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第1話

 私の名前は、越後屋華(17)。巷では女性は男性の半歩後ろを楚々として歩かなければならない。とかそういう風潮だけれど、私はポニーテールに袴で凛とし、帯刀までしている。母上の形見の赤いリボンだけが女らしさじゃないのかなぁ?リボンでポニーテールを結わえている。 父上だって昔は「強くなりなさい」って剣術を奨励していたのに、今じゃ「女らしくしろ!」とかそればかり。はぁ。 妹のれい(14)は、美人で有名。まだ14才なのになぁ。私もれいも有名女学校に通えるほどに我が家は困窮はしていない。名字の越後屋というのは店の名前で、我が家は商いを手掛けている。 妹のれいと一緒に登校をすることになるのだが、私は妹の護衛というポジションのよう。妹も袴を着ているが、楚々としていて髪型も一房だけをまとめている感じ。「お姉様は流石ねぇ。女学校だというのに、お姉様のファンクラブまであるのよ?私も鼻が高いわ」「ははは」 乾いた笑いしか出てこなかった。女の私が女生徒に好かれて何が嬉しいのだろう?嫌われるよりはいいのだろうけども、過剰に好かれるのもどうかと思う。 れいには婚約者がいる。まだ14才なのに苦労してるわね…。お相手は軍の将校閣下らしいけど、私は彼のいい噂聞かないんだよなぁ。将校閣下はハタチだし、仕方ないと言えば仕方ないけれども。 『将校閣下は浮気性』という噂を耳にしている。 れいには言ってないけど、父上には言った方がいいだろうなぁ。「父上お話があります」「なんだ?あらたまって。私と娘にお茶を頼む」と父上は使用人に指示を出した 父上は西洋かぶれと言いますか、全身洋装。それでも私とれいが幼い頃に亡くなってしまった母上を想い続け、玄関には母上の特大写真を飾っている。「れいの婚約者の将校閣下の事なのですが…」「彼が浮気性という噂か?そんなものはだいぶ前から囁かれていたぞ?」 流石は商人です。情報通ですね。「そんな気の多い男にれいを嫁がせるのでしょうか?」「お前も若いなぁ。男の浮気の一つや二つ、許せるようにならんといけないぞ!」 私は許せない。「父上も浮気をしたことがあると?」 玄関に特大の写真が飾ってあるというのに……。「いや、そ、そんなことはないぞ?」 何故NOと言えない。ハッキリしてよ。「溺愛してるように見えても父上すらも浮気をしたことがあると?」「
last updateDernière mise à jour : 2026-01-14
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第2話

 父上から話が合った。なんでも、2年前から交際している女性がいる。その方と再婚をしようと思う。 父上もまぁ、精悍な顔つきと言えばそうですし、お金持ちですし、寄ってくる女性は多いのでしょうけど。「お前達二人に彼女の為人を見極めてもらいたい」 だそうです。れいは父上の再婚話を手放しで喜んでいる。私はというと、微妙。母上との思い出がれいよりも多いからかな?玄関の特大の写真もあるし。あれ……私も気に入ってるんですよね。毎朝「私は今日も頑張ります!」と気合いを入れる感じで。 父上の交際相手だという楓さんと後日街中のカフェで会った。楓さんに手を引かれるように女の子が⁉「私の子だ。ほら、この鼻筋とか私に似ているだろう?」 そういう問題じゃなくてですね。父上。交際開始でいきなり手を出したということですか?やはり『浮気性と噂の将校閣下』はれいの婚約者として相応しくない!「えーと、楓さん。この子の父親は父上で間違いないですか?」「ええ」 頬を染めて言われてもなぁ。「父上には私やれいのような娘がいますけど、気にならないのですか?」「亡くなられた奥様、さぞやお綺麗だったんでしょう。お二方ともお綺麗ですね」 そういう質問だったのではないのですが…。「正直に言いますと、その子が本当に父上の子だという根拠がないというのは不安ですね」「コラ、失礼だろう?れいはどう思ってるんだ?」「確かにお姉様の言う通りですね。一歩間違えるととんでもないことになりますから」 楓さんが阿婆擦れだった場合、我が家の商家越後屋としての信用も失ってしまう。