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第21話

帰国した翔太だったが、美咲が望んでいたような、穏やかな日々は戻ってはこなかった。なぜなら、R国での一件を解決するため、植田家の資産はほとんど売り払われ、真奈美と暮らしていた家も、競売にかけられていたからだ。そのため、翔太は母親と一緒に小さなアパートへ引っ越すしかなかった。それに加え、ホテルの大口株主たちは、翔太の資金難を知るとすぐさま行動に出た。その持ち株を安値で買い叩き、経営陣から彼を孤立させた。さらに、真奈美がいなくなった厨房では、誰も翔太の指示など聞かなかった。暮らしも仕事も、なにもかもが上手くいかず、翔太はどんどん追い詰められていった。常に不機嫌で、眠れない日々が続き、ついには酒に溺れるようになった。美咲も何もできず、毎日そばで愚痴をこぼすばかり。何かにつけ、真奈美と恵の文句を言っていた。そんなある日、ホテルの前で、翔太は偶然にも恵と出くわす。彼はこの女のことをすっかり忘れていた。R国へ行く前、翔太は恵を地下室に閉じ込めていた。しかし、帰国後に知ったのだが、恵は食事を運んできた翠の隙を突き、彼女に暴行を加え、そのまま逃げたとのことだった。今目の前にいる恵は、髪はボサボサで、頬はこけている。なのに、唇だけは真っ赤な口紅が塗られていた。まるで亡霊のようだった。恵は翔太にすがりつき、同情を誘うように話しかける。「翔太さん、私が間違っていたの。もうあの子を探したりしないから。だから許して、お願い。これからは、あなたのために必ず子どもを産むし、もしいつか真奈美さんが戻ってきたら、私はちゃんといなくなる。もうあなたを困らせたりしない……」恵は、自分が他の男との間にできた子どもを、どうしても探そうとしたせいで翔太が怒っているのだと思っていた。しかし、それは彼女の思い込みに過ぎなかった。翔太は冷たく彼女を突き放す。まともに顔を見ようともしない。「消えろ。二度と俺の前に現れるな」しかし、恵は泣きながらも、その手を離さなかった。「翔太さん。家とお金をくれるって、約束してくれたよね?」実は、自分の娘が翔太の怒りを買ったと知った恵の両親は、翔太からもらった家を売り払い、そのお金を持ってどこかへ消えてしまっていたのだった。だから、恵が実家に戻ったとき、ベビーシッターどころか、両親の姿までどこにもな
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