私はネット通販で、大金叩いてインキュバスを一体ポチった。商品詳細によれば、このインキュバスはイケメン、クール、そして腹筋はバキバキに割れていて、腰つきもヤバいらしい。そして何より、「めっちゃデキる」らしい。この特性が私の心にブッ刺さった。迷うことなく、秒でポチった。ところが注文した直後、サポートからDMが来た。【お客様、いらっしゃいますか?】【どうしたの?】【先ほどご注文いただいたインキュバスですが、容姿は申し分ないものの、少々気難しい面がございまして。その上、成熟期を迎えているため、精力も……少々強すぎるきらいがございます。もしこのタイプがお気に召さないようでしたら、一度キャンセルしていただき、当店から別の優しいタイプのインキュバスをお勧めすることも可能ですが】私は返した。【いらない。そういうクールで『デキる』タイプが、今すぐ必要なの】するとサポートは、どこか意味深な祝福を送ってきた。【承知いたしました。では、予定通りお客様のご自宅へ到着いたします。彼との毎日が、どうぞ幸せでありますように~】数日後。広い肩幅に引き締まったくびれ、冷たい顔立ちのインキュバスが、我が家のドアをノックした。彼を見た瞬間、私は一瞬我を忘れた。インキュバスが一族揃って美形ぞろいで、容姿が人並外れているのは人類共通の認識だ。けど、それにしてもイケメンすぎない?事情を知らなければ、どこかの高貴でクールなお坊ちゃまが、血迷ってホストにでもなったのかと誤解するレベルだ。「ご主人様」インキュバスが私を呼んだ。その声はひどく冷めている。なのに、ふわふわした小さなブラシで耳の中をくすぐられるような、妙なむず痒さを感じた。私は気恥ずかしさから手を振る。「べ、別に主人なんて呼ばなくていいから。水野汐(みずの しお)……汐でいいよ。あ、あなたの名前は?」「俺は朱鷺宮廻(ときのみや めぐる)」そう言うと、廻は自分の尻尾を私の目の前に差し出した。先端が小さなハート型になっている、綺麗な尻尾だ。「規則上、あなたが俺の尻尾を握らないと、引き渡し完了にならない」「あ、はいはい」私は慌ててその尻尾を握った。スベスベしていて柔らかい。オモチャのような、不思議な感触。思わずむぎゅっと握りしめてしまった。「ん……っ」廻が
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