「そういうだろうと思ってだなぁ。これをご覧」 父上に出されたのは楓さんが連れてきた子と父上の親子関係を示すDNA鑑定の結果。 そこには確かに99.9%親子という結果が示されている。「これは誰が「鑑定しましょう」と言い出したの?」「楓さんだ。まあ、お前達にどう思われるかわからないからなっ」 私は思う。父上の髪の毛は簡単に採取可能だろう。本当にこの子の体から採取された細胞で鑑定されたものだろうか?そこまで疑ってかかる。「では、今この場で父上の髪の毛とその子の髪の毛を採取。その上で親子関係が証明されるのかを調べましょう?」「華!お前はそこまでするのか?」「そこまでしなくてはならない事案なんですよ?」 私は両名の髪の毛を採取。
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第3話

 父上も女性に疎いのよね。アッサリ父上と楓さんは破局したみたいだけど。あの子のその後が気になる。 楓さんはつまり、父上と他の人と二股をしていたということよね?父上は呆然としちゃってキチンと仕事はしてるみたいだけど。玄関の写真に「やっぱり私にはお前だけだぁー!」とか言って張り付くのは止めてほしいです。  しばらく様子を見ていましたが、噂の将校閣下はやはり浮気性のまま。そりゃあ、れいは14才ですから、20才の将校閣下から見れば子供子供でしょうけど?殿方の浮気というのは病気や性癖のようなものでなかなか治るものではないと聞いた事があります。 れいが絶世の美女に成長すれば別でしょうけど。絶世の美女になる確率あると思うんだよなぁ。母上も麗しくも美しい方だったし。今だって美人って女学校で有名だし。「お姉様!流石はお姉様です!お姉様の婚約者にと、元帥閣下が名乗りをあげているそうよ!」 元帥閣下?なんだか畏れ多い。元帥閣下に噂の将校閣下を諫めていただきたい。 しかし、どんな方だろう?元帥はテーブルに座る仕事が多いのかしら?実際に現場に出る事は?剣術でお相手したいわ。常に現場にいる人に勝てるとは思わないけど、そうでないなら…。「ふふふ、お姉様も興味がおありのようね?元帥閣下は元華族。名前は南郷良一様。御年21才!若くして元帥閣下のかなりのキレ者と評判よ!」「うわー‼この越後屋は誰が継ぐんだー」 父上の叫びももっともだと思う。「父上、男兄弟がいない私達に訴えないで下さい。私、もしくはれいが婿養子を取る以外に方法はないでしょう?」「だがなぁ、華の婚約者候補が元帥閣下でれいの婚約者が将校閣下じゃあなぁ……」 気持ちはわかるが、れいは婚約破棄をするかもしれないし、私は会ったこともないし。 れいに街中に流れる噂を聞かせた。将校閣下が浮気性だと。「その噂ならだいぶ前から耳に入っていますわ。その頃から、将校閣下の事は妄信できなくなりましたの。いくらプレゼントをいただいても何も思わなくなりました。昔は胸躍らせていたんですけどね。浮気性の男性と結婚すると後で苦労すると聞きますし。将校閣下の有責で婚約破棄できないかと内々で婚約破棄に向けて進めているところですのよ?」 れいは私が思っているよりもしっかりとした考えを持っていた。そして……恐ろしい人だった。 その後父上はこの
last updateDernière mise à jour : 2026-01-14
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第4話

 私は遂に観念して元帥閣下に会った。 思ったよりもずっと美丈夫。もっとそばかすだらけの顔とか脂肪だらけの体つきとかを想像してたけど、肌はどこで磨いたの?ってくらいキレイだし(正直羨ましい)、体つきは細マッチョなのかなぁ?洋装だけど服を着てるからわからない。気配が強者って感じ。負けるかも……。「何で私に縁談を持ちかけたのですか?元帥閣下でしたら、選び放題でしょうに」「華さんとお呼びしても構わないですか?華さんのお姿、凛としていて美しいと思ったのです。最近の女性にない美しさを見たような感じです」 そうでしょうね。最近の女性は伴侶の半歩後ろを歩くような女性でしたっけ?ですよね?歩きにくそ~。「あ、そうだ!元帥閣下と剣術の御手合わせをしたいと思ったのです。