デザインコンテスト前夜、夫・高瀬蓮(たかせ れん)は私・星野香織(ほしの かおり)のデザイン原稿を持ち出し、特許出願してくれた。激戦の中、私の作品が勝ち抜いて優勝した。授賞式で、私は娘・莉々香(りりか)と一緒に手作りした受賞作のネックレスを身につけてステージに上がった。すると、七歳の娘が突然ステージに駆け上がり、叫んだ。「ママ、どうして陽子おばさんのネックレスを盗んじゃったの? そんなの、泥棒だよ!恥ずかしいよ……ママ、早く降りて帰ろうよ……」一瞬、全身の血が逆流するような衝撃が走り、頭の中が真っ白になった。私は目の前の、自分が大切に育ててきた娘をただ見つめるしかなかった。カメラのシャッター音が激しく降り注ぎ、今の私の表情は、さぞや見苦しいものだろう。「そこまでして、ママを壊さなければいけないの?」 デザイナーにとって、盗作以上の汚点はない。なのに、今私を非難しているのは、なんと実の娘だ。このネックレスは、私が娘の目の前で丹念に磨き上げて、一緒に完成させたものだ。それなのに、授賞式の前に遠野陽子(とおの ようこ)と少し話しただけで、どうしてこんな嘘をついて自分の母を陥れようとするのか?授与人を担当する先輩は批判的なまなざしを向けてきた。夢にまで見たトロフィーが眼前に輝いている中、私は無理に笑顔を浮かべ、「先輩、ありがとうございます」と感謝を述べた。すると、先輩はそれまでの穏やかな笑顔を一瞬で引き、さらりと手を引きさがるようにして避けた。手にしたはずの栄光は虚無に変わり、鋭い絶望が血管を逆流して全身を氷結させ、微かな震えだけが唇に残った。「ママなんて大嫌い!泥棒!そんな人、私のママじゃない!」 莉々香が突然私を押しのけ、床に座り込んで大声で泣き叫んだ。「先生は嘘ついちゃダメだって教えてくれたよ!ママは悪い人なんだもん!」もう立っている力も尽き、私は地面に崩れ落ちた。一筋の涙が頬を伝い、終わりだ。すべてが終わってしまった。 シャッター音が私の惨めさをこれみよがしに記録していく。私は莉々香を見つめながら、「これは……莉々香とママが一緒に作ったものでしょ?忘れてしまったの?」と声を絞り出すように問いかけた。莉々香は何かに刺激されたように小さな肩を震わせた。「ううう……ママ、もう嘘つか
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