「この性悪女が!」 「人まで焼き殺したらしい、とんでもない女だ!」 「私達も殺されるかもしれない!殺される前にやらないと!」 ガツン、ガツン、と女が頭を蹴られる。 髪の毛を掴まれ、壁に叩きつけられ、女は大きく咳き込んだ。 背中を強かに打ち、息が詰まった女は、そのまま意識を失い倒れ込んでしまった。 「──うわっ、気絶した……っ」 「やばい、本当に死んでないよね?」 「やり過ぎた……?」 「いや、でも痛めつけてくれって言われたし……」 「逃げよう。看守に見つかったら私達まで罰せられる!」 倒れた女はそのままに、女を囲って暴行していた数人の女達は蜘蛛の子を散らすようにその場から逃げ出した。 そこに、騒ぎ声を聞き付けて興味本位にやって来た女がいる。 「──何だ?リンチかな?」 やってきた女は、わくわくそわそわとしたような顔をして、ひょこり、と壁から顔を覗かせた。 そして、目の前の光景に瞬間、目を見開く。 「お、おい!あんた!大丈夫かい!?」 慌てて駆けつける女の視界の先には、傷だらけで倒れている女──女性が、居た。 ◇ 女性刑務所。 関東から遠く離れた寒い土地にあるこの刑務所には、数多くの受刑者が服役していた。 そこで、救急搬送された女性が居た。 女性の傍には、女性刑務官と発見者の先程の40代くらいの女が、ストレッチャーで運ばれる女性に付き添っていた。 ストレッチャーで運ばれて行く女性は、年は20代半ば頃。 ほっそりとしなやかな手足に、きめ細かな肌。 化粧などしていないのに、美しい女性が救急車に搬送された。 その女性の名前は、玉櫛 音羽(たまくし おとは) 玉櫛財閥の御曹司、玉櫛 樹(たまくし たつき)の妻で、この刑務所に入所して数ヶ月。 音羽は、ずっと無実を訴えていた。 裁判でもずっと無実を訴えてはいたが、音羽の訴えはあっけなく退けられ、実刑判決を受けたのだ。 刑務所に入れられた後もずっと無実を訴えていたが、それは誰にも聞き入れられず。 そして、今日。 突然音羽はガラの悪いグループに呼び出され、集団で暴行を受けてしまったのだ。 頭の打ち所が悪く、気絶した音羽を見つけた同じ受刑者はすぐに看守に知らせ、こうして救急車が呼ばれ、搬送に至った。 「465番。発見し、教えてくれて感謝する。後は任せて、戻りなさい
Terakhir Diperbarui : 2026-01-30 Baca selengkapnya