「そう考えたら悪いことばかりじゃない。本当に……」壁に背を預けて、夕都は顔に貼ったシップをなぞるように指で触れた。「俊紀さん。俺に思ってること、またちょっと変わった?」「?」「尚太から全部聞いたんだろ。今回のことは、俺があいつを巻き込んだんだ。でも俺、俊紀さんにはずっと話せなくて」それは夕都が俊紀に交際を迫る前からで、近々の話ではなかった。それでも確実に、自らの傷を庇うように隠していた。自分が可愛いから、と捉えられても仕方ないほどに。そしてそんな汚い心理を彼に知られてしまうことを、夕都は一番恐れていた。「……見損なったよな」絞り出した声は弱々しく、相手に届いたかも分からない。しかし言葉より先に、その答えは夕都に返ってきた。「……っ!」全身を包む温もりと、唇に当たった感触。あ。忘れていた。この人はいつも───俺が不安になってる時、こうしてくれたんだっけ。俊紀は優しく夕都の額にも口付けを残し、微笑んだ。「仮に見損なっても、見限る理由にはならなかったな。そんなことで嫌いになるほど、軽い気持ちで好きになったりしてない」夕都の身体を更に引き寄せて、俊紀は甘く囁いた。「お前がいなくなることの方がずっと、俺は怖かった。むしろ俺の方が、お前に捨てられんじゃないかって思うこともあった。未だにお互い知らないことばかりだし」「捨てるって、俺が? そんなわけ……」夕都は驚いて俊紀の顔を見返す。しかしその表情は苦しげに歪んでいた為、口を噤んだ。「目を離したらすぐに居なくなりそうだからさ、お前。でも好きだよ。どんなに離れても、どんなに経っても……お前が好きだ」「俊紀さん……」もう泣かないって決めたのに。気付いた時には、涙が溢れていた。「夕都。泣いてるのか?」「うん。何でかな……って、俊紀さんも若干きてない?」「だな。……また会えて嬉しいから……かもな」夕都はただ、今の幸せを表現する術が見付からずに。俊紀もまた、そんな彼を大事に抱いて瞼を擦った。静かな朝だ。静寂を破らぬよう、時針だけ進んでいる。「何か飲むか?」俊紀は椅子に腰かけて、ベッドで横たわっている夕都に問いかけた。「うん」もう太陽は完全に昇っていたが、カーテンを閉めきっている為活力が湧かない。それに何より、もう丸二日起きている。体力なんてとっくに尽きている。けど頭が冴
آخر تحديث : 2025-12-20 اقرأ المزيد