「転生前……だと?」 「ええ、そうです。転生前のわたくしは、このような世界を物語として知っていました。なので、わたくしは自分の置かれている状況を物語として見ることができるのです。信じてくださいますか?」 「物語……にわかには信じがたい話ではある……が君は嘘を吐くような人間ではない。それに君にとって大事な断罪カフェのことだ。信じよう。君の瞳にはこれまで以上に強い意志が宿っている」 王子は微笑みうなずくと、わたくしに先を促しました。 「王子、今からわたくしは物語の登場人物になりきり、ある役を演じます。わたくしの目論見が正しければ、必ず教会の説得もできるはず。……協力していただけますか?」 「無論だ。断罪カフェは、もはやただのカフェではない。私にとっても君にとっても、そしてこの国の未来にとっても必要な居場所。全力で守ることを誓おう」 わたくしは礼を述べると、王子に作戦のすべてをお話ししました。王子の目が丸くなります。 「……なんだと、この件の裏にそんな陰謀が?」 「ええ。間違いないと断言します。わたくしはこれまで断罪ルートからざまぁルート、そして──」 王子との溺愛ルートはわたくしの心の中に閉じ込めておきましょう。 「と、物語でよくあるルートを順調に通ってきています。なので、次に起こることはざまぁからの復讐ルート……ですが、王子もし万が一私の推測が間違っていたら──」 レオナール様は、当然だ、と言わんばかりにふっと笑みをこぼしました。 「もはや君なしには、国の改革もできない。喜んでともに追放の憂き目にあおう」 レオナール様のその言葉を聞いて、わたくしの勇気が奮い立ちました。 「で
Last Updated : 2025-09-17 Read more