柚は、洒落たレストランの席についていた。テーブルの上には、彼女が大好きだった料理が並べられている。しかし今、柚には全く食欲がなかった。亮太は、おそるおそる彼女の顔色をうかがいながら、小声で話しかけた。「柚、もしかして口に合わない?店を変えようか?」「いいわ」柚は亮太に視線を向けると、無表情に答えた。「話があるなら、早く言って。もう、これで最後にして、二度と会わないから」「これで最後に……」その言葉は、亮太の胸に深く突き刺さった。彼の目はみるみる赤くなり、喉からはか細い嗚咽がもれた。「柚、俺たちが一緒に過ごした20年間を、本当に終わりにするつもりなのか?」「亮太、今さら何を話すっていうの?私はもう、あなたたち『家族三人』のために身を引いたじゃない」「柚、そんなこと言わないでくれ。あの子は、俺の子じゃないんだ」亮太の顔は後悔に満ちていた。「言っただろ、俺は、お前が産んでくれた子しか自分の子だなんて認めないって……」亮太は必死に柚を見つめ、その表情から愛情の残り火を探そうとした。しかし、柚はただ冷たく彼を見つめ返すだけだった。「亮太、用があるなら手短にして。私、まだやることがあるから」彼女は気のないそぶりで腕時計を一瞥し、亮太を急かした。その様子に、亮太は胸が痛み、言葉も出なかった。「お前は、この後何を……」彼は歯を食いしばり、やっとのことでそう尋ねた。「あなたに関係ある?」柚はうんざりした顔で言った。「そんなくだらないことしか言わないなら、もう話すことはないわ」そう言うと、柚は席を立ち、椅子を引いて立ち去ろうとした。亮太はすぐに彼女の前に立ちふさがり、必死に言った。「柚、頼む、教えてくれ。俺より大事なことって、一体何なんだ」柚は無表情で答えた。「どんなことでも、あなたよりは重要よ。でも、どうしても知りたいっていうなら、教えてあげる。ウェディングドレスの、試着」「何だと?」指の関節が白くなるほど拳を握りしめ、亮太は信じられないといった様子で、もう一度問い返した。彼は歯を食いしばり、目に恐ろしいほどの血走らせて言った。「柚、嘘だと言ってくれ。そんなことを言われるくらいなら、いっそ殺してくれ」亮太は無意識のうちに柚の腕を掴み、強く引いた。彼女の言葉に、わずかでも嘘の綻びがないか探すように。「柚、頼むか
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