木刀で。真剣は危ないですからね」「剣術かぁ。久しぶりだなぁ。元帥なんて偉そうな役職だけど、やってることは書類処理だからね。剣術が懐かしいよ」 そんなことで剣術で手合わせをすることとなりました。閣下は背広を脱いで、やる気のようです。 勝てると思ってたのに、思わぬ苦戦を強いられたうえで負けた。「私もまだまだ現役復帰できるかなぁ?」「私程度の剣術で生きていけるのならばできると思いますよ?」 振り返った元帥閣下の後ろ姿、Yシャツというの?シャツの袖口が裂けています。「あの閣下、服を破損してしまったようです」「おや、うーん手合わせの途中でビリっと音がしたんでもしやと思ったんだが、裂けてるよ。ハハハッ。西洋の服ってこういうところが弱いよなぁ」 物によりけりかと思いますが。軍の服でビリビリ聞こえませんよ?「家に帰ったら、使用人に繕ってもらうか」「差し出がましい話ですが、私が繕いましょうか?こんな形ですが裁縫とかできるんですよ?」「そうだったな。君は有名な女学校に通っているんだったな。そこでは裁縫も授業であるのか?」「そうですね。『淑女たれ!』が校訓みたいなところです。そんな中で私は異質な存在ですけど」「そうだろうね。でも、しっかりと『自分』というものを持っていて素晴らしいと思うよ。時代に流されるようにしているよりずっといい」 私は自分の存在が認められて正直に嬉しかった。「あ、そうそう。私は浮気が嫌いです。予め伝えておきますね」「忙しくて女性とどうこうという考えにも至らなかったよ。貴
last updateDernière mise à jour : 2026-01-14
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第5話

 私の婚約が成立してしまった。でもまぁ、私より強い元帥閣下だから良しとするかぁ。 そんな中でアキの妊娠が発覚! 私もれいも男の子であれ。と願っていた。 是非ともこの越後屋を継いでほしい。私達二人は嫁に出る!そう思っている。 私は元帥閣下と婚約したけど、れいは将校閣下と婚約破棄したらどうするんだろう?父上的には私が元帥閣下と婚約したことでこの家と軍とのパイプみたいのが出来ていいんだろうけど、れいのお相手は?女学校だから出会いもないし…。私にも秘密でお付き合いをしている方がいらっしゃったりするのかな?あ、でも将校閣下の有責で婚約破棄するつもりみたいだから、堂々と外でお会いすることはできないわよねぇ。秘密の多い子に育ったわね。…恐ろしい。 翌日、私は元帥閣下とお会いすることとなった。 前回とは違い、街中での逢瀬という約束をした。‘元帥閣下は婚約者がいる’とでも噂を流しておきたいんでしょうか?美丈夫ですし、様々な令嬢からのアプローチがあって結構ウンザリしているようでしたし、噂でもあればそんなアプローチも減るでしょうね。「この間ぶりです、華さん。今日はこの前とはまた違う袴なのですね?」 一応、臙脂の袴なのですが、色々と種類を持っています。れいのように花柄の袴とかは持っていませんけれども。生地が違うのです。「あ、このリボンはこの間と変わらないのですね」「母上の形見なので、これだけはどうしても変わりません」「なんだか失礼なことをお聞きしてしまったようで」「いいのです。女学校で良く聞かれることですので。ところで、巷で噂になっている将校閣下なのですが…」「ああ‘浮気性だ’と噂になっている将校閣下の事ですか?」「その将校閣下なのですが、妹の婚約者なのです。妹はまだ14才でそりゃあ手を出すような年齢ではありませんが、不誠実な男性は好まれません。元帥閣下の方からなんとか言ってくれませんか?」 あ、れいが有責で婚約破棄に向けて動いてたんだっけ?「それなのですが…ここが個室で良かった」 甘味処でも個室を選んでくれました。私が日焼けするといけないからと屋内です。ワガママを言ったわけではありません。元帥閣下が手配をしてくれたものです。「実は…ある事件の調査のために彼には色々と動いてもらっているのですが、女性と肉体関係はないはずですよ。女性の方が吹聴しているので
last updateDernière mise à jour : 2026-01-14
