真夜中、恵は病院に運ばれた。夜のことがきっかけで少しお腹に負担がかかっただけで、幸いお腹の子は無事だった。病室では、翔太が医師と一緒に、恵の体の状態を一つ一つ細かく確認している。翔太がこんなにお腹の子を気にかけてくれるなんて。恵は、真夜中のあの電話は勘違いだったのかもしれないと思った。彼は、ただ子どもが欲しいだけじゃないのかも、と。恵は自分が涙を流すことによって、目の前の男'の気持ちを確かめようとした。「翔太さん。私のこと、もういらなくなっちゃった?」翔太がさっと顔を上げる。その顔には心配そうな、それでいて少し困ったような笑みが浮かんでいた。「何を馬鹿なことを言ってるんだ。俺たちの間には子供がいるんだぞ?お前のことを見捨てるわけないじゃないか」恵は彼の胸に顔をうずめて、しゃくりをあげる。「実はあなたの電話が聞こえちゃったの。口座とお家を私に用意してること……子供が無事に産まれたら、それで私は用済みなんでしょ?ずっとそばに置いてくれるって約束したのに……」まさか、恵が裕也との電話を聞いていたなんて翔太は思ってもみなかった。一瞬、笑顔がこわばったが、さらに優しい声で語りかける。「考えすぎだよ。あれはお前へのプレゼントなんだ。まさか、先に知られちゃうとは思わなかったけどね」手切れ金じゃないと翔太の口から直接聞いた恵は、やっと安心することができた。しかし、翔太には知られてはいけない。自分が真奈美にしたこと、それから、この子の本当の父親が誰なのか……ということ。まあとにかく、自分はまだ若い。将来、翔太と結婚した時に、二人の本当の子どもを産めば何の問題もない。そうだ、絶対に翔太と結婚するのだ。平凡に生きてきた20年間。恵は、人生のすべての運を翔太との出会いに使ったと思っている。こんな玉の輿に乗るチャンスを、絶対に手放したくないし、どうあっても手放せるわけがない。しかし、翔太にとって恵の看病は退屈でしかなかった。翔太は仲のいい友人に電話して、愚痴をこぼす。「実はさ、手切れ金を用意してるのを恵に聞かれて。それで、ギャーギャー言い出したかと思ったら、なんだかお腹が痛いとか言って病院に運ばれたんだよ」電話の向こうの声が、急に真面目になった。「それで、彼女は今どうなんだ?」しかし、翔太はたいして気にしてい
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