01
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