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第6話

 私と元帥閣下の逢瀬は話も弾んでいた。「いい加減に私のことは元帥閣下ではなく良一と呼んでいただけないでしょうか?」 なんてレベルの高い要求。「では、良一さん…」「はい、華さん」 こんな感じで始終進んでいた。 そんな時にいきなりあの女が入ってきた。甘味処の個室に!「ここにいたの?良一!探したんだからっ」 誰?「この部屋は護衛がガードしていたはずだが?」「うん、だからわかりやすかったよ。ここに良一がいるんだーって」「華さん、こちらは幼馴染の西九条麗華。麗華、こちらは私の婚約者の越後屋華さんだ」「えー?良一、本当に婚約しちゃったの?昔は「おおきくなったられいかちゃんとけっこんするー」とか言ってたのに」 私にはわかる。 この女は、良一さんの地位を見ている。元帥閣下じゃなきゃ相手にしてない。「良一さん、この方は良一さんの‘元帥閣下’という肩書きが好きみたいですよ。だたの一等兵だったら歯牙にもかけないんじゃないですか?」「ひどい!麗華はそんなことないもん」「実は私は明日付けで一等兵からやり直しなんですよ」「「へ?」」「あ、そうなの?元気でね、良一」 やっぱり、あっさりと去って行ったわね。「あの、明日からって…」 良一さんは人差し指を立てて口の前でシーッとジェスチャーした。「あーあ、元帥閣下だったら贅沢できると思ったのに一等兵?苦労なんかしたくないわよ」 西九条さんの声が丸聞こえで遠ざかっていくのがわかった。「明日からはですね。華さんの言葉を信じて言ってみたんですよ。そうしたら、あっさり私から離れていきましたね。華さんは何故わかったんですか?」「うーん、女学校でも地位ある人について行こうとする派閥みたいなものができたりするんです。その派閥もトップの子の家が潰れたりすると、瓦解。そんなのを日常茶飯事で見ていると分かるようになるんです」「なかなか役に立つスキルだな。君は誰かについて行ったりしているのか?」「私はそういう面倒なことに巻き込まれるのは嫌なので一人傍観しています」「なるほどなぁ。そうして身につけたスキルなのか」「そうですね。お役に立てて何よりです」 まさかの女学校、派閥争いスキルが役に立って良かった。「あ、うちの父上が後妻を迎えまして、その方が懐妊を致しました。私も妹も是非とも男の子が産まれるように願っている
last updateDernière mise à jour : 2026-01-15
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第7話

 れいに将校閣下は浮気しているわけじゃないって伝えないと!うーん、れいもプレゼントでも心躍らなくなった。って言ってたし、将校閣下じゃない人に心惹かれてるのかもしれないなぁ。「れい!大変よ、将校閣下は浮気性ってわけじゃないって良一さ…元帥閣下が言ってた。ある事件の捜査のために色々と調べているらしい。事件の詳しいことを私みたいな民間人には教えてくれなかったけど」「うん。なんとなくわかってたんだ。でももう別の人に惹かれてる自分がいる限り、あの将校閣下を好きになる自信はない」「誰に惹かれてるかわからないけど、有責で婚約破棄は不可能じゃないかなぁ?将校閣下が浮気性って噂も女性の方が流してる噂じゃないか?って元帥閣下は仰ってたわ」「そっかぁ」「誰に惹かれてるか私にも言えない?」「うちの店に自分が作った品を持ってきた少年よ。その品の細工が見事で。精緻な金細工よ。父上が取引するかどうか決める前に私がとりあえず持って来てくださったものを買ったわよ」 年齢的にれいと同じくらいってこと?それはそれで危うさがあって諸手を挙げて喜べないわ。思春期の男性でれいと金細工職人でしょ?なんかこう、れいが利用されそうな気がする。礼を利用して我が家と取引をしようとする。みたいな?それだったら、浮気性の噂がなくなった将校閣下の方がしっかりとした大人の男性でれいをリードしてくれるタイプな感じがするけどなぁ。 そう思っていたのに、れいが強行手段に出たみたい。反対してなかったのに、検討はしてたけど。「金細工職人の子を宿したのよ。将校閣下とは婚約破棄するわ」「ああ!14才で妊娠だなんて!