ほどなくして、彼は参考書を手に持ちながら現れた。相変わらず高身長で顔が整っており、見ているだけで癒される。 もちろん、それは内面の良さも知っているが故の話だが。「ごめん、待たせたよね」「全然! 部活終わりなのに来てくれてありがとう」 忙しい中、自分に時間を割いてくれることが本当にありがたくて胸に染みる。 今日行くところは決まっていた。ずっと行ってみたかったところだ。 もうその香りは、集合場所に立っているだけでも漂ってくる。「お腹すいてると思うし、行こうか!」 私は高羅の手を取る。一瞬驚いた表情でいた高羅だが、反対の手ですぐに参考書を鞄に仕舞い、歩き出した。 徒歩数十秒の距離の店の前に立ち、扉を引く。食べる前からそそられる、あの香ばしい肉の香りが体中を包み込むかのように流れてきた。「らっしゃいませー!」 元気よく響く声と共に、ジューっと肉が焼かれる音が広がる。「あ、ここだったの?」 高羅は拍子抜けしたように私を見つめた。「うん、ずっと来てみたかったの!」 ネットでも調べてみたが、ここは個人経営で店長のサービス精神が旺盛なステーキ店らしかった。 駅構内ということもあり、狭い店内ではあるが、今日はたまたま奥のテーブル席が空いていたようで、すぐに店員に案内される。 仕事帰りらしきスーツのおじさんが、汗をかきながら美味しそうに肉を頬張る姿や、大人の女性たちが綺麗なネイルを触りつつ、会社の愚痴を漏らして、食事が届くのを待っている様子など、それぞれの人生の一場面が見えた気がした。 二人で席につき、メニュー表を広げる。品数は少なかったが、どれも豪華で美味しそうな商品ばかりだった。 それぞれ迷うことなくすぐに決まり、店員を呼ぶ。「ガッツリ鉄板ヒレステーキと、サーロインステーキをお願いします」 高羅がそつなく頼んでくれ、私はそれを微笑ましく眺めていた。店員が確認し、去っていった後、ありがとうと伝えると、高羅はなんて事ないように笑ってくれる。 食事が届くまでは、たわいない雑談を重ねた。その日学校であったこと。勉強面でのわからない範囲。化学の授業の先生の話
최신 업데이트 : 2026-01-16 더 보기