将校閣下に申し訳ない‼金細工職人ってこの間細工を持ってきた少年か?」「そうよ」 父上が漏らしていた。 お酒も入っていたみたい。そこらに酒のボトルが転がってたから。「確かに細工は見事だった。しかしなぁ。金じゃないんだよ。金メッキなんだよ。ああ、そんな男の子を宿すなんてれいはどうしてしまったんだ!」 私は通りすがりに路地裏で話をしている少年たちの話を聞いてしまった。「いやぁ、いい女だったしさぁ。子供が出来たのは計算外だけど、俺もこれで大店の旦那?ハハハっ」「俺らにも何か寄越せよ」「俺が大店を継いだらなぁ。今の主人、まだ長生きしそうだし結構先じゃないか?」「暗殺って手があるじゃねーか
last updateDernière mise à jour : 2026-01-16
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第8話

 何としてもアキには男の子を産んでもらわなきゃ!あの少年に店が奪われてしまう! ん?この事を良一さんに相談しようか? 翌週の良一さんの休みの日に会う約束をしました。「身内の恥のようですが、私の妹が妊娠をしました。反対をしていたわけではないんですよ?相手を聞いて検討していたのです。妹が強行手段に出たというか……」「貴女も苦労をなさりますね。妹さんのお相手はわかっているのですか?」「妹からはざっくりと聞きました。妹から聞く分には誠実で真面目な印象でした。が、私は偶然通りすがりに路地裏にいるその少年の話を聞いてしまったのです。自分はこれで「子供が出来たのは計算外だがこれで大店の旦那になれる」とまわりの少年と笑いあっていました。最低なのは、大店の旦那になるために今の旦那、つまり父上の暗殺を最悪の場合計画しているところです。それと、父上情報だと金細工という事ですが、金メッキだそうです」「ふむ、少年とはいえなかなかの犯罪ですね。既に殺人計画をしているところがなかなか悪辣。この件は例の将校閣下に解決をしていただきましょうか?そのほうがいいでしょう」「そうですね。御子についても今後どうするのかわかりませんし」 細工が家具にぶつかった時に、メッキが剥げたらしい。それで父上は重さを計り、純金ではないと発覚。 良一さんによると、将校閣下の深谷宗次郎さんはご立腹のようです。そうでしょうね。自分は自分を律してどんなに美しくても、成長するまではと手を出さないでいたというのに、御子までもうけた極悪人(将校閣下的には)。 御子については罪はないから、れいが将校閣下と婚約を続けてくれるのならば御子諸共引き受けるつもりらしい。このことについて父上は大感激! 当のれいはというと部屋に閉じこもってしまった。「れい!若気の至りだと思いなさいよ。将校閣下、深谷さんは御子を含めて受け入れてくれるらしいし、安泰じゃない。そんな部屋で鬱々してるとお腹に障るわよ」 妊娠初期だし、精神的に不安定なんだろうか?部屋の中に刃物とかないわよね?こっちがドキドキするわよ。「入るわよ」 私は力ずくでれいの部屋に入った。「きゃーっ、れい!何てことしてるのよ!あなたは今一人の体じゃないのよ?今日から私と一緒に生活をしましょう?」 そんなわけで、ちょっと大きめの部屋で二人で生活をすることにした。一緒
last updateDernière mise à jour : 2026-01-17
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第9話

 れいが悪阻に襲われている。アキが背中を摩っている。父上はオロオロしている。私は弟の栄二を抱っこしている。 栄二も難儀だと思う。齢0才にして義理の子供がいるのだから。まだ産まれてないけど。「れいは大丈夫ですか?」 深谷さんはれいを気遣って度々来てくれる。「ああ、悪阻なんですか。確か柑橘類がいいと同僚から聞いたので、ミカンなど柑橘類を見繕って持ってきました」「あらあら、れいさん。みかんとか食べられそうですか?」「爽やかな香りとか落ち着くわ。食べれらるかはわからないけど」 結局、柑橘類を食べる事は出来た。とにかく今は食べられるものを口にした方がいいらしい。アキがそう言ってた。 数か月後にれいは女の子を出産した。「まぁ、れいさんに似てさぞかし美しく成長しそうなお顔立ち!」 私にはシワシワにしか見えないのに、アキには何が見えているの?「そうか。それは将来が楽しみだな。あの小僧に似た男の子とかじゃなくて良かった」 うちの遺伝子強いんだろうか?特に母上! 父上は溺愛し、店から玩具をいっぱい持ってきた。「こっちは舶来品でなぁ?これは国産だけど限定品なんだ」「父上、まだ何もわかりませんよ?栄二だって与えて玩具をヨダレまみれにしてるじゃないですか!」「それとは別腹だ」「あ、舶来品と言えば舶来品の人形を与えるのは止めて下さいね」 私は舶来品の人形が夢に出てきて、怖かった。大量の舶来品の人形に襲われる夢。れいは何でもないみたいだけどさぁ。私は怖いよ。 栄二はヨダレまみれにした後、使用人がせっせと拭いていることを知らないんだろうなぁ。その後また口に入れてもいい消毒液で消毒してるんだけど。「ところで深谷将校!私の事は越前屋殿じゃなくて、義父と呼んでほしいなぁ」「いや、しかしまだれいさんと結婚したわけでもありませんし。烏滸がましいです」「謙虚だなぁ。南郷元帥も義父と呼んでほしいなぁ」「元帥閣下に直接言ってください!義父上。これでよろしいですか?あぁ、私はれいさんと正式に結婚できるだろうか?」「できるだろう?」「軽く仰らないで下さいよ~。まだ求婚もしてないというのに!」「そうだったのか…。無理強いをしてしまったな」 などと父上と深谷さんの間で話されていたなど思いもよらなかった。「良一さんが正式にうちに来たいと話がありました」「うちならい
last updateDernière mise à jour : 2026-01-18
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第10話

 深谷将校はれいに求婚したらしい。もちろん返事はOK。  れいが悪阻の時から二人はラブラブだったもんね。 れいの子の名前は玲菜に決まった。さっそく深谷将校がうちに挨拶に来て、「お嬢さんと結婚させてください!」「いいよ~」 と、父上の軽い返事で二人は結ばれることとなった。 私もれいも家を出て生活をすることとなった。栄二に泣きつかれたのは驚いた。まだそこまで懐いてないと思ってたのに甘かった。「「おねえしゃまたちいかないで~」」 舌ったらずなところが可愛い。「たまには帰ってくるから約束よ!」 三人で小指を結んで指切りげんまんをした。 私は良一さんの実家。義母さんがちょっと怖いなぁ。「安心してよ。かなり弾けてる母上だから……」 頭の中で?がグルグルと回ったけど、会ってみてわかった。「貴女が華ちゃん?いや~ん、可愛い!」 いや、義母上の方が可愛いんじゃないかな?舶来ものかな?エプロンを着て、登場した。義父上は良一さんとよく似た方だった。「華さん、この南郷家にようこそ。歓迎するよ。うん、良一に聞いてた通りの凛とした美しい方だな」「母上も父上も恥ずかしい!」「華ちゃ~ん。頑張って早く孫の顔が見たいのよ!」 どうしよう。あっけに取られてリアクションできない。「不束ものですが、よろしくお願いしまちゅ!」 噛んだ…。盛大に噛んだ。大事な台詞だったのに。私は紅潮するのがわかった。「それは神のみぞだろ?俺は華を家の中案内するから」「良一さんったらラブラブなのね~」「お前もあんまり冷やかすんじゃない!」「は~い」 れいは深谷家に嫁入りすることとなった。玲菜連れで。「緊張する。ほら、コブ付きだし」「大丈夫だよ。れいは最初からうちに嫁入りする予定なんだから」「帰りました。父上、母上」「おう、待っていたぞ。彼女が……お前……なんてこと、千紘!千紘~‼」「はいはい。おかえりなさい。あらその子がれいちゃんなの?で、その腕の子が?」「玲菜って言うんだ。越後屋の奥方曰く将来はれいに似て美人になるだろうって」「もう、宗次郎さんったら会わせてくれないんだもん。すっごく美人じゃない!それに玲菜ちゃんだって将来が約束された美人よ?宗次郎さんハーレムじゃないの!」「そう思うか?」「あの…不束者ですがよろしくお願いします!」「こっちからよろしく
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